2010年11月18日

死して尚頑迷〜DVD「サバイバル・オブ・ザ・デッド」

レンタルDVDを借りて観てしまいました。近年乱発し過ぎて、デッド・サーガ・シリーズは一体何作目になったの...?

ジョージ・A・ロメロ監督の「サバイバル・オブ・ザ・デッド」。

前作「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」の続編ならぬ、スピン・オフ作品とでも言うんでしょうか?アナザー・ストーリーですね。
主人公:州兵のサージを演じるアラン・ヴァン・スプラングは、本作の設定そのままに、前作では州兵の検問を装い主人公達を襲う強盗兵士の端役で登場しておりますが、前々作「ランド・オブ・ザ・デッド」でもジャングル・パターンの迷彩服を着た軍人の役を演じておりますから、ロメロ作品:デッド・サーガ後半戦での重要な語り部然としてきました。“サージ”ってサージャント(軍曹)の略称。ふとウォルター・ヒルの処女作「サザン・コンフォート」でパワーズ・ブースが演じた草臥れた民兵の姿がオーヴァーラップする。ハリウッドやメジャー・スタジオに背を向けているロメロが、自らの分身のように一貫して描き続けるアウトサイダーである事に変わりはない。

survivalofthedead.jpg

【STORY】
世界で死者がよみがえるようになって6日後。デラウェア州沖、大西洋に浮かぶプラム島では、“死者は眠らせるべき”と考えるオフリン一家と、“死者は生前のまま生かしておき、共に共存すべし”と考えるマルドゥーン一家が対立していたが、数で勝るマルドゥーン側が相手側リーダーのパトリック・オフリン(ケネス・ウェルシュ)ら数名を力づくで島外へ追放した。

それから3週間後のペンシルベニア州フィラデルフィア。軍から脱走した元州兵のサージたちは、とある集団を襲った際、生き残った若者のボーイ(デヴォン・ボスティック)から「安全な島」の情報を知らされる。インターネットの動画サイトで「安全な島=プラム島」を謳っていたのは、(サージたちには知る由もなかったが)その島を追放されたパトリックだった。半信半疑でプラム島へ向かったサージたちがそこで見たものは、鎖につながれ、生前の行動をなぞるように繰り返すゾンビたちの姿だった...。

かたやセミ・フル完備の軍用自動小銃片手にインターネットの動画サイトでバラエティー番組を楽しみ、かたや未だに牧畜と灯油ランプ片手のアナログ生活!これが同じステーツかと疑ってしまうその落差。舞台となるプラム島は赤毛のアンが登場してもおかしくないほど自然が美しい。(笑)その古典回帰風味は今回ウエスタン調に及び(まあかの国では時代劇だ!)、頑迷な老人オフリンとマルドゥーンの確執は、往年の名画ウイリアム・ワイラー監督の「大いなる西部」そのままの模倣のように受け取れます。ピースメーカーやレバーアクション・ライフル片手にどこまでも人質を型にした、古き良き決闘スタイルだもんな。死して尚生前の妄執の記憶をなぞろうとする2つの偏った正義の姿に、ロメロはどのような社会風刺を投影したかったのだろう?

劇場公開当時物議を醸し出した「生前の記憶に支配され、ゾンビが馬に乗り、手綱を操る!」という半ば滑稽にさえ映る描写は、映像的にふと英国の首無し妖精:デュラハンの姿や、死神を乗せて疾駆するペイル・ホースの姿などを勝手に髣髴としてしまうけど、かの作品で描かれ続けた知的進歩の一環なのだろうか?いや、最後に馬肉として食ってたしな。(笑) 
進歩を裏切られたボクの失望感覚は、共存を謳い期待しながらも常にと畜に失敗するマルデゥーンの心境に共通する。マルデゥーンの意固地さはやがてはオフリンとの意地の張り合い、世襲としての英雄的自己肥大と自らの信奉そのものになり、動き回る死者を鎖に繋いでまで生前の役割を押し付け、自らの周辺環境と精神衛生を厳格に固持しようとする。この頑迷な老人の姿は、かの旧作品に登場する老爺の姿にその片鱗が窺がいしれないだろうか?

内容的にはオーソドックスにしてあまりに古過ぎて、興行的には散々な結果に終わったのでしょうけど、でもこのようなオールド・ファッション・アメリカの情景はボクは嫌いになれないなあ。なにやら場末の蝋人形館に足を踏み入れた時の手暗がり感、後ろめたさのような感覚が。スピード・スリルを売りとしたローラーコースター系ヴァイオレンス・アクションを期待しちゃ駄目。現代の技術で古典をチンッ!して温め直したゴシック・ホラー好きの方には案外お勧めかも。(笑)

こちら本作品トレーラー
George A Romero's Survival Of The Dead Trailer

posted by まっぴら at 17:56| Comment(2) | TrackBack(0) | ゾンビ映画考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本当、近年乱発状態ですよね。

なんかランド〜の時のような感動が薄れてきて、本作は未だ手つかずでしたわ。。。
でもなんか観てみたい気持ちになってきました♪
家族が寝静まってからひっそりとチェックします(笑)
Posted by としぞう at 2010年12月01日 08:22
>としぞうさん
コメントありがとさん。

>近年乱発
MGMだってこうなる昨今。http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201010300134.html
儲からない中にあって、割と手堅く集客できるのかな?カテゴリ的には。まあ大きなHITはしないけどね。プロデューサーや映画会社はガシガシ稼いだ時分の生前の記憶が残されているのでしょう。(笑

>ランド
「モンキー・シャイン」「ダーク・ハーフ」と同様、メジャー・スタジオ作品だけにかなり押さえ込んだ作品でしたから、今思うに中途半端なSF作品っぽい仕上がりだったね。ホラーの帝王も周囲が「ゾンビ」しか許してくれない空気もあるしね。「The Mummy/ハムナプトラ/失われた砂漠の都」がこけちゃったから。
予算も今までに比べて割合大きかったんでしょう。今までのお客様や関係者映画人、映像クリエーターに対してサービスに近いゆとりすら感じるんだ。

真骨頂は「ダイアリー」からなんじゃないでしょうかね。あのチープさ加減に暗めの画面撮り。(笑)奇異に感じる感想も随分読んだんだけど、昔のスタイルに立ち返ったのはむしろこっち以降の様な気がするね。
てかダイナマイト片手のアーミッシュの爺さんを観た時、嫌な予感がしたんだ。(笑)次はもっと古い手、オールド・アメリカ周辺の描写で来るぞ!って。(笑)

この作品はね。お蔵入りになった「死霊のえじき」初期稿への妄執みたいなものを感じます。「ダイアリー」のアナザー・ストーリーの形を取るのは、カプコンのゲーム「バイオ・ハザード」の影響でしょう。続けて観るといいかもね。ただ主人公が自らに反問する手法も多少説教臭いけどな。
Posted by まっぴら at 2010年12月01日 17:30
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック