2011年07月31日

甜蜜蜜とイヤー・オブ・ザ・ドラゴン

この映画が公開された80年代からガン・マニアだった影響もあり、随分眇めかつ邪まな鑑賞の仕方をしたもんだと後悔しきり。もし仮に駅前のデパートやSHOPで新古・中古のDVD販売品の中にこの映画を見つけたら、周囲の評判や出来の悪さはさて置いても、マイ・フェバリット・ムーヴィーの一本として迷わず手にするでしょうね。↓ これはレンタル品。(笑)

マイケル・チミノ監督の「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」。
うひょ〜!我ながら古い映画だね〜。(苦笑)

Year of the Dragon.jpg
【STORY】
大胆活残忍な暴力支配でニューヨーク中を震撼させるチャイニーズ・マフィア。組織中で勢力を拡大しつつある若き幹部ジョーイ・タイ(ジョン・ローン)が古い麻薬組織を改変しようといていた。一方、チャイニーズ・マフィア壊滅に自らの存在意義を賭ける警部スタン・ホワイト(ミッキー・ローク)が組織本部へ乗り込み、挑戦状を叩き付けるのだが……。

「天国の門」で大コケして仕事を乾されたチミノの復帰第一作。移民の坩堝:アメリカ社会で少数民族=マイノリティにスポットを当てて描く事に定評があったが、チャイニーズ・マフィアが在米華僑の暗部を全て支配しているような描き方がセンセーショナルを呼び、チャイナタウンや各地で上映反対運動が起きたとか。そりゃそうだよね。(笑) ロバート・デイリーの原作もさることながら、脚本を担当したオリバー・ストーン(!)の(「プラトーン」に観られた)中国もヴェトナムも解釈がごっちゃな亜細亜偏見主義が色濃く縁取られている。監督だって出世作は「ディア・ハンター」だ!

取り分けミッキー・ローク演じたヴェトナム帰りのスタン分署長の東洋人排他主義に、等身大の分身像を見る事ができないか?ただトレーシー・ズー演じた女性TVリポーター・アリアーヌと不倫関係に堕ちたりする件は、この当時のミッキー・ロークから漂う“腐とも糜とも受け取れる爛れた魅力”が人種偏見に満ちたタブーな内容を凌駕し、彼が演じた人物像も含め「性懲りもない」、「女にだらしのない」という滑稽な救いや味わいをこんにち残してしまったような気がします。たぶんブラッド・ピットもご同類。(笑) 襲撃され首を撃たれたり、掌を撃ち抜かれても尚と...いったWILDさを盛んに演出していますけど、後の時代も自らのセックス・アピールを妄信する以外は、演技者としてついに一皮剥けなかったのが惜しまれてなりません。



またチャイニーズ・マフィアの若き頭目を演じたジョン・ローンも「ラスト・エンペラー」以降キャリアが長続きせず、一体どこへ消えたのか...?いずれにせよ80年代映画の懐かしくも甜蜜蜜(Tián mì mì)とした空気に酔うも、また楽しからずや。偶然!来年は辰年だよね〜♪(笑)
posted by まっぴら at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月30日

ドイツ II号戦車 B型 (フランス戦線)

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昨日レンタル鑑賞した「SAW ソウ」の続編「ソウ 2」、更に「CUBE ZERO」を借りてきて先程まで視聴していたんですが、どちらも1作目の設定にオンブに抱っこで、あんまり面白くありませんでした。前作よりスケールUPを目論んで人数と派手さを狙った割りには、話に捻りが乏しくて(流血量より)物足りない。「こんな不本意な死に方は嫌だな〜商品カタログ」になってしまうのは、「13日の金曜日」シリーズ以来よりのこの手の作品の宿命なんでしょうか?社会観における第一印象と同じ様に、ファースト・インパクトというのはなかなか凌駕できないものであります。

さて、4〜5月中旬にかけて工作していた戦車模型、TAMIYAMM1/35「ドイツ II号戦車 B型 (フランス戦線)」の.htmlを編集し、ようやく棚にUPしました。記事に関して言葉が足らないような部分は、明日にでもまた追記します。そろそろ古い工作記事も再編集し、若干容量を減らす工夫をしなければなりませんけど....。
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HOBBY/ボクの模型棚

「さて次回作は?」という、机上の継続的発電に際して一定の電圧を要求される質問は、この時期、罪な響きです。(苦笑) 今のところ特別目新しい動きはありません。思考、指先に秘めたるモチベーションという蓄電圧がこのところ自然放電してしまった感があり、叩いても蹴ってもスパークせず、創作意欲のイグニッションがまったく繋りません。
こういう時はむしろ開き直りで、本を読んだりDVD・ブルーレイを観たり、秋口に向けて深く静かに充電中。他人により耽溺の度合いに重い軽いはあれども、何も模型ばかりが人生ではない。要は釣り合いが肝心だわん。(笑)


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ドイツ II号戦車 B型 (フランス戦線)の関連記事
2011年05月06日「THE U号愛」
http://mappiragomen.seesaa.net/article/199589927.html

2011年05月11日「悠久と有休の菖蒲月」
http://mappiragomen.seesaa.net/article/200442559.html

posted by まっぴら at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | モケ・ログ(模型log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月29日

SAW ソウ

束借りしたレンタルDVD作品では、今週はコレが一番面白かった。ソリッド・シチュエーション系のホラー...まあスリラーか?過去「CUBE」なんてカナダの迷作映画がありましたが、邦画の「バトル・ロワイヤル」等、連れ去られ配置型闘争系(?)映画の原形作品。ゾンビ映画と比肩しつつ、21世紀のホラー映画の一ジャンルを先導してしまった映画。

ジェームズ・ワン監督の「SAW ソウ」。何本か続編がありますが、一本目が一番インパクトが強いのかな?

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老朽化したバスルームで目覚めた2人の男、ゴードンとアダム。それぞれ足首に鎖をはめられている。2人の間には自殺死体。まったく見当がつかない“状況”に散乱するテープ・レコーダー、“再生せよ”と書かれたテープ、一発の銃弾、タバコ2本、着信専用携帯電話、そして2本の弓ノコギリ。耳障りな秒針の音と共に告げられたのは、「6時間以内に相手を殺すか、2人とも死ぬか」だった...。
 


一番マトモそうなヤツこそ、壊れ方が激しかった...。

当てになりそうなヤツが、肝心なとき役に立たなかった...。
(笑)

血生臭いのだけど、面白い!という感想は、不謹慎にあたるだろうか? ヴィジュアル的なグロさというより、心理的に迫るものがありました。内容は...見事に騙されちまいまして、そのどんでん返しの鮮やかさに舌を巻いた。(笑) 特に三果骨折で入院歴のあるボクは、この映画のシュチは原体験に根ざして、とても怖いなあ...。(内容に触れる為、あまり詳しくは書きませんが...) 弓ノコはしばらく観たくありません。(笑)

しばらくこの映画の続編を、プライオリティを上げて観てみようかと思っています。
posted by まっぴら at 21:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月28日

メメント


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一言で言い表すならば“クリストファー・ノーラン監督が仕掛けた神経衰弱”。その斬新過ぎる物語構成は、ビールで酔った頭では、内容がさっぱり分からない映画。軸足を置く場が確保出来ぬ事から、途中で少し気持ち悪くなりました。ラース・フォン・トリアーらが提唱する「ドグマ95」より始末が悪い。(笑)

メメント」。

これでも2000年の映画だから、11年前の映画だ。物語の重要ITEMであるポラロイド・カメラを見て、思わず噴き出しそうになったのだけど、映画の中で絶滅した家電や通信・光学機器を観ると、現代に置き換えたらどう様変わりするだろう?と、つい要らぬ心配をしてしまう。VHSビデオも無くなってしまった。貞子の呪いのビデオは、ブルーレイからBDやDVD-Rに置き換えると物語が成立し辛い。10回しかダヴィングが利かないし、やっぱTUBEやニコ動鑑賞が妥当かな?でもNET感染では別の映画だ!(笑

【STORY】
10分しか記憶を保てない前向性健忘に陥った男:レナード。彼は妻をレイプし殺害、自分を障害に陥れた犯人を捜し出すため、ポラロイド写真(!)を撮り、メモを取り、大事なことは身体に刺墨で書き記すなどして必死の行動を始める。しかしそれでもなお、目まぐるしく変化する周囲の環境には対応し切れず、困惑し、疑心暗鬼にかられていく。果たして本当に信用出来る人物は誰なのか。真実とは一体何なのか?

