2011年08月17日

ハチミツとクローバー ~恋に落ちた瞬間~


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ハチミツとクローバー ~恋に落ちた瞬間~

羽海野チカ先生によるコミック作品、ノイタミナの枠で放映されたアニメ作品は未見ですが、これはいい映画ですねえ〜。甘酸っぱ系の青春映画、つい見入ってしまいました。この作品と本広克行監督作品の「サマータイムマシン・ブルース」は近年忘れられない邦画の一本になりそうです。

はぐちゃんを演じる蒼井優さんは清楚にして可憐で実にいいねえ。山田あゆみ役を演じる関めぐみさんも、前髪を下ろすと劣化した菅野美穂のようですが、非常に存在感がありいい役柄だった。また劇中唯一の個性派:森田忍を好演した伊勢谷友介さんも実に初々しく...旅館のカレンダーを破り、裏に醤油で龍を描く件は驚きました。スポンサーである藤原ルイジ(兄)、マリオ(弟)の“ブラザー”も、分かっちゃいるけどついつい笑っちゃう。アニメの実写化作品の場合、起用された役者の個性が突出してしまうことから、作品世界を完全再現する事はとても難しいそうなんだ。

ボクが一番気に入ったのは、建築家志望の竹本祐太(櫻井翔さん)と、宮大工の棟梁(中村獅堂)の交錯するシーンでしたねえ。おおっ!獅堂さん、抑えたいい役やってるじゃん!邦画作品も時々こういう映画に逢いたいね〜。コミック、アニメ、TV放映版、台湾版「蜂蜜幸運草」は元より「ハチクロ」のコアな世界は知るよしもありませんが、細かい事はまあいいじゃなイカ!もっか大満足でありました。(*^∀^*)
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2011年08月16日

隠し剣 鬼の爪

イカ飯いぃ...。否!その厳しいタイトルについつい身構えてしまうが、流石、名匠:山田洋次。藤沢周平原作の時代小説:海坂藩サーガ。(笑) その剛直にして直球たる武門の賦を、最後まで厭きさせずに魅せ切ってしまう、当代きっての寝業師。

「隠し剣 鬼の爪」

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【STORY】
時は幕末、庄内・海坂藩の下級武士・片桐宗蔵(永瀬正敏)は、かつて自分の家に奉公していたきえ(松たか子)が嫁入り先で虐げられていることを知り、その身柄を預かった。しかし世間の目は冷たく、やがてきえは宗蔵のもとを去っていく。そんな折、謀反の罪で投獄されていた友人の狭間弥一郎(小沢征悦)が脱獄。家老の堀(緒形拳)は、非情にも宗蔵にその征伐を命じた…。

永瀬正敏さんは袴姿でありながら、古びたジーンズでも突っかけたように、ぼそぼそと歩かれます。肩幅も目立って無い事から侍としての貫禄が妙に乏しい。しかしこれが案外下級藩士の姿としてはリアルな実像なのかも知れませんな。
物語の展開は前作の「たそがれ清兵衛」と非常によく似ていますが、時代は清兵衛が闊歩したであろう幕末と微妙に被るんでしょうか?出世とは縁の無い下級藩士を“因縁”と“主命”という形で、白刃の下に放り投げたのは前作同様の展開ですが、どちらかというと武家に奉公する下女との身分違いの恋、淡い恋愛劇に比重を重く置いている。で、刃傷もさることながら(笑)監督お手の物の人情劇。主人公の周囲の取り巻き一人一人が、各短いシークエンスの中、コミカルながらも圧倒的説得力を持って確実に息づいており、これが実に嬉しくも面白い。
また“ご無理ごもっとも”といった武家社会への痛烈な批判も描かれています。傲慢な家老;堀将監を演じた緒方拳さんの姿を観たとき、憎々しげな役柄とは別に、ちょっと涙が浮かびましたよ。改めて、日本映画界は不世出の至宝を失ってしまったんだね。

主人公:片桐宗蔵や狭間弥一郎の師匠であり、海坂藩の元剣術指南役:戸田寛斎(田中泯)から伝授された“隠し剣 鬼の爪”は、いささか小手先でトリッキーな感じがしましたが、昔の武芸はありとあらゆる物を得物とし、それに師承制度や秘伝・口伝等(密教の影響と思われる)を盛んに取り込んで、世間に重々しく権威装飾したことから、これはこれでいいんでしょうね。必殺仕置人みたいで、劇中のヒエラルキに疲弊した心中のモヤモヤがスッキリする。(笑) 
しかしカメラが回っている時に田中泯さんの見せる凄みは、役者というより修験者のそれ!「たそがれ〜」や「龍馬伝」での吉田東洋役もそうでしたが、なんという説得力を持つ演技者なのだろう。もっとも本来は演舞者でありますが...。

前作からの流れですと、海坂藩は官軍に最後まで抵抗した藩として設定されていますが、時代の奔流に激しく抵抗し藩と士道に殉じた井口清兵衛とは違い、宗蔵は禄を返上し新天地たる北の地へと去っていった。ポジティブな方向に働いた、まったく別の「たそがれ清兵衛」。紛う事無くその血脈の一人だと思います。昔誰かが書きましたが、やはり未来は明るい方がいい。

【本日の結論】
劇中の松たか子がいい女過ぎて、生きてるのがつらい...。
(T^T)

「ヒロイン」と言えず、寅さん宜しくつい「マドンナ」呟いちゃう。これは世代的悔しさだねぇ。(笑)
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2011年08月15日

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

その昔、和製西部劇はナベヤキ・ウエスタンと呼ばれたんですけどね。マカロニ西部劇を和風、かつ平家物語を織り交ぜたこの作品はスキヤキならぬ、ヤミナベに程近い。源氏・平家と白軍・紅軍分かれて、やってる事はほとんど「クローズ」と同一線。しかしよくぞその図式に当てはめたもんだね。妙に感心しました。(笑

三池崇史監督作品「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」。

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【STORY】
源氏と平家が雌雄を決した、壇ノ浦の戦いから数百年後。源氏と平家はすっかり落ちぶれてしまい、今は双方共にギャングに成り果ててしまっていた。白の源氏ギャングのリーダー源義経と、赤の平家ギャングのリーダー平清盛は、とある寒村に眠るといわれる宝をめぐって激しい対立を続けていた。そんなさなか、ひとりの凄腕ガンマンが現れる。彼をめぐっての対立が、やがて複雑な事態に進展する。


いやあ〜っ!その画面的色彩にどっと眼が疲れました。モノクロ作品ではありませんが、(ゲスト出演にタランティーノを迎えていることから)刺激色と明暗を基調とした撮り方は、2005年のロバート・ロドリゲスの「シン・シティ」辺りでも意識したのかねぇ...?

