2006年02月26日

「アサルト13 要塞警察」

assault13.jpg


すっかり二日酔いの頭を引き摺りながら(?)ただいま公開上映中の映画「アサルト13 要塞警察 Assault on Precinct 13」を観に行ってまいりました。「あれ?県内唯一の上映館たるMOVIXでの公開は、確か先週の金曜日で終わったのではないの?」と問われそうですが、てかまっぴら旧作ばりに“ナポレオン”の言葉を借りるならば「俺様の辞書には“不可能”の文字はないからだ。」 ふふふっ...。
うそうそ。3/3までは上映回数は少なくなるものの、どーにかこーにか上映は細々やっておるそうです。本日生憎ダダ降りの雨だったのですが、酔い覚ましには調度良い。朝から腹の具合が良くなくて、駅のトイレには「映画さながらに」ウンとこさ篭城しましたけどね。(笑)

さて、この「要塞警察」というのは、今やホラー&アクション映画の巨匠となったジョン・カーペンター監督初期の低予算作品でして、当時劇場公開までは至りませんでしたが、「要塞警察/ウォリアーズ 夜の市街戦」というタイトルで深夜枠何度か放映された事があります。この映画で登場した“ナポレオン”という強烈なキャラクターは、その後のカーペンター監督作品「ニューヨーク1997」や「エスケープ フロム L・A」の主役“犯罪の帝王=スネーク・プリスケン”のモデルとなったと云われています

凶悪なストリート・ギャング団に娘を殺害された父親が、単身ギャングに復讐を果たしたものの、逆に追われる立場になり、助けを求めた場所がお話の舞台となった「第13分署」。折りしも都市の開発計画により管区は大掛かりな区画整理が実施されており、「第13分署」は正に移転前夜だったわけです。時を同じくして州立刑務所に向う途上、車内罹患者が発生し、その関係で「13分署」に緊急搬送する事になった護送車。その中に「犯罪の帝王」と恐れられた“ナポレオン”がいたわけなのです。夜の闇に紛れながら「第13分署」を包囲し始める不気味なストリート・ギャング団。その手には軍基地の特殊部隊倉庫から略奪した消音銃。助けを求めよう、また応援を呼ぼうにも通信線を断ち切られ、周囲に人家はなく、孤立を余儀なくされる「第13分署」。立て篭もる側“一晩限りのはずだった”新任の黒人警察署長は、やむ負えず囚人達と力をあわせて〜というのがほぼ概略なのですけれどね。

設定は昔の西部劇さながら「保安官事務所の篭城劇」。これを現代に焼き直し、舞台を人の立ち入らぬスラム街に置き換え、新規性の部分においてはストリート・ギャングから“”、武器からは“”を消し去って、無言で死を恐れずただただ押し寄せてくる暴徒の群れとの攻防を描いた旧「要塞警察」は、脱出アクションというカテゴリよりはむしろ「ゾンビ」のようにホラー的なテイストが何かと強くて、幾度となく録画ビデオで繰り返し観ていた若かりし頃のまっぴらにとっては、実に印象深い映画だった記憶があります。

今回の「アサルト13 要塞警察」はそのリメイク作品。監督はフランスの新進気鋭ジャン=フランソワ・リシェ。かつてのブラック・パンサー党やキューバン・ゲリラを彷彿とさせたストリート・ギャング団は、現代に置き換えると設定的にいささか無理があるとの事で、今回は「ポリス・マフィア」というか?“暗黒組織と癒着した組織犯罪対策班”という“汚職警官集団”と設定に辛くもスゲ変わっておりました。立て篭もった人々は、暗視スコープやケプラー製防弾チョッキ=CQB対策装備をカリカリにフル活用した“アン・デッド”のようなSWAT的特殊部隊と絶対的不利な状況下でインドア・アクションせざる負えなくなるのです。今回は襲い来る警官集団、その顔を特殊装備で硬質的に覆い隠し、人間味たる“表情”しいていえば“人間性”をばっさりと消し去っています。



