いやぁ〜っ!顔のむくみはないものの、やはり化粧が濃いですなあ。
この映画が撮られた直後に、悪性中皮腫(メソテリオーマ/胸膜の癌)で50歳の若さで亡くなってしまいましたね。(合掌)
趣味のレーシングが高じて、そのレーシング・スーツに含まれた耐火石綿繊維が病気の原因ではないかと、最近囁かれております。
よもや公開当時は「元気がない」、「活力がない」、「こういう不健康なマックイーンは観たくない」などと悪評散々だったですが、まあ実生活上、彼のように跳んだり跳ねたりせずとも、間に合いそうもない最終電車を目指して「はあはあぜいぜい」と駅のホームや階段を走ったり、痰が切れず息が切れて目が回ったりするような年齢に差し掛かると、不思議と心に留まり出す映画でございました。

この映画で描かれた「賞金稼ぎ」制度。保釈金を払って仮釈放された犯人が他の州に逃亡した場合、保釈保証人、または保釈金を貸し付けた保険会社は、「代理人」を雇って捕まえることが出来るとか。この「代理人」が即ち「バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)」。彼等は警察やFBIのように逮捕状も捜査令状などの法的手続きを踏むことなく、必要な武器や手段を使い逃亡犯を逮捕する事が許される。西部開拓時代のこの悪法は、事もあろうに法治国家たる現代のアメリカに、まだ脈々と生きているのであります。
先の「トム・ホーン」が「映画スター・マックイーンの遺言状」とするなら、この映画のライトさは「マックイーンからファンに向けての会葬お礼状」みたいな印象を受けます。それまで自身が演じてきた孤独な「追跡者&逃亡者」の存在を打ち消して、そのヒーロー像への自虐的諧謔。レンタカーの運転がからっきし下手クソだったり(ダイナマイトでトランザムを粉々に吹っ飛ばすシーン、大好きです 笑)、ラマーズ分娩法の講習であたふたするなど、老眼鏡が手放せなくなった初老(等身大)の「現代を生きる賞金稼ぎ」。自らの出世作となった西部劇TVシリーズ「拳銃無宿」。自身の原点に立ち返り、その時代錯誤感を含みつつ、明らかに「ジョッシュ・ランダルの血脈」であるラルフ“パパ”ソーソンをトンマ・カッチョに演じています。
事実、凶悪犯の大男「ビリー・ジョー・フェイス」を追って...なんてシーケンスがありますが、「拳銃無宿」観てるとクスクスです。「ビリー・ジョー」って「拳銃無宿」に登場した悪漢の名前なんです。(笑)
「100フィートの警棒(スタン・ガン)」片手に、彼と大立ち回りになりますが、投げ出されメリケン粉まみれになる。鼻の下にビッシリ粉がつきますが、彼は実生活「コカ」などドラッグを複数常用していた経緯があるので、これを半ばお遊び的に「自虐的に曝け出してしまった」というのは、単なる想像に過ぎないだろうか?
生まれ来る時代を間違えたこの男。
唯一の趣味が「ティン・トイ(骨董玩具)」の収集。
恋人が尋ねる。「何故古い物ばかりこだわるの?」
「新しい物にはロクな物がないからだ...。」
“シカゴの走行列車のパンタグラフにぶら下がる”といった見た目の派手なアクション・シーンに目が行きがちなのは仕方がありませんが、むしろこの辺りがこの映画の「核」の様な気がします。エンディングに産気づいた恋人を病院に運び、生まれてきた赤ん坊を一張羅のナイロン・セージに包み、不器用にあやすシーン。
「古きに固執してきた男でも、新しい物(命)を認められるじゃないか!」
「拳銃無宿」で「賞金稼ぎ」を演じ、奇しくもスターダムにのし上がった大スターが、中皮腫でこの世を去る前年に、前世紀の遺物となった「時代遅れの賞金稼ぎ」をわざわざ演じ、マックイーン物語の「輪廻」の輪を見事に完結させた辺りに「遺作を自ら演出した」に憎いほどのアザトサを感じるのでありました。いやはや。実に「華麗なる遺言状」だったと思います。
音楽は「栄光のル・マン」のミシェル・ルグラン。最近ようやくフランス・ユニバーサルからカップリングでCD化されると噂で聞くのだけど...。