西部劇作品において、誰が拳銃の取り扱いに長けているか?見分ける方法は、スピン・コックから銃をベルト・ホルスターに納める際、手許...つまるはホルスターと銃身を見ないで納める人なんだそうな。また自他の銃声で反射的にビクつかない人とかね。(最も音は後で編集する) 皆さん、この映画のために相当練習したんだろうな。

義経を演じた伊勢谷友介さんの醸しだすヤン風で気だるそうな雰囲気は、生前の松田優作の演技を彷彿とさせる。上背もあることから意識したのかな?また弁慶役の石橋貴明氏は、起用の意味がよく分かりませんでしたが、後半ああ!なるほどね!(笑)っと言った感じ。とんねるずのネタとあまり変わっていない。二重人格気味の保安官:香川照之の一人芝居は、 演技者は職業上面白みを感じるのかも知れないけど、その醍醐味は(この映画では)観客には今ひとつ伝わらないような感じで、劇中少々空回りかなぁ?佐藤浩市、石橋蓮司、桃井かおりといった日本映画界の重鎮まで引っ張り出し、その割には随分勿体無い使い方だなあ...というのが正直な感想です。桃井さんのガン・ファイトは普段見られないだけにやたら格好いいですけどね。

過去マカロニ・ウエスタン作品で見られた定石...つまるは浪花節を小器用に踏襲しながらも、劇中の誰一人として感情移入し辛いのが難点。格好良く見せたいのは分かるんだけど、ポーカー・フェイスばかりが、返って仇となった感じがします。
また随所にコミカルな要素を散りばめながらも、ことのほか決まらずに滑ってばかりいるのも残念。
両親を殺された平八少年と、去り行く凄腕ガンマン(伊藤英明)とのラスト・シーン。西部劇ですのでてっきり「シェーン!カンバック!」で締めくくるのか?と思ったら肩透かし。その代わりエンディング・テーマの「ジャンゴの主題歌」。歌い手が北島サブちゃんだったのが唯一大爆笑でした。あくまで和風テイストに拘るこの映画、改めて確実に逝って良し!

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2011年08月14日

Ironclad

ボクはファンタジーやガチャガチャと西洋甲冑が群れ成す史劇映画はあまり興味がありませんで、辛うじて最後に観た映画は「キングダム・オブ・ヘヴン」ぐらいしか記憶にありませんが、最新作チャンバラ・スプラッター映画「Ironclad」のトレーラーや映像クリップが公開されています。(正規トレーラーは消されてしまったみたい。) 
概ねPGや映倫といったレイティング・システムにはバリバリに引っ掛かりそうなほど、流血の度合いは正直半端じゃありませんで、こりゃあホラー作品じゃないのか?メジャー・スタジオ作品なのにホントにいいのかぁー!?って感じの仕上がりです。しかし西洋刀っていうのか?ソードと書いた方が適切なのか?やたら切れ味が鈍そうで痛そうだなあ...。

【残虐映像クリップ】

 
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2011年08月13日

必死剣 鳥刺し

劇場公開当時は「小生は鳥刺しよりも、レバ刺しの方が好きである」とヲヤヂギャグを嘯いては、周囲の希薄な酸素の中で失笑ばかりかっていましたが、劇場映画の題名としては正直「なんてタイトルだ?」と眉に皺を寄せたし、NHK大河ドラマ「江」の信長役で声質の高い豊川悦司さんは、時代劇には似合わないな...というのが敬遠の理由。藤沢周平氏原作の映画化は「たそがれ清兵衛」が白眉でしたので、それ以外の映画化作品で、清兵衛で得た感動を穢したくないなと思っていたのだけど、ヒロインを努める池脇千鶴さん(日本女性的ふくよかさが堪らん!)、表情に硬質感が伴う元祖ツンデレ系の関めぐみさん達の共演はやはり気になります。関さん主演の「8月のクリスマス」は、未だに大好き。(笑)

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必死剣 鳥刺し

【STORY】
時は江戸。東北は海坂藩の物頭・兼見三左エ門(豊川悦司)は、藩主・右京太夫(村上淳)の愛妾・連子(関めぐみ)を城中で刺し殺した。
最愛の妻・睦江(戸田菜穂)を病で喪った三左エ門にとって、失政の元凶である連子刺殺は死に場所を求めた武士の意地でもあった。が、意外にも寛大な処分が下され、一年の閉門後、再び藩主の傍らに仕えることになる。腑に落ちない想いを抱きつつも、身の周りの世話をする亡妻の姪・里尾(池脇千鶴)の献身によって、一度命を棄てた男は再び生きる力を取り戻してゆく。
ある日、中老・津田民部(岸部一徳)から秘命を受ける。藩主家と対立しているご別家の帯屋隼人正(吉川晃司)から藩主を守れというものだった。そして待ち受ける隼人正との決着の日。三左エ門は、想像を絶する過酷な運命に翻弄されていく...

架空の藩:海坂藩は藤沢時代小説の始発駅的プラットホームでありますね。「たそがれ清兵衛」を始めとし過去チラ観した「蝉しぐれ」や「隠し剣 鬼の爪」、「武士の一分」「花のあと」と、江戸中期から御一新(明治維新)までの期間に、この藩は盛んに暗君や暴君、様々な剣豪達を輩出します。
庶民や下級武士の哀歓を描くのは元より、この作品の売りである“凄絶なラスト”についオザナリにされそうだと危惧した、儒教浸りであった当時の武家層の静謐さ、所作挙動、お行儀。極めて丁寧な再現には好感が持てます。静をキチンと描く事により、動が初めて生きてくる。役者さんも裏方さんも皆頑張りましたね。

屋内での戦闘において、小刀(ちいさがたな)での太刀回りはリアルにして絶妙。血糊に拘った流血シーンも「椿三十郎」のような噴出量と圧倒的迫力。ただ肝心の妙技“鳥刺し”。名匠:平山秀幸監督を持ってしても、藤沢小説の行間の間隙に潜む必殺の間合い。その官能の映像化は流石に難しかったか?刀の鞘から下緒を解き、思わせぶりな描写はあるのだけど、あの状況や体勢からの刺突、物理的運動は明らかに無理がある。この場合“小説はあくまで読ませる物、映画・お芝居は見せる物”。両者、表現的限界はあるよね。

そういえば後半、三左エ門/豊川悦司さんと鬼気迫る鍔迫り合いを演じた帯屋隼人正/吉川晃司さんも、過去大河ドラマ「天地人」で織田信長役を演じていたんですね。潜在的信長対決はちょっと見ものでありました。(笑

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2011年08月12日

人狼 JIN-ROH

恥ずかしい話、ボクは模型は作りますが、ホビー●ャパンといった模型情報誌をまるで読まない事から、反政府鎮圧部隊:首都警特機隊も、ケルベロスの何たるやというものをまったく知りません。そういえばケルベロスは、押井さんのライフ・ワークだったんですね。(`^´)>.。
このように無知無恥プリンな私めは、この方面に詳しいマイミクさんに薦められるがままに、「人狼 JIN-ROH」をレンタルしてきました。この作品は原作、脚本が押井守氏。監督は沖浦啓之氏。

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【STORY】
首都、東京。その強引な経済政策は、失業者と凶悪犯罪を急増させた。政府は反政府勢力掌握の為、首都圏に限り治安部隊を設置した。通称「首都警」と呼ばれる治安部隊は、加速拡大した。ところが、反政府勢力は、立法措置により非合法化し地下組織の道を辿った。そして地下組織は首都警との市街戦を繰り返した。世論は強大な武力で対抗する「首都警」を非難の的とし、結果、「首都警」は孤立を一層深めていった・・・。青年、伏一貴は、反政府鎮圧部隊「首都警」の一員である。伏はこれまで、闘争本能のみで生きる一匹の狼の様に人間としての一切の感情を切り捨て、自分を律してきた。しかし、或るとき、伏は潜伏する地下組織の追跡で、衝撃的な事件に遭遇してしまう。そして、この事件がきっかけで、彼は、彼自身の内なる世界に変化が芽生え始めた。更にその後、ひとりの女、雨宮圭との出逢いが、彼を思わぬ方向に導いてしまう。運命のように惹かれあい、そして...。

可能性としての架空なる戦後史。ドイツ占領下...第二次ワイマール体制下における首都:東京。占領独逸の文化に傾斜し見事融合を果たした昭和30年代のノスタルジックな背景に、古典童話「赤ずきん」の「赤ずきん」と「狼」を、左翼反体制の「アカ」及び、帝国主義的体制を指すスラング「狼」として対置させたケース・ハードな寓話。これはただ者ではない。さながら「野生の証明」。

気にいったのは作画でね。日本のアニメっぽくない。作画監督は「NARUTO」の西尾鉄也さんが担当されておられますが、エンド・クレジットを観ると、彩色等を中国に発注していたのかな?色に諧調を置かないアッチっぽい絵が昭和30年代の風景と相俟って、かなり斬新かつ新鮮な印象を受けました。 また銃器の描写もリアルですねえ。メイン・ウエポンたる独汎用機関銃:MG-42を細々とここまで描ききった手腕は流石!守備範囲外での思わぬ知的収獲に大満足でありました。これは一見の価値あり!ボクはブルーレイが欲しいなあ。まだ取り寄せで手に入るのかな?それにしても国内アニメって値段が高いねえ...。

伏一貴のCVを担当した藤木義勝さんってボクは知らなかった。てっきり大塚明夫さんだと思っていたのだけど...非常に似た声質。

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2011年08月10日

イノセンス

押井守監督作品繋がりで借りて観ることにしたのだけど、あちゃ〜っ!こりゃ凄過ぎた!情報量のあまりの多さに粗末な脳がオーヴァー・フローし、その哲学的オシイズムは自らの言語領域を超越すますた!ただでさえ原作漫画の熱心な読者では無いので、予備知識が乏しい者がこの映画を語ろうとすると、あまりにハードルが高すぎて痛い目に合う事を、辛うじて再認識出来ただけ。(笑)

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イノセンス

古のOVAアニメ作品「ブラックマジック M-66」の頃から、どこまでも電脳とピュグマリオニズム(人形偏愛)。加えて膨大に引用される古典の箴言。緻密かつ正確無比な設定に加えて、これ等禅問答の一切を「アイヤイヤ〜♪」といった傀儡謡のコーラス・サウンドの中で咀嚼しているだけで精一杯で、どんなに思考を旋回させても(次のシーケンスの展開までに)理解できない自らの凡庸さに気がつくと、たちまち泣き出しそうになります。

「生死去来 棚頭傀儡 一線断時 落々磊々」の映像的銘文(漢文)は内容に照らし合わせて、てっきり文楽の人形浄瑠璃か何かからの引用だと早合点したのだけど、「月菴和尚法語」の一節だったのは初めて知りました。「是は、生死に輪廻する人間の有様をたとへ也」と後に補足されたようだけど、物語の核となる少女型愛玩用アンドロイド「ハダリ」が生を得たように大挙して攻めてきたり、意思を喪失するように機械的運動を停止して、無機質な物体として地に転がったりした時に、初めて重み、を持って伝わってくる金言なのかなあ?と思ったり。
 あるいは論語の「寝むるに尸せず 居るに要づくらず。未だ生を知らず 焉ぞ死を知らんや。理非無きときは鼓を鳴らし攻めて可なり。」などモロでしょ。

しかしねぇ...。一定の学識・知識が覚束ないと理解できない、オシイズムを理解するのにかなりの熟練を要するといった罪な作りの作品で、これが家電量販の安心・親切・軽薄の三拍子揃った模範的良心世界の製品だったら、きっと返品の山を築くに違いない。(笑) 近年まれに見るほど物凄い作品にぶち当たった手ごたえはわかるんだけどさ...。これは是非繰り返し鑑賞して難解極まりない作品世界を理解したいので、機会があったらこのブルーレイは買いだぞ!

↑「自分の面が曲がっているのに、鏡を責めてなんになる。」
 ニコライ・ゴーゴリ「検察官」からの引用を持って、自らの難解な感想を締めくくる事にする。ああっ!なんて罪作りな...。(苦笑
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2011年08月09日

スカイ・クロラ

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年齢が嵩みますとレンタルSHOPも、キッズがタムロするアニメの棚など流石に近寄り辛くなるのですが、先の「マクロスF」を観て、少々の主旨変え。バルキリーの空戦シーンも魅力を感じましたが、この映画に観られるレシプロ機同士によるドッグ・ファイトや、映画「空軍大戦略」ばりの地上基地での休息の間合いには、浪漫や味わいを覚えます。正直「紅の豚」以来じゃなかろうか?

スカイ・クロラ

エンテ型(前翼式)戦闘機は、旧日本海軍の震電を否応なく髣髴してしまいますし、飛行機好きにはたまらない映画なんでしょうねえ。ゲームのムーヴィーに登場しそうなレンダリング・バリバリのCG映像と、「NARUTO」の絵柄(キャラ・デザ:西尾鉄也氏)のコラボは、正直眼のピントが合わずチカチカしますね。(笑)

国家間の紛争を戦争請負会社が代行する営利的企業間戦争というのは面白い解釈でしたが、残念ながら原作小説の内容をまるで知りませんので、“永遠に大人にならない者たち”たる“キルドレ”の存在とか、デジャヴ(既視感)的にローテートする物語構成が、幾分突飛な印象を受けました。最もこの辺りはリスタートするゲーム感覚の空しさを、ドラマに盛り込んだせいでしょうか?
作品全体に漂う倦怠感。戦争をするでく人形の様に、生に対して希薄な空気。一転、待ち受けるであろう“死”に対して情熱を燃焼させてしまう終末。長台詞もさることながら衒学的な含みを持つ押井節...。
あっ!ボク的には非常に満足した作品で、10年に一度ぐらいこういう作品に巡り逢い、ひと時考えさせらる時間を取りたいものであります。
この場合、作品の出来不出来、その是が非ではなく、一期一会の機会を自ら持つ努力が大切なのかも知れません。

草薙水素のCVを担当する菊地凛子嬢は、果たしてアフレコが上手いのか?下手なのか...?あの抑揚のない口調は、これぞ押井守理論の説くところ「ダレ場」の発生源、もしくは遠因のような気も...。(笑
posted by まっぴら at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月07日

劇場版 マクロスF 虚空歌姫 〜イツワリノウタヒメ〜

これねぇ...。レンタルで変な洋画DVDを観てるより面白い。(笑)
アニメ作品とはいえ、世代的にハイ・ターゲット向けの作品は侮り難しです。

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劇場版 マクロスF 虚空歌姫 〜イツワリノウタヒメ〜」

物語の大筋は“芸能と戦闘の融合”と、ほぼパターン化されていますがね。世代的にファースト・ストライクであった美樹本さんのキャラ・タッチで作品イメージが固まっていたせいか、キャラクターデザイン手掛ける江端里沙さんの絵があんまり好物ではないので、まったくの喰わず嫌い。TV版もまったく観なかった。物語冒頭で免疫がついたので無問題。

【STORY】
変わらない日常、閉じこめられたガラス張りの移民船団。西暦2059年、新天地を目指す銀河移民船団「マクロス・フロンティア」で、
パイロットを目指す少年:早乙女アルトは閉鎖感を覚えていた。
そんな時、銀河頂点の歌姫「シェリル・ノーム」のコンサートツアーが船団へやってくる。シェリルに憧れる少女:ランカ・リーとともに、アルトはコンサート会場にいた。
突如、重機甲生命体「バジュラ」の襲撃を受け燃え上がる船団。少女たちを護るため、アルトは最新型可変戦闘機VF-25に乗り込む。炎を切り裂き飛びゆく先には、宇宙を揺るがす伝説の“歌”と、少女たちにまつわる新たなる「謎」が・・・!

キャッチコピーは「歌で銀河が救えるわけないでしょ」。

マクロス・メカ=バルキリー等、登場するハードウエアは模型関連商品と連動し日々しマイナー・チェンジを続けていますので、ボクの様に前作の設定に囚われ、思考が固くなる年齢を迎えますと付いて行き難い。思わず「ううっ...!」と腰が引ききがちになるのですが、往年の非軌道陸戦型デストロイドの「モンスター」が健在だったのが嬉しかったなあ。不慣れな現用戦闘車輌の中で、ばったり前世代たるM110 203mm自走榴弾砲に出遭ったような親近感!(例えが違う!笑)

また3DCGやモーションキャプチャー、実写などの素材を交え、ミュージカル風の演出を手掛けたライブ・ステージ風景も素敵でしたが、シェリル・ノーム(CV:遠藤綾ちゃん)のシャドウ・ヴォーカリストを努めるMay'nの歌がとにかく場を盛り上げてイイネ! 「サヨナラノツバサ」も楽しみです。

あっ!マクロス・フロンティアの市街。サン・フランシスコともシドニーとも思える坂の多い都市群の中にあって、深秋葉原電気(DEEP AKIBA EL)の看板や風景には、思わず大爆笑でした。その習俗は華麗にしてマンマや!(笑
posted by まっぴら at 16:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月06日

映画「君に届け」

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君に届け」。

この作品はコミックス・アニメと大ファンなので、素直に手放しで喜んじゃうよ。漫画・アニメキャラと、ほぼ等身大の俳優たち。演技はまだ学芸会レヴェルかも知れませんが、アニメで得たイメージが若い俳優たちの拙い演技や舌足らずな台詞回しを補完してしまうようで、兎角評判を落しがちなアニメ作品の実写化でありながら、最後まで楽しむことができました。 とにかく全てがピュアだ。

爽子を演じる多部未華子ちゃんが上目遣いに睨みを利かすと、「リング」の貞子を連想させる映像的演出がまず必要ありません。(笑

風早役の三浦春馬くんは、顔だちが整い過ぎて、浮世離れした美しさがある。ARATAさんが演じた担任:ピンは、当初おとなしいようなイメージを危惧したが、思いのほか似ていて好印象でした。矢野ちん演じる夏菜は「GANTZ」でオールヌード。惜しげもなくハミ乳を見せる気迫で頑張ったようだけど...(苦笑) まあよく似た俳優たちを連れてきましたね。 桐谷美玲嬢が演じるくるみちゃんはそっくりで確かに綺麗ですが、いささか太目に感じるのですけど気のせイカ???実写化「荒川UB」はてんで駄目ですね。(苦笑

アニメ第一期のストーリーをところどころ端折っては時間枠内でテンポ良く消化してありますが、あまり遜色は感じません。これはお薦めの1本で、それもこれもみんな風早君のおかげだよ。揺れるハート(笑
 
その昔、真似して描いた爽子絵をUPしてみました。あんまり似ておりませんで恥ずかしい限りです。はい。
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過去関連ログ:2010年10月07日 「遅まきながら、君に届け!」
http://mappiragomen.seesaa.net/article/164985202.html
posted by まっぴら at 21:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月05日

桜田門外ノ変

映画監督:佐藤純彌氏といいますと、近年の映画作品となりますと、「男たちの大和/YAMATO」がありますが、それ以前は「新幹線大爆破」、「人間の証明」、「野生の証明」、「植村直己物語」、「敦煌」とありまして、もっと昔と申しますと、東映の893路線が有名です。

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本日も帰宅時レンタルに行きまして、多部ちゃんの「君に届け」を借りようと思ったところ全て貸し出し中という悲しい結果。んで「桜田門外ノ変」のDVDを借りる事にしました。原作は吉村昭氏の同名小説。

物語は現代の皇居桜田門周辺の風景からスタートし、江戸幕府大老・井伊直弼が暗殺された桜田門外の変とその前後の顛末を、襲撃を指揮した水戸藩士・関鉄之介の視点から描いています。

ボクの頭の中では、吉村昭さんの小説と、佐藤純彌さんのそれまでの作風が今ひとつマッチせず、結びつかなかったんですけど、ああっ!なるほどね!一見クライマックスに持って行きがちな襲撃シーンを、映画前半に持って来た。後半は大沢たかお扮する関鉄之介の、仁先生もビックリ!の国内縦横無尽の逃亡劇だ。 ゆえ話は一気に地味になるが、これなら漂流奇譚の個人劇をお手のものとする吉村テイストが生かされる。

雪中にびゅうびゅう!と血飛沫が舞う凄まじい大立ち回り。過剰な血糊演出は、前作「男たちの大和/YAMATO」の影響なのかね?(笑

現代の政治など到って顕著ですが、瓦版に振り回され「極端から極端へとすぐ移行する」のが、今も昔も日本人の悪しき遺伝的体質(島国的閉鎖性によるもの)。残念なのが物語の背骨となる、海外の脅威、尊攘を重きとし国を憂いたこの当時の水戸人や民衆の心情が、画面から伝わらず。概念の独走であろうとは思いますが、「暗殺」という尋常ではない非常手段に打って出るほどの異常心理を、「それを遡る事、数年前...」と回想シーケンス過多気味の中で、当時の水戸藩の正当性や説得力を、観客の共感を得られるほど描き切れたのか?というと、少々疑問を感じます。
また桜田烈士(十八士)を含め登場人物が極めて多い事から、感情移入もさることながら俳優と役名を合致させるまでが難しい。
ゆえその高度的理解は、繰り返し観られる媒体=DVDなら兎も角、劇場は苦しいものがあるかも。

政治テロ・クーデター物としても、内容はかつての「226」とほぼ横一線。 娯楽性を追求した映画作品というより、歴史・吉村史劇の再現として、レキジョを抜かした歴史好き向き。あるいは切腹マニア・斬首マニア・江戸期刑罰マニアも喜ぶ一本だと思う。(笑)

印象深い役者さんは、井伊直弼役を演じていた伊武雅刀氏と、面相に強烈な個性があるお気に入りの俳優:田中要次さんが、稲田重蔵役を演じていたのが嬉しかったな。襲撃時に瞬く間に瞬殺されたけど、そんな役ばっかや!「キル・ビル」の頃から変わらへん!(泣)
 