イーサン・ホーク演じる“ジェイク・ローニック”。元は麻薬囮捜査官(偽名が“ナポレオン”爆笑)でしたが、不手際から同僚を死なせ、現在は「第13分署」勤務。酒とトランキライザーに溺れる設定。今までこの人の映画を観た事がありませんでしたが、結構安定した演技力はまっぴら的には買いです。
まっぴら的に細かい描写を突付くとするなら、物語前半のベッドから起き上がるトップレス・シーン 背中に“Semper Fidelis”の刺青の文字。これはアメリカ合衆国海兵隊のモットーであり、日本語に訳すと「常に忠実(誠実)であれ」という意味。海兵隊出身者、従軍歴のある設定に加えて、警察官として“常に職務に忠実たれ”という意味合いを含んだ誠実なキャラクターを演出したのでしょうか?また身体のあちこちに入れられた蝶々のTATOOといい、「第13分署」に出勤する際運転するマスタングGTといい、また使用拳銃はあくまで口径45’とか、まるでマックイーンを代表とする60’〜70’の刑事アクションのキャラクターをだいぶ意識しての役作りなのでしょうね。

暗黒街の帝王“マリオン・ビショップ”を演じるローレンス・フィッシュバーン。(この方、我が掲示板常習者“きんちゃん大魔王”さんにそっくりなのですが...。笑) “組織犯罪対策班”と取引していたのはこの男でして、彼を口封じするために悪徳警官隊が襲い掛かるわけですから、この物語の重要なキーマンでした。「帝王」と呼ばれるだけに相応しく言葉少なげにして人間の恐怖心理を達観したような台詞から、独特のいぶし銀のような凄みが冴え渡っています。本家カーペンター監督作品ですと、前述の“ナポレオン”や「ニューヨーク1997」のアイザック・ヘイズなど、この手のキャラはまあアリガチですけれどね。

今回楽しみにしていたのは性格俳優のジョン・レグイザモ。護送される囚人の内の一人でヤク中の犯罪者“ベック”なのですが、相変わらずいい仕事してまんな。“チョロ”は健在でした。(笑)ラリってる割には言葉の端々が変に教養に満ち溢れていて不思議なインパクトのあるキャラクターでした。存在感の割にはあっけない最後を遂げましたが、主演の二人の演技を明らかに喰っちゃっています。この人独特の「右のほっぺだけで笑う」って自分でやってみると案外と難しいです。(笑)これがカーペンター監督なら、この役に迷わずスティーヴ・ブシェミをアサインするでしょうねえ。でもブシェミ、色白が災いして妙にマンガチックなキャラとして、画面上浮き上がってしまうのではなかろうか...?

マリア・ベロやドレア・ド・マッテオなどの女優陣も結構奮闘しています。ドレス姿が美しい“ジェイク”御付の精神科医を演じたマリアは、演技においては確かに実力派だとは思うのですが、今回ドレア・ド・マッテオの方がクレジットは上の扱いが正しいのではなかろうかね?と思っちゃいました。

また小役ながら“囚人スマイリー”を演じきったジェフリー“ジャ・ルール”アトキンズ。元職は何でもラッパーなんだそうですが、拳銃を手に瞬間手の甲を上とした“ブラピ構え”を見せてくれます。これは「セブン」でブラピが世間に広めたガン・ホールド・スタイルなのですが、元は黒人系ストリート・ギャングの間で流行る“警告と威嚇の構え”なんだそうですね。最近何かと映画出演が多く「演技に目覚めた」というようなコメントも聞かれますから、曲者揃いの役者さんが多い中、“スマイリー”に成りきって頑張って演じてくれています。地味ながらまっぴらこの役柄、大変好印象を受けました。

「第13分署」の署長“ジャスパー”を演じるブライアン・デネヒー。「ランボー」でランボーを厄介者扱いした“ティーズル署長”もすっかり老けきりましたが、円熟して安定した実力を披露してくれます。役柄は何となく定着してしまった感じはありますが、特徴のある“アゴを張り出すニヒルな笑い”も健在でした。これからもますます味わいのある存在感として、脇をガッチリと固めて頑張って欲しい男優の一人であります。
後、懐かしい顔としては、“護送車の運転手の警官”を演じた黒人男優。君は確かキューブリック監督のベトナム戦争映画「フル・メタル・ジャケット」で海兵隊員“エイト・ボール”を演じたドリアン・ヘアウッドじゃなかったっけ?

“暗黒組織と癒着した組織犯罪対策班 班長”の“デュバル”、ガブリエル・バーン。う〜ん...。君は見た目と言いキャラといい明らかに「ヒート」の“ハナ”に被ってますぞ。(笑)彼の作品履歴を読んだところ、まっぴらその出演作品は結構観ておるんですが、印象が何一つ残っていない有様でした。うえ〜ん!

