2005年09月05日

ザ・クレイジーズ

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「ランド・オブ・ザ・デッド」が公開された今でこそ「ゾンビのロメロだ!」、「ロメロのゾンビだ!」と巷では騒がれています。源流は「ナイト・オブ・ザ・リヴィングデッド NOTLD」というのは確かに疑いようの無い事実なのだけれど、ある意味、辛口の社会風刺を含みつつ金字塔的傑作「ゾンビ DOTD」の試験的作品となったのは、こちらではなかろうかと...。

ザ・クレイジーズ THE CRAZIES」。1972年、劇場では日本未公開作品なのですが、民放TVにおいて「第2のカサンドラ・クロス」というタイトルで放映された記憶があります。これはホラー映画ではなく、細菌兵器が引き起こすパニック映画のカテゴリーなのですけれど。

【STORY】
ある平和な田舎町で住民が次々と発狂していく。原因は軍部が秘密裏に開発した細菌兵器“トリクシー”を積んだ輸送機が近郊の河川に墜落。飲料水を介して感染した住人は次々と発狂していくのだが、事が公になる事を恐れた政府は、事件を隠蔽しようと鎮圧部隊を送り込む事になる。


鎮圧部隊は“究極の没個性=ガスマスク”と防護服に身を包み、情報手段を遮断し(崩壊させ)、感染疑いのある住民達を次々と拘束、抵抗する者は“感染者”と見なして殺害していきます。この作品で描かれた「官憲・軍部(権力)の無理解と横暴」は、その後ホラー作品へと姿を変え「ゾンビ DOTD」冒頭の、SWATによるプエルトリコ人居住アパートの制圧シーンや「死霊のえじき DAY OF THE DEAD」の根幹的テーマ(生存者が暮らす地下シェルター内で、武力を背景に独裁を企む軍人の姿)に脈々と継承していきます。

この映画、単品でも「実に怖い」と思う点は、「誰が感染していくのか?」まるで見えない事。主人公やその取り巻き、いや。予防接種を受けて防護服を着込んだ完全装備の兵士でさえも、次第に落伍者、あるいは発狂者が現れ始め、軍民問わず暴徒と化し、文字通り「ザ・クレイジーズ」。「誰が正気なのか?」、「誰が正常な思考、真っ当な考えを持つ人間なのか?」まったく分からなくなってしまう。「敵も味方もわからなくなってしまう!」当事の社会背景であった「泥沼化したベトナム戦争」の図式、そのまんまなのですね。(神職者の焼身自殺シーンなど正に!)
また細菌兵器の開発当事者が事態収拾の為に、感染の恐怖に晒されながら死力を尽くしワクチン開発の研究に没頭します。せっかくワクチンの糸口(サンプル)が掴めても、只でさえ無理解な軍人の縦社会や命令系統システム、狂気に駆られるままに押し寄せる民衆の波に阻まれて、何ら解決に至らぬままに殺されてしまったりする。この辺り“ゾンビが出現するモンスター映画を〜”というより“非コミュニケートが引き起こす悲喜劇”を丹念に描く事に定評があるロメロ監督の手腕が実に冴えわたる作品なのですね。
(ただこのDVD。基としたマスター・フィルムが劣化途上にあるのか?画質が悪いのがちょい残念!)

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この作品を取り上げたのは、実は「ランド・オブ・ザ・デッド」の“チャーリー(ロバート・ジョイ)”を観た事による。あの“M-1カービン”を持つ顔半分火傷の男。「あれっ?」と気がついてクスクス笑った。(確証がなく記憶自体が極めてアヤフヤだったので、DVDを探しに行ったわけ) 「ザ・クレイジーズ」のオープニングって、実は“農家屋の火災”のシーンから始まるんですよね。それで防疫兵士達に常用装備の“M-1カービン”。「そうか!チャーリーって、あの町の生き残りかぁ〜。」過去の作品を自らオマージュしてしまったのか?ロメロ先生。(笑)

ちなみに、細菌兵器“トリクシー”。これは“猿”を媒介し、霊長類に対し絶大なる感染効果を...。あれっ?これってそのまんま「28日後...」???(笑)
posted by まっぴら at 21:11| Comment(2) | TrackBack(0) | ゾンビ映画考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
どもども。。こんばんは。我輩もこの映画好きですねぇ〜〜。。。おぉ。チャーリーはここの生き残りかも?!ですか。へぇ〜。
Posted by あぶろっく at 2005年09月05日 23:25
>あぶろっく様
早々にコメントありがとうございます。m(_"_)m

>ザ・クレージーズ
ちょっと画質のコンディションが悪かったですね〜。古い映画だからさ仕方無いんだけど...。TV放映時、少し観たんですよ。CICビクターのLDは買い逃していたんです。

>生き残り?
大胆な仮説!(笑)
きっとあの火災で顔を火傷して、ライリーに助けられたんですよ。
チャーリーは劇中「自分は少々頭が悪い」というような台詞をのたまっていましたが、まっぴらはこれを「細菌兵器“トリクシー”の後遺症」で、脳に何らかのダメージを受けたのではなかろうかと勝手に推測しています。

でなければ、ロメロには朝鮮戦争の従軍歴があり、所属部隊で“M-1カービン”を使っていたのかもしれません。(大ウソ)

でもね。“M-1カービン”のアンモ(弾薬)
.30カービンは、現在では入手するのは困難で、極めてレアな代物なのです。(←実弾のお話)拳銃弾とライフル弾のちょうど中間ぐらいの威力。まっぴらだったら、隊員に進められる通り、迷わず“9mmマシンガン”を使うなあ〜。だって万が一弾切れになっても、隣のヒトから借りられるし...。
(もう映画と現実の区別がつかなくなっている 危)
Posted by まっぴら at 2005年09月06日 19:41
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