茨城県の市民団体が主体となり、地域振興と郷土愛を目的に作られた県民創世映画だそうで、ロケは茨城県全域に及び、桜田門外を再現した巨大なオープンセットも作られたそうです。イイネ!これは素直に美談だと思いますので「東映時代劇なら、東映太秦で撮影して欲しかったなあ...。」とは口が裂けても言いますまい。(笑
posted by まっぴら at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月03日

十三人の刺客

映画百本斬り...というよりは百叩きに程近いのですが(笑)マイ・フィーバーはまだ続きます。
これは痛快!剣戟好きならそこそこ楽しめる。斬って斬って斬りまくる。その大太刀回り、実に50分!「クローズZERO」の三池崇史監督によるアクション時代劇。 「十三人の刺客」。

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江戸時代末期。老中:土井利位より、暗愚な主君である明石藩主:松平斉韶(稲垣吾郎)暗殺の命を下された島田新左衛門(役所広司)は、甥の新六郎(山田孝之)ら腕に覚えのある刺客を集め、参勤交代の途上、300人を超える明石藩の軍勢に戦いを挑む。

元となったのは片岡千恵蔵:主演の東映の同名映画なんですが、東映といえば「将軍家光の乱心 激突」で、いわば「通せんぼ系時代劇」(笑)の先鞭をきっております。何故今回は東宝配給なんだろうね?東映にこの人ありと謳われた名物プロデューサー兼名誉会長で在らせられた岡田氏亡き後、東宝の方がこの手の作品を作りやすい環境なのかな?はては劇場版「クローズ」の系譜が、ちょん髷結わいて長ドス携え先祖帰りしてもうたか?

だが流石金がかかってるだけあって、その大道具たるや、かなり力が入ってる。戦ぐ稲穂の如き白刃と斬撃の群れ。流血の量も半端ではない。 (四肢欠損の描写があるためPG-12の配慮?) 御徒目付組頭:倉永左平太演じる松方さんも、剣豪:平山九十郎役の伊原さんも超カッコいい!
これは主演の役所さんというよりは、山田孝之君の為の映画の様な気がするんですが、三池作品特有の瓢げたキャラクター、自然児の小谷太:伊勢谷友介さんの個性に完全に喰われちゃってる感がある。てかその存在感(設定)はラストの余韻にまで波及して、ともすれば作品全体の印象に微妙な影を落としてしまったような気がするんですけど...。武士らしさに決別する対比役としても、こういう人物設定でホント良かったの?不良作品を撮りながらも、時代劇の硬派な息苦しさに耐えられなかったの? これだけがちょっと惜しかったかねぇ〜。(溜息

完全無欠のヒール、松平左兵衛督斉韶を演じた稲垣吾郎ちゃんは、アイドルの肩書をかなぐり捨てて、演技派として冷酷無比にして暗愚な殿様という物凄い役に挑んでいます。SMAPファンが腰を抜かすような恐るべき終末が待ち受けておりますが...。ええっ!?あの吾郎ちゃんがまさか!って。泥と血に塗れのた打ち回る役柄を、自ら楽しんで嬉々として演じておられたのでしょうか?ちょっと心配しました。あっ!あの蛆便所、嫌ですね。(大汗

これはDVD・ブルーレイが欲しいなあ...。買っちゃおうかなあ...。

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2011年08月02日

SPACE BATTLESHIP ヤマト

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劇場公開当時、足を運んで観た人に感想を尋ねると、皆一応に口が重くなるのは何故だろう?と思っていたのですが、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」をようやく鑑賞しました。まだ準新作扱いなので一泊二日で、レンタル価格もちょっとお高め。

まあ...TBS開局60周年記念作品(何故?)とかで、「お祭り映画」ですから...い、い、いいんじゃなイカ?(苦笑

どだい2時間枠に治まる内容じゃないのは、素人が考えても分かるしね。過去のアニメ作品と比較しつつ、いちいちネチネチと重箱の隅を突付くような観方をしたくない。てか後進のクリエーター達が生み落とす現代的作風を寛容出来ずに、非難のシュプレヒコールをあげる熱狂的ファンって、どんだけ心に余裕がねーんだよ。

ボク的には作品の売りであるがゆえ、VFXによる映像遊びが少々過多なのは已む無しとしても、やたら飲酒シーンが多いのが鼻につく。ほら。一応子供も観る映画ですしね。物語後半は「スター・シップ・トルーパーズ」の要素を取り込む以外、纏める術なき映画だったのかな?って。ラストもあまり手放しで喜べないのだけど、これはあくまでアニメが公開された頃の“自己犠牲を尊し”とした作品的風潮であり、また原作者・執筆者の作風の再現ですからねぇ...。対象が「ヤマト」だけに、またナニガシ主義礼讃とムキになって目くじら立てるのも、少々的外れかもしれない。

「さらば〜」からシフトした真田・斉藤の件は、わかっちゃいるけど少しジーンとした。何せ配役が真田/ギバちゃんだけに、末路はもうそれしか考えられないですし(笑)、演技も割と味濃いですし。島=緒方など似ている役者さんを起用して、スマスマの番組内コントがマジで劇場用になったぐらいの感覚で観ていると案外失望しません。(笑

でも「現在、大気中の放射能濃度は14sv!致死量の約2倍です!」って、この秋の改変期のTV放映は流石に苦しいだろうなあ。

流石ヤマトは国のまほろば!今も昔も伏兵多き不沈作品。(苦笑
posted by まっぴら at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月01日

ジェシー・ジェームズの暗殺

アメリカで2月13日は「銀行強盗の日」だという。これは西部開拓時代のアウトロー:ジェシー・ジェームズが1866年2月13日に世界初の銀行強盗に成功したことから、そう呼ばれているんだとか...。
ロン・ハンセン著の「ジェシー・ジェームズの暗殺」というノベライズを手にしたのは、かれこれ2008年1月の事。早速レヴューしておりますが、映画はどんな出来じゃろかい?とDVDをレンタルしてみました。

アンドリュー・ドミニク監督、主演:ブラッド・ピット、ケイシー・アフレックの西部劇映画 「ジェシー・ジェームズの暗殺 The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford

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ジェシー・ジェームズとは南北戦争で敗北後、北部資本に蹂躙されたアメリカ南部においてロビン・フッドのように英雄視され、義賊として民衆に愛された銀行強盗なんですが、ジェシー(ブラッド・ピット)を崇拝するヲタ少年:ロバート《ボブ》フォード(ケイシー・アフレック)が、仲間になり、友人となり、次第に殺意が芽生え、ついには“アメリカで最も卑劣な男”として記憶されるまでの過程を綴る心理サスペンス。
製作は自らの作品に「西部劇の対決」の図式を盛り込む事で知られるリドリー・スコット。その総指揮にトニー・スコット。作品に惚れ込んだブラッド・ピットが主演・製作を兼任し、鬼気迫る演技でベネチア国際映画祭最優秀男優賞を受賞しました。また第80回アカデミー賞ではケイシー・アフレックが助演男優賞に、ロジャー・ディーキンスが撮影賞の候補になった作品です。

英雄を背後から撃った男の悲哀...この物語のプラット・フォームはサム・ペキンパー監督作品「ビリー・ザ・キッド 21才の生涯」。ビリーを撃った男:保安官パット・ギャレットをボブ・フォードにそのまま置き換えたような気がするんですが...。気のせいでしょうか?狂気に駆り立てられ、事件後、苦悩していくケイシー・アフレックの演技は、ブラピの存在感を完全に凌いでいます。
脇を固める配役は面白く、ジェシーの兄:フランクに「ライト・スタッフ」、「ブラックホーク・ダウン」のサム・シェパード。(とても4つ違いの兄とは思えない老け方!) 従兄弟のウッド・ハイトに先の「ハートロッカー」のジェレミー・レナー。保安官ティンバーレイクを演じるテッド・レヴィンは、映画「羊たちの沈黙」連続誘拐殺人鬼:バッファロー・ビル役で強烈な個性を見せたあの役者!