後半ちょっと説得力を欠いた描写もあって、多少脚本が息切れした感もあったけど、旧作のリメイク版に捕らわれず、「別物」とか「新設定」とか割り切れば、今回の「要塞警察」近年のこの手の映画としては完成度が高く大変面白かったです。旧作好きな私が敢えて今回欲を言うとするならば、音楽担当したグレーム・レヴェル。昔の「要塞警察」のカーペンター・サウンド(ちきちきちきちき....じゃんじゃかじゃじゃん♪ってヤツ)をちょっとでもオマージュっぽくアレンジして欲しかったかなあ〜。(笑)
posted by まっぴら at 22:00| Comment(2) | TrackBack(4) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お忙しい中、コメントどうも有り難う御座いました!
まっぴらさんも観ることが出来てホントようござんした。(笑)
決して素晴らしい完璧な作品とは言えませんが、こういうノリの作品が好きな者にとっちゃ、堪らない魅力がある映画でしたね。
最期の方がちょっと残念でしたけど、役者と言い、アクションと言い、本当に楽しませて貰いました。
今後このような作品がもっと増えると嬉しいのですが、リメイクとコミックの映画化ばかりのハリウッドにあまり期待は出来ないかなあ。
Posted by マクノスケ at 2006年02月27日 14:26
> マクノスケ姐様、
遅レス申し訳なしです。
表の雪景色→明かりの消えた暗い室内→留置場の鉄格子とかブラインド・シャッターとか→最後の森林地帯と、画面的に光と影、白と黒、明暗の縦縞・横縞模様に縁取られ、物語の進行と共に徐々に速度を上げつつ、その間隔が著しく狭まってくるという、全体的流れとして、これほど「縞格子」、ひいては照明加減に徹底した映画も珍しかったかもしれません。
(縞模様の光源性刺激が、不安を助長する解発刺激となってというのは、心理学のクレッチュマーだったか?ミレコフスカだっか?う〜ん...?←勘繰り杉?)
まるで心理学に訴えたようなこういうつくりの映画を昔一度観た記憶があったんですが、う....残念!失念しましたw確かモノクロ...。

極めてマイナー路線でございましたが、兎に角、最後まで目の離せない映画でございました。レグイザモも無事堪能してまいりましたです。次回は是非、ブシェミには出来ない役(笑)に挑戦していただきたいものです。「ランド〜」も、昔ほどさほどグロかないフツウ(?)の映画ですから、今度機会があったらチョロ=レグイザモも観てやってくださいな。

ご紹介わざわざどうもありがとうございました。

Posted by まっぴら at 2006年03月01日 14:22
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

アサルト13 要塞警察
Excerpt: ●『アサルト13 要塞警察』110分。2006年2月18日公開。あの有名な『要塞警察』のリメイク・・・だけどオリジナルが見れていない(涙)ジョン・カーぺンター監督のリメ..
Weblog: 映画鑑賞&グッズ探求記 映画チラシ
Tracked: 2006-02-27 08:46

アサルト13 要塞警察
Excerpt: カーペンター先生(好きなんですよー!)のデビュー作「要塞警察」(←未見ですが…)のリメイク。謎の集団に襲撃された警察署で、警官と犯罪者たちが協力し合い、必死に抵抗する姿をフランスの新鋭ジャン=フラン..
Weblog: マクノスケblog
Tracked: 2006-02-27 14:21

骨太アクション!!『アサルト13 要塞警察』 ☆今年12本目☆
Excerpt: 『アサルト13 要塞警察』公式サイト:http://www.herald.co.jp/official/assault/原題:ASSAULT ON PRECINCT 13製作:2005年アメリカ監..
Weblog: honu☆のつぶやき 〜映画に恋して〜
Tracked: 2006-03-11 10:13

アサルト13 DVD
Excerpt: 「アサルト13」のDVDを観ました〜♪ 中古で仕入れました(^^ゞ 他の店でも中古で売ってるの確認してるのですが、全部2,500円程度の値段だったのでスルーしてました。梅田のソフマップで1,98..
Weblog: 観たよ〜ん〜
Tracked: 2008-12-15 22:09