記憶として残る10分間のシーケンス毎に時間軸を逆さまにし、それ以前の記憶が消えた男と観客が共に推理していく形をとった実験的作風のクライム・サスペンス映画。発想は面白いですね。クランク・イン後、物語の筋をどういう順番で撮影していったのか?大変興味があります。記録係は死にそうになるでしょう。(笑)
モノクロ転換やフラッシュバックの多用。時系列を縦に組み替えたパズルみたいな構成で、頭の体操にはうってつけなんですが、本編のリバース再生の特典映像で鑑賞すると、あまりに陳腐な復讐劇だった。あれ以上本編内容を難しくすると、ますます混乱を来たすかもしれない。(笑) 事件がきっかけで記憶障害に陥ったのは哀れむべき設定だが、ガイ・ピアーズ演じる“全身メモ書き男”の復讐に、どれだけ感情移入が出来るかどうかで、作品の評価は大きく変わるのではないだろうか?

クリストファー・ノーラン監督作品「バットマン・ビギンズ」、「ダーク・ナイト」をBSプレミアムで観たけれど、(個人的には)前評判やCMスポットが大風呂敷だった割にあんまりイケてなかったね。(苦笑
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2011年07月27日

ブラック・ダリア

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作品の出来不出来はさて置いても、こういう映画にいち早く逢いたかったな...。公開の予定に合わせて劇場に足を運ぶという努力を惜しんだ結果、レンタルSHOPの中古販売という最もジャンキッシュな見方に辿り着きました。最低のカウチポテトだ。(笑) 
ブライアン・デ・パルマ監督の「ブラック・ダリア」。
実際に起きた猟奇殺人事件をモチーフとして、「L.A.コンフィデンシャル」等「暗黒のL.A.シリーズ」で巷を席巻し、“米文壇の狂犬”と呼び声高いジェームズ・エルロイが執筆した同名小説の映画化。

【STORY】
1947年ロサンゼルス。ダウンタウンの空き地で、身体を腰で切断された女性の惨殺死体がみつかった。黒い炎を思わせる漆黒の髪、青白い肌を照らす黒ずくめのドレス。ハリウッド・スターを夢見ながら大都会の暗闇に葬られた女を、人は「ブラック・ダリア」と呼んだ。捜査線上に浮かび上がる一編のポルノ・フィルム。ダリアと瓜二つの大富豪の娘、そして彼女の一族にまつわる黒い秘密。事件の謎は、捜査にあたる若きふたりの刑事の運命をも狂わせていく...

「スカー・フェィス」、「アンタッチャブル」、「ミッション・インポッシブル」と、時折独特のカメラワークを覗かせる以外は、メジャー・スタジオに迎合するようなチャラい内容の作品が多くて、一時のリドリー・スコット同様、“プロデューサーに潰された映像作家”というイメージがついて回った鬼才監督なのだけど、今回手腕は衰えていないのが嬉しかった。特殊な画角やスロー、ワイプなどデ・パルマ・カットとまで呼ばれる映像技術の確かさ、作品全体を覆う怪しい空気は、健在...ではなく、むしろ更なる新境地を覗かせてくれたようで、大変満足致しました。

ただ物語は人物相関が複雑に錯綜し過ぎで、難し過ぎるねぇ。カンヌで評判が悪かったのも頷ける。ブラック・ダリア事件に絡んでというよりは、対極する2人の刑事と1人の女の、他人には言われぬまか不可思議な床事情を見せたかったのかねぇ?物語のキー・ウーマン(?)となるヒラリー・スワンクは、淫猥にそぐわぬ安っぽい魅力だし。ジョシュ・ハートネット、アーロン・エッカート、スカーレット・ヨハンソンといった昨今の若い役者には、この世界観に通じるだけの身の丈に合った役柄を求めるは無理なんじゃなかろうか?
また物語ラストの“決別の銃口”は、セックスと暴力におけるサディズムが常に根底に根ざしたミッキー・スピレインのハードボイルド小説「探偵マイク・ハマー 裁くのは俺だ」のオマージュだ。エルロイの原作でも暴力賛歌として描かれたのだろうか?

もっか丹念に見返しては、殺しの美学、その映像美に酔い浸る楽しみだけが残されている。作品の出来不出来は兎も角も、実はこの映画の「コレクターズ・エディション 2枚組」が欲しい。特典ディスク収録の「ブライアン・デ・パルマ監督が描く現実と虚構の世界」、「実際の"ブラック・ダリア事件"」、「事件ファイル」が観たいから。(笑)
posted by まっぴら at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

すもももももも...

東北より大量のお米と一緒に、トマトと茄子とかぼちゃ、それにプラムが送られてきました。すももなどすっかり味を忘れておりましたっけ。感謝感激であります。

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以下、アニメ!アニメ!よりの記事の転載でありますが...

【「劇場版 戦国BASARA」 宮城県三大祭で観光応援タイアップ】
2010年に宮城の夏を代表する3つ祭、「仙台七夕まつり」、「政宗公まつり」、「鬼小十郎まつり」とタイアップしたアニメ『戦国BASARA』シリーズが、この夏は『劇場版 戦国BASARA -The Last Party-』として再び祭に参加する。
本作は戦国武将の伊達政宗を主人公に、破天荒な物語を描く大ヒット作。地元仙台の政宗とその右腕で白石を拠点にした片倉小十郎を中心に夏の大型イベントに協力する。本年は、それぞれの祭に合わせたビジュアルも登場し、熱い夏を盛り上げる。

『劇場版 戦国BASARA -The Last Party-』は、2回にわたるテレビアニメシリーズの放映を受け製作された初の劇場アニメである。2011年6月4日に公開スタートしたが、最初の週末で1スクリーンあたりの平均興収が全映画のなかでトップに立つなど、相変わらずの人気ぶりを見せつけた。
こんな注目の作品を、こちらも毎年注目される三大祭と結びつけ話題づくりをする。シリーズは2009年から地元の名産と作品を結びつけた取り組みを行ってきたが、継続的に活動することで、キャラクターと地域の関係をより深める。

とりわけ2011年は、今年3月11日に起きた東日本大震災からの復興応援に力を入れる。これまで『戦国BASARA』は、観光振興で宮城とつながりが深かった。しかし、先の震災の結果、地元を訪れる観光客の減少で、地元観光業は大きな痛手を受けている。
そこで、観光客へのアピールも含めて、再びのタイアップとなった。さらに今回は3つの祭で使用する3つのイラストを無償で提供、さらに商品開発などでこのイラストを活用した際には、それぞれの企業が売上の一部を宮城県への義援金とする。こうした話題づくりは、宮城県の祭に目を向ける機会を生み出す点でも協力にもなりそうだ。

仙台七夕まつりのイラストレーション

「仙台七夕まつり」公式サイト
http://www.sendaitanabata.com/

「政宗公まつり」宮城県大崎市サイト 
http://www.city.osaki.miyagi.jp/

「鬼小十郎まつり」公式サイト
http://www.city.shiroishi.miyagi.jp/section/kikaku/onikojyuro/


春先に帰省した際、利用駅たる白石市の入れ込みようが、キオスクの土産物レベルではなく、意外とマジ盛り上がりだったのが驚いたのだけど...

武か?ツキか?それが問題にて候。(礼)
posted by まっぴら at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | デリ・ログ(日常log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月26日

ハート・ロッカー

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当初ガイ・ピアーズ主演の映画「メメント」をレンタルしようかと思い、ついこちらを借りてしまったのだけど、こちらにも偶然出演されておりました。2008年のヴェネツィア国際映画祭、トロント国際映画祭で上映。第82回アカデミー賞9部門ノミネート・6部門受賞と俄然評判がいいので面白くない。だが喰わず嫌いを極力払拭すべく観ているので。

キャサリン・ビグロー監督作品「ハート・ロッカー」。
イラク駐留米軍・危険物処理班の物語。

過去、一触即発の恐怖を見せ付けられたのが、イブ・モンタン主演の「恐怖の報酬」。最もあの映画のヒットは、空襲の恐怖が冷め遣らぬ戦後すぐの話で、人々の記憶に爆弾の恐怖が根付いていたから。また爆弾処理の映画作品ですと、リチャード・ハリス主演の「ジャガー・ノート」などがとりわけ印象深かった。豪華客船に取り付けられた爆発物に乗客は逃げ場無しといった状況。

解体要員が爆弾に一歩近づく毎に周囲の酸素が希薄になっていくような緊張感は良く描かれている。フランシス・F・コッポラの様に“空気まで描ける”映画監督は今日稀少なのだけど、対イラクといった現実問題を扱う上でリアル指向を追求したせいか、フィクションにもセミ・ドキュメンタリー・タッチにもどちらにもなり切れておらず、そのボーダー・ラインが非常に曖昧。混沌を描く社会派作品としては体よく纏まっていると思うけど、軸足が定まらない感覚が不満として残るだろうか?軍隊組織内において羽目を外しがちな主役も、感情移入がしづらいし...。