ロジャー・ディーキンスが撮影に望んだ流れる雲、雄大な大自然の風景は確かに美しいんですが、室内劇にあって昼=白、夜=黒と二極化したコントラストは、まるで「エイリアン」のノストロモ号の船内のようで、製作:リドリー・スコットの意向なのかなあ...とついつい勘繰ってしまいます。また銃口から立ち上る硝煙と窓明かりが織り成すコラボレーションなど。

しかしブラッド・ピット演じる肝心のジェシー・ジェームズは戴けない。強盗団の頭目として“下々を纏める”だけのカリスマ性が画面から感じられない。ウォルター・ヒル監督作品「ロング・ライダーズ」のジェームズ・キーチの方がまだいいや。この作品、ブラピのある種の自己満足の為に撮られたような作品で、(集客上仕方が無いが)自分がでしゃばらず別の役者を当てる勇気があったら、評価もおのずと変わったのではなかろうか?マーダー・バラッドにおいては「ロング・ライダーズ」はおろか...仮想対抗馬であろう「ビリー・ザ・キッド 21才の生涯」には果てしなく遠く及ばない。

ジェシー・ジェームズの暗殺」公式ウェブサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/assassinationofjessejames/#
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2011年07月31日

甜蜜蜜とイヤー・オブ・ザ・ドラゴン

この映画が公開された80年代からガン・マニアだった影響もあり、随分眇めかつ邪まな鑑賞の仕方をしたもんだと後悔しきり。もし仮に駅前のデパートやSHOPで新古・中古のDVD販売品の中にこの映画を見つけたら、周囲の評判や出来の悪さはさて置いても、マイ・フェバリット・ムーヴィーの一本として迷わず手にするでしょうね。↓ これはレンタル品。(笑)

マイケル・チミノ監督の「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」。
うひょ〜!我ながら古い映画だね〜。(苦笑)

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【STORY】
大胆活残忍な暴力支配でニューヨーク中を震撼させるチャイニーズ・マフィア。組織中で勢力を拡大しつつある若き幹部ジョーイ・タイ(ジョン・ローン)が古い麻薬組織を改変しようといていた。一方、チャイニーズ・マフィア壊滅に自らの存在意義を賭ける警部スタン・ホワイト(ミッキー・ローク)が組織本部へ乗り込み、挑戦状を叩き付けるのだが……。

「天国の門」で大コケして仕事を乾されたチミノの復帰第一作。移民の坩堝:アメリカ社会で少数民族=マイノリティにスポットを当てて描く事に定評があったが、チャイニーズ・マフィアが在米華僑の暗部を全て支配しているような描き方がセンセーショナルを呼び、チャイナタウンや各地で上映反対運動が起きたとか。そりゃそうだよね。(笑) ロバート・デイリーの原作もさることながら、脚本を担当したオリバー・ストーン(!)の(「プラトーン」に観られた)中国もヴェトナムも解釈がごっちゃな亜細亜偏見主義が色濃く縁取られている。監督だって出世作は「ディア・ハンター」だ!

取り分けミッキー・ローク演じたヴェトナム帰りのスタン分署長の東洋人排他主義に、等身大の分身像を見る事ができないか?ただトレーシー・ズー演じた女性TVリポーター・アリアーヌと不倫関係に堕ちたりする件は、この当時のミッキー・ロークから漂う“腐とも糜とも受け取れる爛れた魅力”が人種偏見に満ちたタブーな内容を凌駕し、彼が演じた人物像も含め「性懲りもない」、「女にだらしのない」という滑稽な救いや味わいをこんにち残してしまったような気がします。たぶんブラッド・ピットもご同類。(笑) 襲撃され首を撃たれたり、掌を撃ち抜かれても尚と...いったWILDさを盛んに演出していますけど、後の時代も自らのセックス・アピールを妄信する以外は、演技者としてついに一皮剥けなかったのが惜しまれてなりません。



またチャイニーズ・マフィアの若き頭目を演じたジョン・ローンも「ラスト・エンペラー」以降キャリアが長続きせず、一体どこへ消えたのか...?いずれにせよ80年代映画の懐かしくも甜蜜蜜(Tián mì mì)とした空気に酔うも、また楽しからずや。偶然!来年は辰年だよね〜♪(笑)
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2011年07月29日

SAW ソウ

束借りしたレンタルDVD作品では、今週はコレが一番面白かった。ソリッド・シチュエーション系のホラー...まあスリラーか?過去「CUBE」なんてカナダの迷作映画がありましたが、邦画の「バトル・ロワイヤル」等、連れ去られ配置型闘争系(?)映画の原形作品。ゾンビ映画と比肩しつつ、21世紀のホラー映画の一ジャンルを先導してしまった映画。

ジェームズ・ワン監督の「SAW ソウ」。何本か続編がありますが、一本目が一番インパクトが強いのかな?

saw.jpg

老朽化したバスルームで目覚めた2人の男、ゴードンとアダム。それぞれ足首に鎖をはめられている。2人の間には自殺死体。まったく見当がつかない“状況”に散乱するテープ・レコーダー、“再生せよ”と書かれたテープ、一発の銃弾、タバコ2本、着信専用携帯電話、そして2本の弓ノコギリ。耳障りな秒針の音と共に告げられたのは、「6時間以内に相手を殺すか、2人とも死ぬか」だった...。
 


一番マトモそうなヤツこそ、壊れ方が激しかった...。

当てになりそうなヤツが、肝心なとき役に立たなかった...。
(笑)

血生臭いのだけど、面白い!という感想は、不謹慎にあたるだろうか? ヴィジュアル的なグロさというより、心理的に迫るものがありました。内容は...見事に騙されちまいまして、そのどんでん返しの鮮やかさに舌を巻いた。(笑) 特に三果骨折で入院歴のあるボクは、この映画のシュチは原体験に根ざして、とても怖いなあ...。(内容に触れる為、あまり詳しくは書きませんが...) 弓ノコはしばらく観たくありません。(笑)

しばらくこの映画の続編を、プライオリティを上げて観てみようかと思っています。
posted by まっぴら at 21:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月28日

メメント


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一言で言い表すならば“クリストファー・ノーラン監督が仕掛けた神経衰弱”。その斬新過ぎる物語構成は、ビールで酔った頭では、内容がさっぱり分からない映画。軸足を置く場が確保出来ぬ事から、途中で少し気持ち悪くなりました。ラース・フォン・トリアーらが提唱する「ドグマ95」より始末が悪い。(笑)

