2005年12月23日

生けるが如く色鮮やかな屍達の夜

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往年の名作(?)「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド・コレクターズBOX」5.000セット限定凄惨生産商品(デックス・エンタテインメント)のDVDボックスを購入しました。この作品、かつてはビデオで所有していたのですが、友人にくれてしまったのか?処分してしまったのか?もう手元にありません。ですのでDVDの発売を楽しみにしていた経緯があるのです。(先のヴァージョンは絶版らしくって、結局手に入りませんでした。)
「ゾンビ」を世に送り出したロメロ監督初期のモノクロの古典的記念作品なのですが、それだけに留まらず、公開当時(68)の世相、ヴェトナム戦争最中のアメリカ社会の混乱を揶喩した衝撃作としてカルト映画となりましたが、更にはこの作品を永久保存しようとアメリカ国立フィルム・レジストリーに晴れて登録される栄誉が与えられたんだそうです。
 
オリジナル・モノクロ版、カラー彩色版、特典ディスクの豪華3枚組SETなのですが、このカラー彩色版。正しくは「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド デッドリー・カラー・エディション」というんだそうですね。コンピュータ着色による合成カラーを施し、音声をDTS 5.1chに改編した新ヴァージョンだそうでして、実はこのヴァージョンの存在が以前から大変興味があったわけなんです。

さて、以前から不思議に思っていたのは、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」は“当のロメロ監督がまったく関与していないような”複数のヴァージョンが巷に存在します。今回インナー・ノートを紐解いて驚いたのは、元を正すとオリジナルにCopyrightの文字を表示し忘れたが為に、パブリック・ドメインになってしまったんだそうですね。(笑)この単純かつ初歩的なミスの為に、この金字塔的作品は制作者=ロメロの手を離れてしまったんだそうです。この為、ロメロ監督は「ナイト〜」の“正統なる続編”として意識したであろう「ランド・オブ・ザ・デッド」のオープニング映像において、自分の作品でありながら「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の映像を公然と使用出来ない有様なのでした。(注 音声は使っているみたい)


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ワタシはこのジャケットパッケージ・アートが好きなのですけれど、これは「特典ディスク」の方です。

さて、この古典的ホラー作品が複雑怪奇にして今日に受け継がれるのには訳がある。後に袂を分かつ事になる「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の脚本家、ジョン・ルッソ。小説家志望の彼が続編として書いた「Return Of The Living Dead」。これがダン・オバノン監督の「バタリアン(85)」として映像化されました。「Living Deadの名称は使ってくれるな。」とロメロ・サイドから泣きが入ったそうですが、更には余計なシーンを追加編集して改悪した悪名高い「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド 最終版(99)」にも首突っ込んでしまっている。(ロメロが製作総指揮、特殊効果マンのトム・サヴィーニが監督デヴューを果たした「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド 死霊創世記(90)」では彼はプロデュースを勤めているが)以後トム・サヴィーニを主演格に迎えた(?)の安チン・ゾンビ映画「チルドレン・オブ・ザ・デッド(01)」に続くんだそうですね。
また墓場ゾンビを演じたビル・ハインツマン。彼も監督デヴューを果たし、ロメロの足元にも及ばず箸にも棒にもかからないB・C級ゾンビ作品を作り続けているそうです。

〜パブリック・ドメイン扱いである以上、「ロメロのゾンビ」ではなく「みんなのゾンビ!」この映画に関しては誰がどう弄ろうと法律的には何ら制裁措置が発生しないんだそうです。そのため、後撮り後付けの「ナイト〜改悪版最終版」や、今回の破廉恥極まる「ナイト〜カラー彩色版」。編集し直したという米版DVD「〜SURVIVORS CUT」。更には制作中と聞く2度目のリメイク「Night Of The Living Dead 3D」なんて3D映画まで作られる始末も頷ける。

「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」、実に多くの人間達が制作に関わっていて、そのそれぞれが1本の映画の過去の栄光に群がり、寄ってたかって食い潰したり吐き散らかしているという、当のゾンビより物凄い状況なんだそうです。やはり劇中の密室人間模様もさることながら、舞台裏においても人間の方がゾンビより遙かに怖いですね〜怖いですね〜恐ろしいですね〜。(笑)

問題の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド デッドリー・カラー・エディション」。過去モノクロ作品ですと、ジュディス・オディア演じる“バーバラ”がコートを羽織ってる事から、季節は晩秋というイメージがあったのですが、オープニングからずっこけた!