また物語にまるで用意されたかのように劇的な爆発シーンばかりが多く見受けれる。“爆発が予想できない”演出を用意した方が、より一層の爆弾処理の恐怖の感覚は得られるはずで、ワン・ミッションへ到達→完了という累積で話を組み上げていく形式なら、“緊張と弛緩”の配置に関しては、もう少し工夫があっても良かったのではなかろうか?この点、休暇までの時間の消化(経過)を前面に押し出した割には、用意された131分の上映時間枠内での展開があまりにも平坦で、お芝居劇としての盛り上がりには欠ける印象を受ける。社会派だとかリアルだとか混沌を言い訳に、不消化を覆い隠す言葉にしてはいけない。そういった意味では確信犯的な罪作りな作品であるね。そういえばブラスト・スーツ、ヘルメット越しの風景など、ともすれば窒息感を表現できそうなカメラワークなどあって然るべきなのに全然無かったし...。

ただ舞台が敵味方が混然としてはっきりしない戦場ですので、敵弾の恐怖と爆弾の恐怖のその両方を時間枠で再現せよ!というのは少々酷な話かも知れないね。あっ!爆弾とは直接関係なかったが、哨戒中ゲリラと遭遇。バレット対戦車ライフルを使用した狙撃シーンなど妙に面白みを感じたね。あの大口径ライフルは血糊で給弾不良を起こすほど精度が高い物なのか?(笑)

監督は女性がゆえ(蔑視や特別視はしませんが)肌理の細やかな丹念な撮り方をし、男性映画からすれば見落としがちなどうでも良さ気な描写を啄ばみ、繋ぎ合わせる手腕、また公衆のイラク人が全て敵に見える生理的に根ざした恐怖や、人間爆弾など痛覚に訴えそうなキショい描写を用意する手並みは鮮やかなのだけど、爆弾部品の収拾癖やら休暇復員後の家族の話などメロウな部分を妙に織り交ぜたがゆえ、(キャラの厚みこそ増したといえ)それまでの映画のテンポを大きく掻き乱しているような印象を受けました。
要は爆弾解体にも似た細心さを必要とすべきところを、全体的に女性特有の変な気負いや度胸を持って、完了まで推し進めてしまった作風にもっか幻滅しています。

元夫のキャメロン監督の「アバター」と、周囲がアカデミーの現場で夫婦対決の話題性ばかり追求したがゆえ、無理無理同じ土俵に上げられてしまったような印象を受けるんだ。実際、作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、etc...を受けるに似合っただけの力量がこの社会派作品にあったのか?と思うと、妙な歯切れの悪さばかりが心に残ってしまい、正直首を傾げてしまうなあ...。
もっとも家族や隣人を出征させているアメリカ人には、イラク問題は(対岸の火事の我々よりは)深く切実なんでしょうけど...。

結論いい映画かもしれませんが、ボクとは反りがあわないようで

個人的には同監督作品ですと、「K-19」の味濃いベタさが好きですかね。そういえば現代の「The Hurt Locker」って米軍のスラングで「苦痛の極限地帯」とか「バーリーバッグ(屍体袋)」を意味するそうですがこの、元妻の用意した仕掛け地雷にキャメロン監督はある意味さぞ辛かっただろうなあ....。(笑)

posted by まっぴら at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月25日

ミラーズ・クロッシング

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インテリ系の悪役以外はあまり知名度の無いガブリエル・バーンが主演という事もあり、興行成績は今ひとつだったみたいです。当時は喰わず嫌いもあったので、あまり関心が無かったのだけど、コーエン兄弟の代表作という事で今更ながら観てみる気になりました。
ミラーズ・クロッシング」。禁酒法時代のアメリカ東部を舞台とし、マフィア同士の抗争を描いたハードボイルド映画。

【STORY】
アイルランド系マフィアのボスであるレオ(アルバート・フィニー)と、その右腕のトム・レーガン(ガブリエル・バーン)は主従関係を越えた友情で結ばれていた。

ある日、レオはイタリア系マフィアのボスであるジョニー・キャスパ(ジョン・ポリト)ーから、八百長を邪魔するチンピラのバーニー(ジョン・タトゥーロ)を消してほしいと持ちかけられる。だがレオはバーニーの姉である高級娼婦ヴァーナ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)を愛するあまりトムの忠告にも耳を貸さず、キャスパーの頼みをはねつける。
一方、バクチで負けが込んだトムはその日、ヴァーナと一夜を共にする。翌朝、ヴァーナを尾行していたレオの用心棒ラグが死体となって発見される。この事件によって抗争は激化し、レオが報復としてキャスパーのアジトに襲撃をかければ、次はレオ自身がキャスパー一味からの奇襲を受けるという有様であった。

厳戒態勢の中、トムはヴァーナと関係を持ったことをレオに告白したため、激怒したレオによって追放されてしまう。キャスパーの側についたトムは、バーニーを捕らえて〈ミラーの十字路〉で処刑するよう命じられる。

組織の処刑現場であるミラーの十字路のシーンの撮影には、穏やかな色調に優れた富士フイルムのフィルムが使用されたそうで、撮影監督:バリー・ソネンフェルドの意向する曇天の天候という事もあり、(またカーター・バーウェルの音楽とも相俟って)映像から詩情すら感じられる。銃撃戦のバイオレンスの度合いはただ派手に撃ち合うといったものでなく、撃つ側・撃たれる側にある種の滑稽味をインサートするため、デス・バレェも返って迫真かつ凄惨なリアルさが伴う。

劇中の裏切りに次ぐ裏切りという“裏切りの連鎖”は、脚本を担当するコーエン兄弟の面目躍如と思うんですが、如何せん室内劇(低予算?)にそのほとんどが割かれているため心理的圧迫感が伴い、キャラクターに感情移入できるか否かで、好き嫌いがはっきり別れる作品だと思います。とりわけガブリエル・バーン演じる主役のクールさも仇になっているのではなかろうか?劇中口数が少ない分、ウイスキーばかり煽っていましたが。確かに格好はいいのだけど...。(笑)

また合い違える2大勢力の間を行きつ戻りつする設定は、例えは悪いが三船の「用心棒」、あるいは「ラストマン・スタンディング」をコーエン兄弟が撮ったらこんな感じ?この監督作品に共通して感じる物語のスパイシーさは「ノーカントリー」の時もそうだったが、関係描写に隙が無いことに加え、盛んに定石破りをするため、多少難解さが伴い、必ずしもユーザー・フレンドリーな作風ではない。この作品の描くノワールに美学を求めるならば、劇場よりDVDで繰り返し観た方がお勧めかもしれない。個性的な(面相の)役者を多く用いる割には、一度観たぐらいでは名前が憶えきれないんです。(笑)

この映画でスクリーン・デヴューを果たした女優:マーシャ・ゲイ・ハーデンの研ぎ澄まされた面立ちは、若い頃のローレン・バコールみたいだ。悪女ってパターン化されているのだろうか?

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2011年07月24日

目病み男で風邪ひき男

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昔から「目病み女と風邪ひき男」というのは色っぽい人物の代名詞のようだが、今ボクはその両方だ。(笑) モテ期なんて罪な言葉をよく聞くが、箸棒はおろか端から縁が無いようで、加えてこの夏風邪ではみずぼらしく飼い犬すら避けて通る。台風一過の後は急に気温が冷え込んだからね。目頭が赤いのはどうも変な雑菌が入った様だ。

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庭先のブルーベリー/ティフ・ブルーがこの時期微かに赤みを帯びた。

仕事以外は日頃の疲れで出不精が祟り、周囲に取り立てて話題がない事から、先週はレンタル屋でDVDを借りまくっては環境再生しながら、ラクガキばかり...と文化的には程遠い不毛過ぎる近況に僅かながら触れた。

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posted by まっぴら at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | デリ・ログ(日常log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

宮廷画家ゴヤは見た

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レンタルDVDで映画「宮廷画家ゴヤは見た」を観た。(笑) 
製作:ソウル・ゼインツ、監督:ミロス・フォアマンなんていうと、あの「アマデウス」の重厚さ!主演が先の「ノーカントリー」で殺人鬼“シガー”役でインパクトを与えた「ハイスクール奇面組」のようなハビエル・バルデム。それと「ブラック・スワン」のナタリー・ポートマン共演で描いた歴史ドラマ。
スペインを代表する画家:フランシスコ・デ・ゴヤを演じるのはスウェーデン出身の俳優:ステラン・スカルスガルド。「存在の耐えられない軽さ」に始まり実に芸達者なアクターですが、今回この人演じるゴヤは画家の視線に留まらず、自らのタブローとなった修道士と少女のスキャンダラスな愛の行方を通じて、異端審問からフランス革命、ナポレオン戦争、独立戦争に揺らいだ動乱のスペイン史を鳥瞰している。この作品のステラン・スカルスガルドのいでたちや背格好は、どことなくハーヴェィ・カイテルとキャラが被ってるような気がしますねぇ。

【STORY】
1792年マドリッド。スペイン王室の宮廷画家:ゴヤ(ステラン・スカルスガルド)は、依頼を受け修道士:ロレンゾ(ハビエル・バルデム)の肖像画を描いていた。ロレンゾは、隠れ異教徒を探し出しては異端審問にかけることで、失墜しかけているカトリック教会の権勢を取り戻すべきだという提案をしていた。ロレンゾの提案を採用した教会は、早速被疑者たちを捕捉しはじめる。その中には、食堂で豚肉を食べなかったというだけでユダヤ教徒の疑いをかけられ捕らえられたイネス(ナタリー・ポートマン)もいた。イネスは富裕な商人ビルバトゥア家の美しい娘で、ゴヤの絵のモデルでもあった。ビルバトゥアは友人でもあるゴヤを介してロレンゾを家に招待し、無実の娘を返してほしいと懇願するが…。



ナタリー・ポートマンがこんなに演技派だとは思わなかった。異端審判の拷問に全裸で望む幽閉劇は15年後に時を移し、母、獄中で出産した娘の一人二役を実に華麗に演じきる。美しい娘もさることながら、入獄期間中の精神的重圧で廃人と化したイネスの役作りは、女優としての美しさをかなぐり捨てて“女パピヨン”を見事に演じきっています。ハビエル・バルデムなんて味と演技の濃い役者を起用しているにも関わらず、彼女にすっかり喰われちゃっています。これは凄かった!しかしミロス・フォアマンって「アマデウス」のサリエリの時もそうでしたが、精神系養護施設の描写を描くのが好きな監督だなあ...。

そういえばナタリー・ポートマンといえば、極めて楽天的な生理のようで「ブラック・スワン」で共演したフランス人振付師のべンジャマン・ミルピエとデキ婚のニュースがありましたが、彼女が映像化の権利を買い取ったというジェイン・オースティン、セス・グレアム=スミスの「高慢と偏見とゾンビ Pride and Prejudice and Zombies"」の製作・主演の話はどうなったんだろう???顎を曲げぎこちない足取りの今回の廃人役は、やたらゾンビ映画を意識したような気もしたんですが、きっと育児の面倒でゾンビと素手で闘うどころではないんだろうなあ。(笑)

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posted by まっぴら at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月23日

「グラン・トリノ」に学ぶ意固地術

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映画「ミリオンダラー・ベイビー」を観た際に、「もう勘弁してくれ!」と心の中で悲鳴を挙げた。クイント・イーストウッドが病み呆けた白文鳥のように老いていく様をこれ以上観たくなかったから。いやはや今年で御歳81歳になったそう。この「グラン・トリノ」は都合が合わず劇場では見逃した作品でありましたが、先の理由もあったことから何れは観てやろう...と心に秘めたまま、なんとなくボンヤリ今日まで過ごしてしまいました。
もっともこの作品を彼の俳優業最後の仕事と位置づけたそうで、映像媒体で演技者としての彼の勇姿を観るのはこれが最後と思うと、ショーン・コネリーの時以上にやはり寂しい。でもこれ以上は老害。
この作品で彼は朝鮮戦争の元軍人:ウォルト・コワルスキーを好演しましたが、彼のフィルモグラフィにおける戦争映画「ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場」の古参兵トム・ハイウェイ軍曹の後日談のような印象を受けました。しかいイーストウッド自身も朝鮮戦争に従軍歴があることから、ほぼ彼の分身であり、等身大のキャラクターなのでしょう。それにしても周囲に妥協の無い恐るべき程頑迷な老人を演じています。世間に遠慮会釈といった分別が無くなる歳なんでしょうか?それにしては格好良過ぎで、ボクもこのような爺に憧れる。

よし!ボクも年老いたら、親族の態度に憤り、
 言葉の揚げ足をいちいち取り、事ある毎に薄汚く罵ろう!

機嫌を損ねたら、辺り構わず唾を吐き散らかそう!

トロいヤツはここぞとばかり弄り倒したい!

自宅に芝生は無いが、隣人は常に泥棒呼ばわりだ!

腰に片時も肌身放さず軍用の45口径を引っさげるのも忘れない。

でもボクのボロ車を貰ってくれそうな輩はきっと誰もいない。(笑)

【STORY】
フォードの自動車工を50年勤めあげたポーランド系米国人、コワルスキーは、愛車グラン・トリノのみを誇りに、日本車が台頭し東洋人の町となったデトロイトで隠居暮らしを続けていた。頑固さゆえに息子たちにも嫌われ、限られた友人と悪態をつき合うだけの彼は、亡妻の頼った神父をも近づけようとしない。コワルスキーを意固地にしたのは朝鮮戦争での己の罪の記憶であり、今ではさらに病が彼の体を蝕んでいた。

その彼の家に、ギャングにそそのかされた隣家のモン族の少年タオが愛車を狙って忍び込むが、コワルスキーの構えた銃の前に逃げ去る。その後なりゆきで、タオやその姉スーを不良達から救ったコワルスキーは、その礼にホームパーティーに招いて歓待してくれた彼ら家族の温かさに感じ入り、タオに一人前の男として仕事を世話してやることになる....。

この作品に登場するモン族というのは、中国西南からタイ・ミャンマー・ラオス・ヴェトナムに分布する少数民族:苗族(ミャオ族)のことですね。アメリカはアジア系移民を70年の長きに渡り禁じてきた移民法が1965年に改正されたが為、中国・韓国から大量の移民が流れ込んできて、70年代に入るとインドシナの共産化によってラオス・ヴェトナム・カンボジアから更に大量の政治難民が流入しました。これは移民法改正以前の6倍強の人口になったそうで。モン族の場合、合衆国に渡米したの40.000人以上、2006年の調査ではこの2世・3世の人口が約21万人(!) 当然そのほかにクーデターなど政治的月経を繰り返す中南米・イスラム諸国など亡命者人口もあるわけですから、このため白人は都市郊外へと押しやられるようになり、都市部は非白人の人口が占める様になったと聞きます。もはやマイノリティではないんですね。都市部で混合したエスニシティ・民族的伝統は文化多元主義を生み、彼等はアメリカ人でありながら独自の文化を持つ事になります。

自分らは神に選ばれた神の子であり、神の示し給う土地に定住する敬虔なるキリスト教徒にとってはこれは面白く無い事でしょう。差し詰めジョン・フォード監督作品だったら異教の兇族として、ただ討滅の対象として彼等を描くことになったでしょう。
イーストウッドの映画の面白いところは、あくまで文化の壁を乗り越えたヒューマニズムを念頭に置きながら、演技者である自らは劇中それらに眇めな視線を持つ者として意地悪く振舞うこと。「ダーティー・ハリー」におけるメキシコ人の相棒に対してもそうだった。(笑) 絶えず彼等と反目を繰り返しながら、次第に心の底で互いのアイデンティティーを認め合っていく事。この方の師匠筋であるセルジオ・レオーネ監督やドン・シーゲル監督ではなく、職人監督:ロバート・アルドリッチによく観たスタイルだ。

チンピラ達の襲撃に“やったらやり返してやる”というビジランテの精神が、アメリカ開拓史的伝統として頭をもたげ始め、コワルスキーもご多分に漏れず西部劇宜しく決闘の現場に赴く事になりますが、病の身を押して床屋に行ったり洋服を新調したりと、この辺りドン・シーゲル監督作品、ジョン・ウェインの遺作「ラスト・シューティスト」を彷彿とさせる。物語最後で見せるコワルスキー/イーストウッドの勇姿は、“ゴシップが多く、絶えず矢面に立たされた自らの役者人生へのピリオド”として敢えて銀幕に焼き付けたような、多少自虐的な印象すら感じるのですが如何でしょうか?

また72年フォード・グラン・トリノを物語の核に据えた辺り、彼の私的拘りが窺えます。彼の西部劇など目だって顕著ですが、ウエスタンにありがちなColt 45 ピースメーカーといった有名どころの拳銃を使用しませんね。必ずマイナーな一品を持ち出してきますから...。

12年物のブラック・ラヴェルを空けながら、眼が真っ赤になってしまった!久々にいい映画を観る事が出来ました。これはお勧めな映画です。

posted by まっぴら at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月22日

悔いる事無き国の力無き正義

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恥ずかしやコーエン兄弟監督作品など、なんも知らん...。同監督作品「ミラーズ・クロッシング」が観たくなりレンタルへと出かけたが、代わりにこちらの方を借りた。2007年度アカデミー賞4部門(作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞を受賞)を獲得し、言わずと知れたスリラー作品
ノーカントリー」。

日々凶悪化する犯罪を憂う保安官エド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)のナレーションを背景に物語は幕を上げ、アメリカ・メキシコのボーダーライン、麻薬取引の大金を巡って凄惨な殺戮劇が繰り広げられる。

物語全編を通じて過激な暴力描写は圧巻。ハビエル・バルデム演じる職業的殺人者...というよりターミネーターに限りなく近い非人間的な殺人鬼“シガー”は、その面相同様強烈なインパクトを残したが、麻薬取引現場の金を横取りし彼に追われる身となるハンター(?):ルウェリン・モス。公開当時の前評判を知らぬまま「昔の映画だったら「カプリコン1」や「ジャグラー」のジェームズ・ブローリン辺りが演じてそうな役柄だなあ...」と思っていたのだが、偶然ルウェリン・モスを演じていたジョシュ・ブローリンは彼のせがれだった!のには大爆笑だった。(ダイアン・レインの亭主ってこの人だったのね。)

また麻薬ディーラーから金の奪還を命じられた賞金稼ぎ:カーソン・ウェルズを演じたウッディ・ハレルソンは、珍しくまともな役に徹しており(てか他が飛び抜け過ぎている)小役ながら好印象を感じた。理性派としてエド・ハリスとキャラが通じる感じさえする。

アメリカ社会など高度に管理されていそうに見えて、国土面積の広大さから端々まで法令順守の機能が徹底されていないのは書くに及ばずの事。法の目の番人・正義の味方とされる保安官であっても、地域に根ざした一介の情実調整権力に過ぎず、日々進化する凶悪犯罪に強力な規制力を行使できないジレンマに老いた保安官が苦悩する姿がよく描かれていると思う。
この国の社会を構成する全ての事象が、自らの抱え込んだ病巣によって大なり小なり歪められている。
膺懲も暴力」として拳銃の携帯を忌む保安官だが、物語後半は腰に携帯している姿が印象深かった。銃と血と暴力の伝統で築き上げられた国は、結果として何も変わらない。劇中なにも解決しない後味の悪さ・薄ら寒さはリアルで、それでいて妙にもの哀しい余韻を残す。そんな映画だ。
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2011年07月21日

べネックス・ブルーの青い鳥逃げた

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職場の帰りにレンタルショップに立ち寄るのが至福のひと時。ここ最近、全然劇場映画を観ていなかったもんな...。興味はあったがついぞ劇場で見逃した作品が星の数ほどあるため...またこの歳になり、もう一度観てみたい映画などをワンコイン・チョイスする。ビールや発泡酒片手に鑑賞しているのが楽しい...これって最低の見方かな?

ジャン・ジャック・べネックス監督の「青い夢の女」を借りた。なにせ昔観た「ディーバ」のスタイリッシュな映像美学があまりに衝撃的だったため、今でも自分の中ではネ申掛りの映画監督の一人である。その後の「ベティ・ブルー」は内容が男女の性愛に言及されるため、大きな声で言うのも憚れるが、結構気に入った作品。ちなみに仏映画にはリュック・ベッソンという大御所が居られ、初期作品に観られた“客を突っ放す素っ気無さ”には敬服した時期がありましたが、どうも「レオン」以降はハリウッドナイズ化が著しいので、自分の中ではあまり拍手を持って迎えられる監督ではない。

【STORY】
夫のDVが元で精神分析医ミッシェル(ジャン=ユーグ・アングラード)の診療を受ける人妻:オルガ(エレーヌ・ド・フジュロール)。ところがミッシェルは診察中に眠ってしまい、目覚めると死体と化したオルガが横たわっていた。死体の処分に困る彼に、さらなる謎めいた事件が相次ぐ。


青・白・黄・赤といった様々な原色が交錯し一見アヴァンギャルドとも受けとれる執拗な色彩配置(物)は、流石べネックス!8年の沈黙を破り復活の面目躍如...だと思うのだが、監督いわく“死と鬱のブラック・ユーモアを散りばめた”とされる物語も、結局のところヒッチコック往年の名作「ハリーの災難」の現代版焼き直し。エロティックさもイメージを持って描かれるものの俗悪なSMあり屍姦あり。前衛的姿勢を持って、まるで“公衆便所の落書き”に望んだような...極めて都会型な猥雑な印象しか感じなかった。(OP・EDから一目瞭然であろう)

物語もオルガの屍体の始末に悪戦苦闘する精神科医自らが、幼少時に受けたトラウマからの脱却劇、女の死と彼女が夫の元から持ち出した大金を廻るサスペンス、恋人とのラブ・ストーリーなど、いろいろ詰め込み過ぎた結果、どれも土俵を突っ切れてない感じがしました。仏映画の役所広司のようなジャン=ユーグ・アングラードも年齢的に老け込んだせいか?若い頃の溌剌とした魅力を求めても酷な話で、エレーヌ・ド・フジュロールも生きて悪女・死してお荷物(?)を演じても、どちらにもあまり魅力を感じないんだなあ〜。
また精神分析の観点でジークムント・フロイトなどを作品中に持ち込んだがために、ハッピーエンドである橋の上でのキス・シーンや背景のエッフェル塔の夜景の美しさに、無意識研究のサブリミナルを投影してしまう。要は送り手側の高尚なジョーク(変化球)を勘繰ってしまい、素直に喜べないのであるのね。(笑)

ただ元放火魔のホームレスや、墓場にダッチワイフを持ち込み戯れに興じる自称:D・Jといった、この監督作品に往々にして登場しがちな街の怪しげな住人たち=よく言えば個性的な取り巻き、悪く言えば変態ども(笑)は非常に面白味を覚えるのだけども...。

かくてべネックス・ブルーに彩られた青い鳥は逃げ、
ボクの仏映画の憑神は地に落ちた!
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2011年07月20日

Angela's Ashes

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惨めな子供時代だった。
だが幸せな子供時代など、語るべき事は何も無い。

鬼才:アラン・パーカー監督、エミリー・ワトソン、ロバート・カーライル主演の「アンジェラの灰 Angela's Ashes (1999)」をレンタルで観てしまう。先にレヴューした「カティンの森」が“侵略や属国支配の恐怖”だとするならば、こちらは“極貧の恐怖”だ。“貧困”なんて生易しいものではない。戦前の英国植民地であるアイルランドってどんだけ貧乏なのよォ?って...。
監督:アラン・パーカーと聞くと僕らの世代では「エンゼル・ハート (1987)」 「ミシシッピー・バーニング (1988)」といったスリラーとかサスペンス方面に長けたイメージが強かった。だが90年代から作風を一新したのは何となく聞き及んでいた。しかしこの映画を正視するのは本当に辛くて、その前半は何度投げ出そうかと思ったぐらい...。
いや!フランク・マコートの原作は1996年のピューリッツアー賞を受賞した大変な名作。撮影のマイケル・セレシンは「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」の撮影監督を務めただけあって映像は素晴らしいし、音楽だって大御所:ジョン・ウィリアムズだ。...しかし内容は赤貧洗うが如し。別な意味での“恐怖映画”で“身体が冷えきる”、
そして痛い映画なのです。

【STORY】
アイルランド出身のマラキ(ロバート・カーライル)とアンジェラ(エミリー・ワトソン)は、ニューヨークで出会って結婚した。二人の間には5人の子供が生まれるが、しかし父親のマラキは仕事が見つからず、酒びたりの日々を送り、一家の生活は厳しいものであった。一番下の娘が亡くなったのを機に、一家はアイルランドへ戻り、リムリックで暮らすようになるが、生活は一向に良くならなかった。

この英国領は牧畜と漁業以外は目立った産業が何も無く、経済基盤が弱いため貧困率が高い。とりわけリムリック(マンスター地方)の気候、シャノン川に面した貧民街の湿度が半ば風土病とも思える肺疾患等を生み易いため、新生児や乳幼児の死亡率が非常に高い。一家の舞台となる地区協同トイレ傍の借家は土地が沈み込み、ひと度雨が降ると1Fの床は水浸し。(げっ!) 元I・R・Aの闘士の肩書を持つ夫:マラキは気位が高く働かず、また働いても長続きせず、失業手当はおろか遠縁の親戚のよこす出産祝いまで飲んでしまう駄目亭主。一家は親族や世間に白眼視される日々...。
また(物語のバック・ボーンとして)国教であるローマ・カトリック教が避妊・中絶を許しておらず、暮らしが立ち行かない中、次々と兄弟・乳幼児が発病・衰弱死してしまう過程を、長男:フランク(原作者:フランク・マコート本人)の成長の視線で、実に淡々と描かれているのが怖いのでした。
これが脳天気かつファイト一発なハリウッド映画ですと、母:アンジェラの自立のプロセスが描かれて然るべきなんでしょうけど、当時の風潮や古い格式・伝統が阻み、路上や教会で物乞するまで落ちぶれても、妻たる者...脱家庭まで踏み切れず突っ切れない過程がねえ...観ていてホント辛いなあ...。救済の手立ての代償に、高圧的に振舞う教会。本来安らぎを求めて然るべき家庭も地獄なんです。時折物語は息抜きにユーモラスは交えるものの、どこか冷ややかな笑いなんだなあ....・