メメント」。

これでも2000年の映画だから、11年前の映画だ。物語の重要ITEMであるポラロイド・カメラを見て、思わず噴き出しそうになったのだけど、映画の中で絶滅した家電や通信・光学機器を観ると、現代に置き換えたらどう様変わりするだろう?と、つい要らぬ心配をしてしまう。VHSビデオも無くなってしまった。貞子の呪いのビデオは、ブルーレイからBDやDVD-Rに置き換えると物語が成立し辛い。10回しかダヴィングが利かないし、やっぱTUBEやニコ動鑑賞が妥当かな?でもNET感染では別の映画だ!(笑

【STORY】
10分しか記憶を保てない前向性健忘に陥った男:レナード。彼は妻をレイプし殺害、自分を障害に陥れた犯人を捜し出すため、ポラロイド写真(!)を撮り、メモを取り、大事なことは身体に刺墨で書き記すなどして必死の行動を始める。しかしそれでもなお、目まぐるしく変化する周囲の環境には対応し切れず、困惑し、疑心暗鬼にかられていく。果たして本当に信用出来る人物は誰なのか。真実とは一体何なのか?

記憶として残る10分間のシーケンス毎に時間軸を逆さまにし、それ以前の記憶が消えた男と観客が共に推理していく形をとった実験的作風のクライム・サスペンス映画。発想は面白いですね。クランク・イン後、物語の筋をどういう順番で撮影していったのか?大変興味があります。記録係は死にそうになるでしょう。(笑)
モノクロ転換やフラッシュバックの多用。時系列を縦に組み替えたパズルみたいな構成で、頭の体操にはうってつけなんですが、本編のリバース再生の特典映像で鑑賞すると、あまりに陳腐な復讐劇だった。あれ以上本編内容を難しくすると、ますます混乱を来たすかもしれない。(笑) 事件がきっかけで記憶障害に陥ったのは哀れむべき設定だが、ガイ・ピアーズ演じる“全身メモ書き男”の復讐に、どれだけ感情移入が出来るかどうかで、作品の評価は大きく変わるのではないだろうか?

クリストファー・ノーラン監督作品「バットマン・ビギンズ」、「ダーク・ナイト」をBSプレミアムで観たけれど、(個人的には)前評判やCMスポットが大風呂敷だった割にあんまりイケてなかったね。(苦笑
posted by まっぴら at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月27日

ブラック・ダリア

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作品の出来不出来はさて置いても、こういう映画にいち早く逢いたかったな...。公開の予定に合わせて劇場に足を運ぶという努力を惜しんだ結果、レンタルSHOPの中古販売という最もジャンキッシュな見方に辿り着きました。最低のカウチポテトだ。(笑) 
ブライアン・デ・パルマ監督の「ブラック・ダリア」。
実際に起きた猟奇殺人事件をモチーフとして、「L.A.コンフィデンシャル」等「暗黒のL.A.シリーズ」で巷を席巻し、“米文壇の狂犬”と呼び声高いジェームズ・エルロイが執筆した同名小説の映画化。

【STORY】
1947年ロサンゼルス。ダウンタウンの空き地で、身体を腰で切断された女性の惨殺死体がみつかった。黒い炎を思わせる漆黒の髪、青白い肌を照らす黒ずくめのドレス。ハリウッド・スターを夢見ながら大都会の暗闇に葬られた女を、人は「ブラック・ダリア」と呼んだ。捜査線上に浮かび上がる一編のポルノ・フィルム。ダリアと瓜二つの大富豪の娘、そして彼女の一族にまつわる黒い秘密。事件の謎は、捜査にあたる若きふたりの刑事の運命をも狂わせていく...

「スカー・フェィス」、「アンタッチャブル」、「ミッション・インポッシブル」と、時折独特のカメラワークを覗かせる以外は、メジャー・スタジオに迎合するようなチャラい内容の作品が多くて、一時のリドリー・スコット同様、“プロデューサーに潰された映像作家”というイメージがついて回った鬼才監督なのだけど、今回手腕は衰えていないのが嬉しかった。特殊な画角やスロー、ワイプなどデ・パルマ・カットとまで呼ばれる映像技術の確かさ、作品全体を覆う怪しい空気は、健在...ではなく、むしろ更なる新境地を覗かせてくれたようで、大変満足致しました。

ただ物語は人物相関が複雑に錯綜し過ぎで、難し過ぎるねぇ。カンヌで評判が悪かったのも頷ける。ブラック・ダリア事件に絡んでというよりは、対極する2人の刑事と1人の女の、他人には言われぬまか不可思議な床事情を見せたかったのかねぇ?物語のキー・ウーマン(?)となるヒラリー・スワンクは、淫猥にそぐわぬ安っぽい魅力だし。ジョシュ・ハートネット、アーロン・エッカート、スカーレット・ヨハンソンといった昨今の若い役者には、この世界観に通じるだけの身の丈に合った役柄を求めるは無理なんじゃなかろうか?
また物語ラストの“決別の銃口”は、セックスと暴力におけるサディズムが常に根底に根ざしたミッキー・スピレインのハードボイルド小説「探偵マイク・ハマー 裁くのは俺だ」のオマージュだ。エルロイの原作でも暴力賛歌として描かれたのだろうか?

もっか丹念に見返しては、殺しの美学、その映像美に酔い浸る楽しみだけが残されている。作品の出来不出来は兎も角も、実はこの映画の「コレクターズ・エディション 2枚組」が欲しい。特典ディスク収録の「ブライアン・デ・パルマ監督が描く現実と虚構の世界」、「実際の"ブラック・ダリア事件"」、「事件ファイル」が観たいから。(笑)
posted by まっぴら at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月26日

ハート・ロッカー

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当初ガイ・ピアーズ主演の映画「メメント」をレンタルしようかと思い、ついこちらを借りてしまったのだけど、こちらにも偶然出演されておりました。2008年のヴェネツィア国際映画祭、トロント国際映画祭で上映。第82回アカデミー賞9部門ノミネート・6部門受賞と俄然評判がいいので面白くない。だが喰わず嫌いを極力払拭すべく観ているので。

キャサリン・ビグロー監督作品「ハート・ロッカー」。
イラク駐留米軍・危険物処理班の物語。

過去、一触即発の恐怖を見せ付けられたのが、イブ・モンタン主演の「恐怖の報酬」。最もあの映画のヒットは、空襲の恐怖が冷め遣らぬ戦後すぐの話で、人々の記憶に爆弾の恐怖が根付いていたから。また爆弾処理の映画作品ですと、リチャード・ハリス主演の「ジャガー・ノート」などがとりわけ印象深かった。豪華客船に取り付けられた爆発物に乗客は逃げ場無しといった状況。

解体要員が爆弾に一歩近づく毎に周囲の酸素が希薄になっていくような緊張感は良く描かれている。フランシス・F・コッポラの様に“空気まで描ける”映画監督は今日稀少なのだけど、対イラクといった現実問題を扱う上でリアル指向を追求したせいか、フィクションにもセミ・ドキュメンタリー・タッチにもどちらにもなり切れておらず、そのボーダー・ラインが非常に曖昧。混沌を描く社会派作品としては体よく纏まっていると思うけど、軸足が定まらない感覚が不満として残るだろうか?軍隊組織内において羽目を外しがちな主役も、感情移入がしづらいし...。