何で新緑鮮やかなんねん!

見事に期待を裏切られました。モノクロ作品の「余揃な色彩を省く」事により、全編通して漂う硬質的でシャープな緊迫感が、カラー着色した事でことごとく相殺されてしまっている。立て篭もる一軒屋農家の中は、差し込む光が織り成す「鋭角的な白黒のコントラスト」だからこそ、作品がより一層怖く感じるのですよ〜。また室内に灯りが点る事により、密室に隔絶された生者の世界と、壁一枚隔てた漆黒の属の中に蠢く死者の世界との対比がまざまざと醸し出せるのです。着色された屋敷室内に「温かさ」こそ感じてしまい、屋敷の表を“漂うが如く”うろつくゾンビ達も何か全然怖さを感じない。(てか笑いを噛み殺すのに必死!)しばし呆気に取られて途中まで観るには観ましたが、「オリジナルの印象を極力損なうまい!」と途中で観るのを止めてしまいました。結局彩色処理も良し悪しで、「ナイト〜死霊創世記」ならともかくも「ナイト〜オリジナル」はやっ造りモノクロに限りますねえ〜。

ここでまっぴらは改めて考えたんですけど「シンドラーのリスト」みたいにALLモノクロ作品で、時々点るマッチや暖炉の火、火炎瓶攻撃、ひいてはトラックの爆発や絶望的なエンディングなどの「燃え上がる炎」だけ赤く撮ったらどうだろう?こっちの方が映像的にはインパクトがありそうな感じ。想像だけは楽しいね。何せフリーの「無法地帯」。お咎めなしの“パブリック・ドメイン”なんスから...。(笑)
posted by まっぴら at 19:35| Comment(2) | TrackBack(1) | ゾンビ映画考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
トラバありがとうございます!!
巨匠にもこんなミスがあるんですね。
普通のおじさまなのね〜
なんだかもっと好きになっちゃいました。
(なのに買ってないのはなぜだ)
Posted by たば子 at 2006年01月02日 11:56
>たば子様

>巨匠
「ランド〜」のメイキングを観ていて、「老けたなあ〜。」っていうのが正直第一印象でしたが、それでいてあのヒトは物凄く背が高いんですよぉ〜。驚いちゃいました。ホントに巨匠(笑)

>NOTLD
かなり演出など強引で幾分シロウトの臭みが抜けないのですけど、ロメロやスタッフは地元TVのCMを手がけていたそうなので、簡潔に力強く纏め上げています。なにせCMは30秒勝負ですから。

「ナイト〜」はよっぽど好きでないと、正直かったるい映画だと思うのですよ。まあ単体発売なんてのもありますし、リメイク版「〜死霊創世記」が割と安価でお勧めかもしれません。

「〜最終版」(まだ観ておりません)は“死刑囚”の件や、“噛まれても信仰の力で感染しなかった神父”の件が追加されていたそうですが、当時カットされた映像ではなく、30年後に追加撮影されたものなんだそうです。(1部?)“一粒で二度、三度美味しい”ばりに、切った張ったしたんでしょうね。



ぼくはオリジナルがやっぱり好きです。
http://home.comcast.net/~axlish/NOTLD68.htm
(↑音鳴り注意!)
Posted by まっぴら at 2006年01月02日 18:10
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Excerpt: 一生懸命書いた記事が消えました・・・・ もう書く気が起きません。 気が向いたら書きます(;_;) *** なんとかUPしますが、内容は消えたものと若干違います。 やっとみまし..
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