ありとあらゆる人達の野辺送りの中、物語の後半は希望を胸に秘め、アメリカに旅立とうとするフランク青年の自立に焦点が移行していくのが唯一の救いかな。不逞の夫を毛嫌いするがため普段は意地悪な叔母が、フランクの就職に際して洋服を新たに新調してくれる話など実に泣かせるじゃありませんか。



不肖ボクはこの映画を世で働く平凡なお父さん方に観て欲しいと思う。不幸にも挫折や失業を経験された方なら尚良し。社会から爪弾きにされた孤独と悲哀と同時に、妻や子供・家族に対する責任の重要性が痛いほど再認識できるから。...と変に膝を正して教科書通りの締め方で幕。
女の方が過去に関しては意外と割りきりが良い...と、ここで妙に恨み言しきり。(笑)

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2011年07月19日

ブルースで死にな 〜原田芳雄氏追悼

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表題は故人のレコード楽曲のタイトルから失敬。
(※) 補足すると、宇崎竜童氏デビュー35周年を記念して作られたブルース・アルバムのタイトル&1曲。原田芳雄氏への提供曲。

大兄の訃報に接し、ただただ呆然とす。

自らの死に香煙を燻らせるべく
遺作となった「大鹿村騒動記」の撮影に望んだのかと
思ったりもしたのだけど...。

福島原発事故の年に...というのも何やら感慨深いなあ...。
ATG作品「原子力戦争(1978)」 。

藤田敏八監督...敏八っつぁんや鈴木清順監督、黒木和雄監督、
弟分のように親交が厚かった松田優作と、今頃きっと飲んでるよ。

合掌、黙祷。 ブルースで声明梵唄。(合掌)

posted by まっぴら at 20:54| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月18日

姦しの雑感...

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女三人姦しい...。このSeesaaブログさんともブログデザイン等でコラボしているようですが、しょーむ無いまっぴらのおとっつぁん(私)は、ほんにええ歳をかっくらこきまくって、深夜アニメの「花咲くいろは」を毎週欠かさず楽しみに観ています。(笑) 石川県の美しい自然を舞台に、ひょんな事で旅館:喜翆荘で仲居として働く事になった少女:松前緒花と、個性溢れる従業員達のサクセス・ストーリー。

いや、最初はまったく期待していなかったんです。意地悪の旅館の女将(緒花の祖母)の平手打ちを見た時に、「犬にやる飯はあっても、おみゃーにやる飯はにゃーだで!」という峻烈な名台詞で有名な、かつてのTVドラマ番組「細うで繁盛記」の焼き直しだ!って錯覚したんです。ですから環境視聴程度に留めておこうと思っていたら、予想以上に毎回ハマった!(笑) 
ここ最近こういう内容のアニメ番組は珍しい。

ある時、緒花、しょうもない駄目母、女将である頑固な祖母の女三世代劇で繰り広げられた放映回を観た時に「これは「エミリーの未来Flügel und Fesseln)」だ!」と思わず膝を打っちゃった。1985年の西ドイツ映画。

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その頃は非英語文化圏の映画ばかり好んで見ていた関係で、「ブリキの太鼓」、「U・ボート」、「リリー・マルレーン」等西ドイツ映画を観た勢いで観た記憶がある。戦中ナチス将校を夫に持った母、その娘イザペル、そしてイザペルの幼い娘エミリーの三世代劇。仕事と育児を両立に苦悩するイサベルは、正に現代女性の痛点を描く秀逸な作品。今でも思い出すのは深夜帰宅するイザベルは道すがら漁業組合のストライキ現場に遭遇する。収獲された魚が道一面に撒き散らされているんですね。ハイヒールで踏まないように歩く、あの触感に訴えかける気持ち悪さ...。(魚はかつての全体主義を投影しているようにも受け取れる) 
また公開当時に話題になったのは、祖母を演じたフランス女優:ブリジット・フォッセーは、「禁じられた遊び」のあの名子役であった事。(余談ながら、この婆は仏映画、ソフィー・マルソー主演の「ラ・ブーム」で重厚に脇を固めていたのを最近知りました。)

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ボクの勝手な思い込みかもしれないが、こういう内容のトレースは妙に心地よかったりする。

しかしこれではまったく作品の感想になっていない。
結局想像力のないヤツは記憶力に頼るんですね...(`^´)>.。
posted by まっぴら at 21:03| Comment(0) | TrackBack(0) | テレ・ログ(TVlog) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月17日

ドラマ「テンペスト」

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前番組であった「新撰組血風録」があまり内容がイケてなかったので、この時間枠には未だ不満が残る。ですから前評判にもあまり耳を傾けず、期待せずに惰性視聴しておりましたが、19世紀末の琉球王朝を舞台にしたというBSプレミアムの新番組「テンペスト」は、多少のユルさに片目を瞑ればそこそこ面白い。これを機会に原作小説も読んでみようかなと思っている。

そのタイトルは“我々は夢と同じ物で作られており、我々の儚い命は眠りと共に終わる”という名台詞で有名なシェークスピアの戯曲「テンペスト」にちなんだそうですね。内容は...ボクぁてっきり「リボンの騎士」かと思ったのだけど...。

尚育王に扮した髭面の高橋和也さんを、うっかり阿部寛と見間違え、ドッキリしたのはボクだけだろうか?(笑

http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/tempest/
posted by まっぴら at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | テレ・ログ(TVlog) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

熱鬧のラ・カルナバル

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小祗園と喧嘩神輿が混沌とした鍋の具材として一緒クタになったような上尾市の夏祭りを観に行く。気温以上に↑↑(あげあげ)祭りでございますな。(笑) 市内祭りとは言っても、開催場所が駅前東口〜中仙道沿道で行われる為、繁華の外に住む日陰者のボクとは生息分布が大きく違い、同じ市民でありながらまったく別の町のお祭りのような雰囲気がする。通勤に駅も利用しないしね。

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ジリジリ肌を焼く炎天下、巨大な山車が枝道を練り歩き...って、実は電線に引っかかってしまう為、その前進は結構慎重なの。(笑) その替わり主線道にひと度揺らぎ出ますと上背があるだけに見ごたえがありますね。

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愛宕町の山車には実は小粋な仕掛けがあって、中程から分割形式。上半分がぐるりと旋回したりする。今年初めて見た。(笑)

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掛け声も高らかに、神輿は勇壮だ。紅塵万丈、熱鬧の巷...勢いの良いところは、文章表現におけるこのような抽象操作といった書き手の小細工を超越していること。(笑) 写術が皆目下手な為、それが伝わるだろうか?兎にも角にも、今日・明日の青空だけは参加者皆のものだ。
(残念ながら明日ボクは仕事。) 
宵の沿道・路地裏は適当にガラが悪くなるのだけが珠に瑕。(笑)

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(※) 気象庁によると、本日17日午後3時現在、全国920の観測地点のうち、134か所で最高気温が35度以上の猛暑日となったそうです。気象庁は31都府県で、熱中症への注意を喚起する「高温注意情報」を出していたとか。
一方、超大型で非常に強い台風6号は17日、沖の鳥島近海を北北西へ進んでいます。同日夜には大東島地方、18日には九州南部・奄美地方が暴風域に入るとみられ、気象庁は暴風と高波、大雨に警戒を呼び掛けています。
6号はその後進路を東寄りに変え、19日から21日は九州から関東にかけての太平洋沿岸を進む見込み。
中心気圧は935ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートル。半径220キロ以内が25メートル以上の暴風域、南側1000キロ以内と北側650キロ以内が15メートル以上の強風域...だとか。
ブログ右ヘッダーにブログ・パーツ「台風画報」を再設置しました。皆様お気をつけ召されたし。灼熱の夏はまだ始まったばかりである。
posted by まっぴら at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | まっくら的イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月16日

カティンの森

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茹だるような熱帯の深夜。凍りつくような映画を鑑賞する。
アンジェイ・ワイダ監督作品「カティンの森」。
ホラー作品より恐ろしい。実際に起こった史実というからまた恐ろしい。同じ人間でありながら、イデオロギーを違えるとこれだけの事が引き起こせるのか?世界には実に多くの国家が存在し、自国の繁栄のために日々機能する。国家と名がつく以上はどの国も自国民の利益を守る機関として成立しているのは申すまでも無い。と同時に隣国というのは、社交的儀礼の微笑の裏では利己的欲望でしか他国を見る目を持っておらず、他の国家に対して心からの善意を見せる国家など、まずこの地上には存在し得ないのだ。