また物語にまるで用意されたかのように劇的な爆発シーンばかりが多く見受けれる。“爆発が予想できない”演出を用意した方が、より一層の爆弾処理の恐怖の感覚は得られるはずで、ワン・ミッションへ到達→完了という累積で話を組み上げていく形式なら、“緊張と弛緩”の配置に関しては、もう少し工夫があっても良かったのではなかろうか?この点、休暇までの時間の消化(経過)を前面に押し出した割には、用意された131分の上映時間枠内での展開があまりにも平坦で、お芝居劇としての盛り上がりには欠ける印象を受ける。社会派だとかリアルだとか混沌を言い訳に、不消化を覆い隠す言葉にしてはいけない。そういった意味では確信犯的な罪作りな作品であるね。そういえばブラスト・スーツ、ヘルメット越しの風景など、ともすれば窒息感を表現できそうなカメラワークなどあって然るべきなのに全然無かったし...。

ただ舞台が敵味方が混然としてはっきりしない戦場ですので、敵弾の恐怖と爆弾の恐怖のその両方を時間枠で再現せよ!というのは少々酷な話かも知れないね。あっ!爆弾とは直接関係なかったが、哨戒中ゲリラと遭遇。バレット対戦車ライフルを使用した狙撃シーンなど妙に面白みを感じたね。あの大口径ライフルは血糊で給弾不良を起こすほど精度が高い物なのか?(笑)

監督は女性がゆえ(蔑視や特別視はしませんが)肌理の細やかな丹念な撮り方をし、男性映画からすれば見落としがちなどうでも良さ気な描写を啄ばみ、繋ぎ合わせる手腕、また公衆のイラク人が全て敵に見える生理的に根ざした恐怖や、人間爆弾など痛覚に訴えそうなキショい描写を用意する手並みは鮮やかなのだけど、爆弾部品の収拾癖やら休暇復員後の家族の話などメロウな部分を妙に織り交ぜたがゆえ、(キャラの厚みこそ増したといえ)それまでの映画のテンポを大きく掻き乱しているような印象を受けました。
要は爆弾解体にも似た細心さを必要とすべきところを、全体的に女性特有の変な気負いや度胸を持って、完了まで推し進めてしまった作風にもっか幻滅しています。

元夫のキャメロン監督の「アバター」と、周囲がアカデミーの現場で夫婦対決の話題性ばかり追求したがゆえ、無理無理同じ土俵に上げられてしまったような印象を受けるんだ。実際、作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、etc...を受けるに似合っただけの力量がこの社会派作品にあったのか?と思うと、妙な歯切れの悪さばかりが心に残ってしまい、正直首を傾げてしまうなあ...。
もっとも家族や隣人を出征させているアメリカ人には、イラク問題は(対岸の火事の我々よりは)深く切実なんでしょうけど...。

結論いい映画かもしれませんが、ボクとは反りがあわないようで

個人的には同監督作品ですと、「K-19」の味濃いベタさが好きですかね。そういえば現代の「The Hurt Locker」って米軍のスラングで「苦痛の極限地帯」とか「バーリーバッグ(屍体袋)」を意味するそうですがこの、元妻の用意した仕掛け地雷にキャメロン監督はある意味さぞ辛かっただろうなあ....。(笑)

posted by まっぴら at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月25日

ミラーズ・クロッシング

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インテリ系の悪役以外はあまり知名度の無いガブリエル・バーンが主演という事もあり、興行成績は今ひとつだったみたいです。当時は喰わず嫌いもあったので、あまり関心が無かったのだけど、コーエン兄弟の代表作という事で今更ながら観てみる気になりました。
ミラーズ・クロッシング」。禁酒法時代のアメリカ東部を舞台とし、マフィア同士の抗争を描いたハードボイルド映画。

【STORY】
アイルランド系マフィアのボスであるレオ(アルバート・フィニー)と、その右腕のトム・レーガン(ガブリエル・バーン)は主従関係を越えた友情で結ばれていた。

ある日、レオはイタリア系マフィアのボスであるジョニー・キャスパ(ジョン・ポリト)ーから、八百長を邪魔するチンピラのバーニー(ジョン・タトゥーロ)を消してほしいと持ちかけられる。だがレオはバーニーの姉である高級娼婦ヴァーナ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)を愛するあまりトムの忠告にも耳を貸さず、キャスパーの頼みをはねつける。
一方、バクチで負けが込んだトムはその日、ヴァーナと一夜を共にする。翌朝、ヴァーナを尾行していたレオの用心棒ラグが死体となって発見される。この事件によって抗争は激化し、レオが報復としてキャスパーのアジトに襲撃をかければ、次はレオ自身がキャスパー一味からの奇襲を受けるという有様であった。

厳戒態勢の中、トムはヴァーナと関係を持ったことをレオに告白したため、激怒したレオによって追放されてしまう。キャスパーの側についたトムは、バーニーを捕らえて〈ミラーの十字路〉で処刑するよう命じられる。

組織の処刑現場であるミラーの十字路のシーンの撮影には、穏やかな色調に優れた富士フイルムのフィルムが使用されたそうで、撮影監督:バリー・ソネンフェルドの意向する曇天の天候という事もあり、(またカーター・バーウェルの音楽とも相俟って)映像から詩情すら感じられる。銃撃戦のバイオレンスの度合いはただ派手に撃ち合うといったものでなく、撃つ側・撃たれる側にある種の滑稽味をインサートするため、デス・バレェも返って迫真かつ凄惨なリアルさが伴う。

劇中の裏切りに次ぐ裏切りという“裏切りの連鎖”は、脚本を担当するコーエン兄弟の面目躍如と思うんですが、如何せん室内劇(低予算?)にそのほとんどが割かれているため心理的圧迫感が伴い、キャラクターに感情移入できるか否かで、好き嫌いがはっきり別れる作品だと思います。とりわけガブリエル・バーン演じる主役のクールさも仇になっているのではなかろうか?劇中口数が少ない分、ウイスキーばかり煽っていましたが。確かに格好はいいのだけど...。(笑)

また合い違える2大勢力の間を行きつ戻りつする設定は、例えは悪いが三船の「用心棒」、あるいは「ラストマン・スタンディング」をコーエン兄弟が撮ったらこんな感じ?この監督作品に共通して感じる物語のスパイシーさは「ノーカントリー」の時もそうだったが、関係描写に隙が無いことに加え、盛んに定石破りをするため、多少難解さが伴い、必ずしもユーザー・フレンドリーな作風ではない。この作品の描くノワールに美学を求めるならば、劇場よりDVDで繰り返し観た方がお勧めかもしれない。個性的な(面相の)役者を多く用いる割には、一度観たぐらいでは名前が憶えきれないんです。(笑)

この映画でスクリーン・デヴューを果たした女優:マーシャ・ゲイ・ハーデンの研ぎ澄まされた面立ちは、若い頃のローレン・バコールみたいだ。悪女ってパターン化されているのだろうか?

posted by まっぴら at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ムビ・ログ(映画log) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする