ロン・ハンセンの「ジェシー・ジェームズの暗殺」という本。集英社文庫。
ジェシー・ジェームズは西部一の無法者、ビリー・ザ・キッドばりに有名な銀行強盗で、北米においては神話的人物。ウォルター・ヒル監督の西部劇映画 「ロング・ライダーズ(出稼ぎ強盗の意)」で御馴染みかもしれない。新米のギャング仲間、ボブ・フォード、チャーリー・フォード兄弟に射殺されるんですが、南北戦争後、北部資本に蹂躙された南部において英雄視されたジェシーの義賊的イメージに、強い憧憬と羨望...そして功名の狂気に駆り立てられていくボブ・フォードのプロセスがよく描かれている小説でして、考証的リサーチも大変行き届いている本だそうですね。
なんでもこのノベライズに惚れ込んだブラッド・ピットの主演で、劇場映画が既に公開されているみたいですね。アンドリュー・ドミニク監督、2007年ヴェネツィアコクサイ映画祭男優賞受賞。読書はまだ途中なんですけど、結構深くはまり込んでます。
それで実は「ロング・ライダーズ」のDVDをここしばらくの間、探しておったんです。昔はCD/DVD SHOPの店頭でよく見かけたのですが、最近はあまり見かけなくなった。昨日買い物の出かけた折、偶然ブロックバスター品の中にこの映画のDVDを見つけました。まっぴら御免はウォルター・ヒル監督作品のこの映画、未だに大好きなんです。

この映画が公開された1980年というのは、娯楽の王道であった正統派西部劇が廃れて鳴りを潜め、僅かに独立プロダクション系において、斬新な映像と現代に通じる徹底したリアリズム志向を持って、正統派作品を見直そうというような動きが、ちょっぴり垣間見れた時代。「ワイルドバンチ」のサム・ペキンパー監督に始まった「西部の挽歌」、彼の門下にあたるヒル監督は、オールド・ファッションなスタイルを保ちながら、斬新な映像、過激な暴力描写を持ってして、古典的アンチ・ヒーローを現代の銀幕に鮮烈に蘇らせた記念的作品なのではないでしょうか?
この映画のバック・ボーンとなった南北戦争当時、舞台となったミズーリ州は北軍についたのですが、マーク・トウェイン文学作品に見られるように、黒人奴隷の労働力の上に成り立っていた州でしたから、州民...特に若者たちの多くは南部側に走るんです。その多くは非正規兵...土着的なゲリラなんですが、戦後ここから自然発生的に北部資本に対抗しうる武装私設団体へと変貌していく...。やがては長距離、馬や列車を乗り継ぎ州外へと「出稼ぎ強盗」。これが即ち「ジェームズ・ギャング=ロング・ライダーズ」の謂れとなるわけです。だが執拗に追跡を繰り返すピンカートン探偵社との距離は徐々に縮まってくる...。ラストのノース・フィールド銀行における一大銃撃戦は正に圧巻です。ウォルター・ヒル・スタイルの「ワイルドバンチ」の再現ですね。
ジェシー・ジェームズ(ジェームズ・キーチ)を首領に据え、兄のフランク(ステイシー・キーチ)。ヤンガー3兄弟(デヴィッド・キャラダイン&キース・キャラダイン&ロバート・キャラダイン)など、実際の俳優兄弟同士をキャストに据えた辺りが、なんとも趣向が凝った作り。ジェームズ・キーチ&ステイシー・キーチは主役の兄弟を演じる傍ら、製作総指揮、脚本まで手掛けていると言うから、この映画に込めた情熱は並々ならないもの。
また往年の西部劇俳優ハリー・ケリー・Jrがちょい役ゲストで出演しているのが面白い。(お父さんのハリー・ケリーも西部劇俳優)
また音楽のライ・クーダー。ボトル・ネックを中心としたサウンドが、絶妙に泣かせてくれますね。「西部劇」ではなく、「リアルな西部」を演出しておりました。
実際のジェームズ・ギャング一党は、銀行強盗11回、列車強盗7回、奪った金額は推定20万ドル、殺した人数は少なくとも16人と言われています。しかし南部大衆の口コミやマスコミから流布された彼の悪業は、時と共に次第に美化され、やがては「裕福な資本家から奪った金銭を貧乏人に分け与えたロビン・フッド的義賊」というイメージを持ってして語り継がれてしまう皮肉な結果となりました。地下のジェシーは苦笑いしているかも知れませんね。











