灰とダイヤモンド」や「地下水道」等で世界の映画界を席巻したアンジェイ・ワイダ監督。御歳は85歳になられますが、彼が内に秘めた民族感情の雛形は、ナチスドイツとソヴィエトの2大大国に侵略を受けて国土が引き裂かれた祖国ポーランドへの思いと、その幼年期にカティンの森に消えた父親(ポーランド軍将校)への哀惜が、この123分に及ぶフィルムに余す事無く盛り込まれている。いや。映画というよりは限りなく壁画だな。スペイン内戦の怒りを壁一面に叩きつけた巨匠:ピカソの「ゲルニカ」に果てしなく程近い。当局の検閲がことのほか厳しかった時代、隠喩を駆使して映像効果を得ていた同監督作品だが、こんにち歴史の闇に葬り去られた戦争犯罪を、オブラートに包まず、荘厳な色彩を得て現代に悪夢として浮かび上がらせたようだ。国家的情欲処理の現場にあっての大国同士のエゴ、イデオロギーという偏光グラス越しに観た、忌まわしくも鮮やかなクラスヌイ(Красный)。ブーツで踏みつけられ床になじられた夥しい鮮血。または東の大国の旗の色...。

1939年、ドイツがポーランドに電撃侵攻を開始し第二次大戦が勃発する。その数週間後、ソ連はポーランドの東部に侵攻した。秘密裏に独ソ不可侵条約が結ばれ、ポーランドは、ドイツとソ連に分割占領されることになったのである。恐慌をきたし逃げ惑う人々の中に、降伏したポーランド軍槍騎兵大尉アンジェイ(アルトゥル・ジミイェフスキ)の姿を探す妻:アンナ(マヤ・オスタシェフスカ)と娘:ニカ(ヴィクトリア・ゴンシェフスカ)がいた。その後、アンナとニカは、駅でソ連へ連行される直前のアンジェイ、彼の友人イェジ(アンジェイ・ヒラ)らポーランド軍将校たちに出会うことができた。アンナはアンジェイに逃亡を勧めるが、アンジェイは軍への忠誠のため拒否し、家族と別れた。そして捕虜として教会に収容されたアンジェイはこれから起こることを日記に記そうと心に決める。

時は移り1943年4月、独ソ不可侵条約を破ってソ連領に侵攻したドイツ軍が、スモレンスク郊外のカティンの森の近くで、一万数千人に及ぶポーランド軍将校の腐乱した惨殺死体を発見した。ドイツは、これを1940年のソ連軍の犯行であることを大々的に報じた。

その後ドイツが敗北し、大戦が終結した1945年以後、ポーランドはソ連の衛星国として復興の道を歩み始めた。そしてソ連はカティンの森事件をドイツ軍の仕業であると反論し、事件の真相に触れることはタブーとなった。苦難を乗り越え、大戦から生き残った軍人や国民、カティンで親族を失った遺族らには、当局からの検閲、統制、口封じといった苛酷な現実が待ち受けていたのである。

映画の尺は経過する年代の割りに多少駆け足な印象を受けるが、これは劇中周到な伏線が張り巡らされており、カチン・マサッカに関係するキャラクターが個々にドラマを抱えて戦後浮かび上がってくる群像劇な仕掛け。取り分けコジェルスク収容所の生き残り、ルブリン系ポーランド軍としてNKVD(内部人民委員)に協力した事を恥じ拳銃自殺をするイェジの姿は、戦後ポーランドの苦悩そのものであり、彼にとってのアイディンティティの回復とは、生き残った自分を後悔し、名誉を重んじた死だったのが痛々しかった。
またワルシャワ蜂起の生き残りの女性やパルチザンに参加した経歴を持つ青年が登場しますが、これらは同監督作品の「地下水道」や「灰とダイヤモンド」の主役達の立ち位置とオーヴァーラップしてしまう。だが映画的オマージュではなく、実際こういう人々が数多かったのであろうというリアリティがヒシヒシと感じられます。時間軸を巻き戻し、物語終盤カチン・マサッカの大屠殺を再現しますが、有刺鉄線等で後手に縛られ銃殺が繰り広げられるシーンは、処刑などというある種儀礼的装飾性を伴った光景は微塵も無く、まるで家畜の食肉処理のような冷徹な殺害シーンの連続で、思わず目を覆いたくなります。赤軍はドイツ製の9mm拳銃を使用していましたが、端から独軍に罪科を擦り付けるアリバイ工作を念頭においての計画的戦争犯罪だったのだろうか?



しかし(不謹慎ながら)仮に現代社会に置き換えてみると、政府は簡単に雇用対策支援などと申しますが、報道媒体から伝わる「国民」という言葉は、抽象的ないし国家の属性的存在という意味合いが昔の社会主義国以上に濃厚で血が通っておらず、世は過当競争社会。営利に敏く収奪の機能に精通し、非常に抑制力が乏しい...もしくは激しく欠いた法人や企業ばかりでありますから、流血こそ見られないが、自分以外は大凡無関心、切り捨て御免といった“屠殺の森”に漂ったに近い刹那の空気は、日本の労働現場のその周辺、巷に数限りなく転がっているような気がする。
積極雇用という言霊の霊力を借り、か細い可能性に向かって訴えるのが咳の山で、面倒の草を踏み、森に分け入るだけの勇気のある公僕ばかりだったらこの国ももう少しよくなるはずだ。精神的緊張を強い冷え上がる話は、何も先の隣国の話を持ち出す事も無く、実は自分の目と鼻の先にも簡単に転がっていたりするわけだから...おおっ!重症の楽天家の頭脳を持ってしても、世は末はないか!

posted by まっぴら at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月13日

V6DAZE!

我が家もそうですが、子供たちはもう夏休みが近いようで。(連日のように報道で流れる“水の事故”だけはどうかお気をつけ召されたし。) 茹だるような暑さの中で、ヲヤヂも「夏休みの宿題」と模型課題を設定しました。この6月に購入したポーランド・ミラージュの1/35「ヴィッカース 6トン戦車 Mk.F/B」の箱を取り出し、やにわに封を切ったのですが...。

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購入後このキットに関していろいろ調べてみると、「〜Mk.F/B」というのは紛らわしい事に車輌系列の型式ではなく、キットに付随してデカールに準ずるところの「フィンランド/ブルガリア型」という使用国の頭文字を単に簡略化したメーカー固有の意味合いだったそうで。コンパチ展開の製品なため(中途半端に)不要パーツは豊富なんですが、全般的にデティールがまったく当てにならんキットだ...という、メーカー名から察するに至極当たり前の事が今更ながら分かりました。(笑) 

意味不明の排気管ガードや、底面の板だけ中途半端に付属した砲塔後部バズル(無線機搭載車輌のみ)、搭乗員が出入りできないほど小さいキューポラ・ハッチも実物とは大きく違い、まったく駄目ですね。F型はほぼ試作先行型車体だったそうで一部トレーニング・ユニットとして使われたそうですが、わざわざ「フィンランド/ブルガリア型」と謳う事に、現存車体や参考資料等といった何か明確な根拠があったのだろうか?ヴィッカース6トン戦車自体、派生派が多い事から、息せき切って一定数購入した第三国(概ね軍事後進国)でも装備や仕様が微妙に喰い違う事が分かりました。果たしてどこから手直しして良いものか?もっか頭の中がグチャグチャと混乱しています。

兎に角作り直しです。鋲組みで構成された車体のリベットは削り落とした後、工作後また穿ち直しという冷汗三斗のdでもない夏休み工作事情となりました。この夏、最強に手強い模型です。完成は秋か?冬か?来春か...?いや、べランダから投げ捨てちゃう方が早いかもしれない。(笑)

とほほキットにLOVE注入〜揺れるハート

そんなんなるかー!

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posted by まっぴら at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | モケ・ログ(模型log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月12日

チャイナタウン


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評判が良かったにも関わらず、この年齢までなんとなく見逃していた映画というのが数多くある。まあ喰わず嫌いがそのほとんどでありますが...。昨晩はBSプレミアムで放映していたJ・ニコルソン主演の映画「チャイナタウン」を観ておりました。ロマン・ポランスキー監督のフィルム・ノワールが醸しだす退廃的にして濃密な空気は、J・ゴールドスミスのサウンドトラックと相俟って、M・スコセッジの「タクシードライバー」以上にけだるくけだるくて。(御免。半分寝ちゃった!笑) 
ハードボイルドなディティクティブ・ストーリーに、その道の映画の巨匠監督であるJ・ヒューストンの出演や、ポランスキー監督自身のカメオ出演(ギャングの役)など、かなり古いパラマウント映画ながら最後まで楽しませて戴きました。しかしダム建設と上水道の利権絡みの陰謀という設定は、クライアントの破綻した家族劇の中、今ひとつ判然としないのが難か?

ノベライズや銀幕の中ではフィリップ・マーロウやサム・スペイド、マイク・ハマーといった名探偵が多く登場しますが、地味ながらもニコルソンが演じた私立探偵J・J・ギティスの脂っこさがなんか好きだ。その後実生活共々、ただの“怪優”になってしまったのが惜しまれるんですがね...。
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2011年07月10日

Heat wave!

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久しぶりに模型棚データの編集を行い、БA-6中装甲車の.htmlを作成しました。II号戦車も鋭意編集中ですが、本日はちょっと間に合いそうにありません。ゆるゆると次の休みに行う事と致します。UPしていない模型も随分溜まっちゃったなぁ...。何事も“矢継ぎ早”とか“騒々しい”、“けたたましい”といった運営や姿勢は唾棄すべきだ。やれコンテンツだ趣味だはいいとしても、人生や話題の周辺は決してそればっかじゃないからね。傍見不快にさえ映るあまりに突飛な鋭角的傾斜は、本来反省して然るべき行為なのだと思う。まして自らの過熱ぶりは、温度差や物事の尺度が違う他人のところに持ち込むべきではない。只でさえ陽気も暑いのだから、クラフトマン・シップたる精神は一定のCOOLさを保ちたいところ。

さて、東北からほぼ半年分の量に相当する自家製味噌が届きました。どうもありがとうございました。これでまた半年は戦える。忽ち響く鬨の声ぇ〜♪  野の辺の草を紅に染むぅ 野の辺の草をミソに染むぅ〜♪か?(笑

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九州北部、関東甲信、北陸で梅雨明けしたとみられる9日は、日本列島は太平洋高気圧に覆われ、群馬県館林市で37・4度、被災地の岩手県釜石市で36・4度、同県山田町では1976年の統計開始以降、最高となる35・8度を記録するなど、全国的に暑い一日となりました。ここ数日の間は高気圧の勢力が強く、猛暑日が続くと予想されているそうです。今朝も朝から暑いですねぇ。こちらは先程昼の時点で33℃を突破しました。いくら節電を呼びかけているとは言え冷房をかけないと、たちどころにお年寄りなど具合が悪くなってしまうよぉ。それほどの猛暑日。

久々に植木に目をやると、もっか庭先のささやかな楽しみであるブルーベリー/ティフ・ブルーの実が随分大きくなりました。初めての実りなので成長が楽しみであります。
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そういえば、何かに似ている....思い出せない...。



あっ!ひらめき

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ほぉーめたる・あるてみすとっ!

(核爆

アメストリス国軍「不死の軍団」の人形兵ではなイカ!TOKYO-MXTV放映のハガレンの再放送の観過ぎである。(笑

今期(夏)は宵アニメ作品の視聴から一時撤退しました。主に睡眠不足からくる体調の悪さによる自衛措置ですが、片っ端からダヴィングしますと、DVD-Rが法外な枚数になりますしねぇ...。 来期たる秋口からまた復活しようかと思います。

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2011年07月09日

貼り付いた来訪者

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仕事から帰宅して夕食を取り、自室に引揚げようかと階段を登っていると、踊り場の窓にぺタリッ!と...。前回現れたのが2年前のちょうど今日じゃなイカ!(笑) 同じヤツなんでしょうか???窓明かりに群がる羽虫を食べに現れたようです。愚息と飽きもせず眺めていた。

愚息といえば、学校の進路指導から求人票を戴いてきたが、第一志望は初任給は安いわ、地方転勤の可能性は高いわ(独身寮完備)。やりたかった仕事とは言え、本当に先の展望は大丈夫なのか?内容を読んでいて(親父の方が)倍グッタリ疲れてしまった。

空調を利かせた自室にはあろうことか別に先客が居り、疲れて戻った部屋の主よりもくつろいでいる。

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2011年07月06日

THE KENNEDYS 他

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現在BSプレミアムで放映中の海外ドラマ「ケネディ家の人びと」は、完成度が高くなかなか秀逸なドラマ。グレッグ・キニアとバリー・ペッパーが演じるケネディ兄弟が実にそっくりなのであるのね。特にバリー・ペッパーの眉間に漂う神経質さが、弟であり司法長官であったロバート(ボビー)ケネディ本人によく似ている。J・F・Kの妻:ジャッキーを演じたケィティ・ホームズは、トム・クルーズのかみさんじゃなイカ!
かつて大統領暗殺を題材としオリバー・ストーン監督の撮った映像的にがさついた映画があり、観るには観ましたが、その内容は何一つ感心しませんでした。しかしこのドラマは滔々とこの一族の歴史を時間を追って見せてくれますので、なかなか好印象であります。一話辺りの時間の尺も意外と短いしね。(笑) 全8話構成。

現在アメリカ公文書図書館に保管されているウォーレン委員会の死亡事故(暗殺)調査報告書の関連資料が公開されるのは、2029年から2039年とされているそうですが、それを前にしてのTV放映というのもなにやら感慨深いものであります。それまではボクはこの世に生きていられるかしら?(笑) この点お粗末で破廉恥な交替劇ばかり繰り広げる日本の政治は、世界的視野で見れば如何に低俗でスケールが小さいものであるか?自国でありながら、本来産み落とされて然るべきドラマ性の希薄さに正直失笑を通り越して頭を掻いちゃいます。また他国とは決定的に違い、政変に際し流血騒ぎが皆無なことから、誰もが国憂の事象に真摯さや深刻さが伴わないんでしょうな。(何も流血の起りえる事態があるのが、高尚という気は毛頭無い) 危機管理という言葉を妙に拡大解釈したのは民間企業だけ。反対に収奪の機能ばかりが精緻さを極め、ますます肥大する役人お気楽極楽国家:ニッポン。正義無き力は暴力、力無き正義はただの虚言であり戯言。

さて、こないだ買い替えた通学用の革靴が影響したのか?子供が瘭疽(ひょうそ=化膿性爪囲炎)にかかってしまいました。右足親指の爪の先を切開したのが先週末。親父も足を傷めており通院治療中であります事から、以来親子してびっこたんびっこたん同じ病院に通っています。平日の休みともなりますと通院がてら車による送迎も行いますが、ガーゼの交換やら化膿止めの注射など、只でさえモノが傷みやすいこの時期、足繁く通い傷の養生をするのはなかなか大変であります。

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今日はBさん(仮名)は散髪の日でありました。毛が長いとこの時期暑そうなので、胴体は全て丸刈り〜太であります。丸刈り〜太?丸刈り〜犬? シルエットが変わり、精悍になりました。同じ“一家”としてはだいぶこじんまりとした話題に移行し、表題の大風呂敷加減からはだいぶ内容が反れたわ。毛寝Days。なんちゃって。(笑
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2011年07月03日

!Mucho! !Mucho! Vehículos blindados soviéticos!


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隣町の大型模型店に行き、ミニカー用のライトレンズ(4mmΦ)を購入。これを填め込んで、БT-6中装甲車 in Españolもようやく完成でございました。
さて、模型棚への転載が滞っておりますが、これはホームページ・サービスの容量の関係。内容を少し割愛して整理する時期に差し掛かったようです。しかしこの季節、パソコンが熱源と化していますので暑い暑い!もう少し涼しくなってから行う事と致しましょう。あせあせ(飛び散る汗)

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2011年07月02日

穂含み月雑録

7月に突入しました。今日の診察で足のテーピング固定がようやく外れましたが、貼り痕に汗疹の発疹が酷くなりました。塗り薬が処方されましたが、只でさえ汗ばむ時期にべたつく薬は嫌ですね。膝の靭帯は大丈夫のようです。しかし毎日蒸し暑く、びいさんなどは終日フロアに寝そべりグッタリしています。ヒンヤリして下手な空調より涼が取れるのでしょう。ボクも寝苦しいばっかりについ宵っ張りになってしまいましたが、来週の出社までに治せるだろうか?正直あまり自信がありません。

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待望のブロンコ・モデルス1/35「TRIUMPH 3HW MOTORCYCLE W/BRITISH MP SET」が手に入りました。BMWやハーレーとは違い、英軍バイクというのは珍しい。発売当初買いそびれてしまい、都内でも見かけなかった。諦めていただけに、これは嬉しい買い物でした。スポークがエッチング・パーツなのですが、取り組むのは初めてな事なので、上手く組めるかどうかが不安。今年上半期は在庫減らしを念頭に模型制作に励んでおりましたが、熱が嵩じて返って在庫が増えてしまい、本末転倒も大概にしやがれ!といった感じです。(笑

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