2013年05月19日

白の衝撃

S・キング大絶賛!扶桑社ミステリー文庫、ジャック・ケッチャムの猟奇的ドS小説:2冊を読んでいる以外は特別には何も・・・

『隣の家の少女』はダークサイド版:スタンド・バイ・ミー。

『オフシーズン』はパッと見、映画『悪魔の追跡』のアントロポファジー版みたいな感じかなと思ったら、あからさまに『ナイト・オブ・ザ・リヴィングデッド』をリスペクトした作品だった。

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2011年08月17日

8月17日、ソ連軍上陸す...

この盆休みは出社しては職場で涼を取っていたという情けない身辺でしたので、日にちの感覚がだいぶぼやけております。今日は休みなんですが、市役所に行く用件があって午前中は忙殺。昼飯を買いがてら、書店で何気に購入した文庫一冊でしたが、奇しくも66年前の今日の出来事を書いた一冊だったんですね。

大野芳:著「8月17日、ソ連軍上陸す―最果ての要衝・占守島攻防記 (新潮文庫)

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昭和20年8月14日・ポツダム宣言受諾、翌15年正午・終戦の詔勅―。だが、戦争は終ってはいなかった。17日深夜、最北の日本領であった千島列島の占守島へ、対岸のカムチャツカ半島から、突如としてソ連軍の大部隊が来襲。日本軍の三日間にわたる死闘が始まった。ソ連の北海道占領は、いかにして阻まれたのか。知られざる戦争の全貌を浮き彫りにした畢生の歴史ノンフィクション。

日ソ中立条約を一方的に破棄したソ連軍は、ソ満国境、外蒙古から内蒙古を経て、張家口(北京北西150km)に向け侵攻。またカムチャツカより千島列島(占守島、幌筵島、温禰古丹島、捨子古丹島、松輪島、得撫島、択捉島、色丹島、国後島)にも、ソ連軍による上陸侵攻作戦が開始されます。
この国境の版図を塗り替える火事場泥棒の様な奇襲上陸に、武装解除の準備をしていた日本軍守備隊と壮烈な戦闘が繰り広げられまし。正規戦であった沖縄戦とは装いが違い、この戦闘行動は史実としてもまず語れていません。これは降伏後の命令「全ての積極的戦闘行動の停止。ただし已むを得ない自衛行動は妨げない。」この自衛行動(自衛戦闘)という、極めてイレギュラーなケースに該当したわけです。

取り分け守備隊の要となった池田連隊長率いる士魂戦車隊=陸軍第一一戦車連隊...僅か二十数輌は、連隊長自らが主務者として編纂した「キ戦車隊教練規定」の実演を見るような見事な戦闘群戦法で、8.800名にからなるソヴィエト上陸軍を水際で圧迫、日本機甲部隊二十余年の歴史と共に壊滅。有終の美を飾ってしまった。日本機甲部隊は教育や練成の水準こそ世界屈指でありましたが、砲・装甲・発動機といったハードウェアの分野で世界水準からたえず立ち遅れた日本製戦車で...というのが、妙に心に留まります。しかし祖国の弥栄(いやさか)を祈念し自ら肉弾と化して、無敵ロシアをいっとき辺境の北端で蹂躙した...その快哉を叫ぶ事はこんにち出来ない。

ソヴィエトとの停戦協定は20日に成立しましたが、日本軍600名の死傷者に対し、ソ連軍の死傷者は優に3.000名を越えており、壊滅寸前の状態であったとされています。
露:上陸軍指揮官のグニェチェコ少将は「日本軍が総攻撃してこなかった事に感謝する。
またソ連政府の機関紙「イズベスチャ」は「占守島の戦いは満州・朝鮮における戦闘よりはるかに損害は甚大だった。8月19日(戦闘停止予定日)はソ連人民の悲しみの日である」と論評したそうです。

この戦い以降、ソヴィエトは武力占領に慎重になり、究極的・潜在的な戦略目標であった北海道占領の企図を果たして粉砕し得たのかどうか?これは当時の露:指導者であったスターリン研究がもう少し進めば、当時の彼の精神状態を含む戦争指導、その実態が解明出来るのかもしれません。

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この時の戦争遺跡...特に戦車の残骸は破損の程度の如何によって、現地の整備開発事業絡み(海産資源の発信基地でもある)と観光資源目的として、一部ロシア本国に運ばれて修復展示されているようで、侵略という名の浸食作用に加え、未だ他国の褌、その断片を繋ぎ合わせて相撲をとる態度は腹立たしい限り。

ご遺族の中からは「“お墓”ですからどうかそのままにして、現地でそっとしておいて欲しい」という願いもあるようです。また安易にどこかに修復展示!というのも、責任等その永代管理を考えるとあまりに幼さが残る意見かと思う。

この場合、野次馬根性剥き出しのマニア性やら「出来れば畳の上で死にたい」という、この国特有の御主旨の一切をかなぐり捨てて、失われつつある戦争遺跡=周辺国に災禍を齎した負の遺産といった文物に対して “この先、我等はコスモポリタンになるべき姿で接するのか?ならざるを貫くべきなのか?” 己を育んだ島国固有の民族性と、数世に渡るその将来的展望をクールに見つめ直し、護国の鬼となられた方々が祈念した弥栄に、何らかの解答を得る方が懸命だと考える。

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2011年02月27日

仲春ブンガク大神楽

今期は深夜アニメで「GOSICK -ゴシック-」なんて一所懸命観ているわけですが、苦手な中世世界観や前近代の装飾様式も多少免疫がついたかな?まあ日々雲霞の如く生産され、書店の棚を席巻するラノベ(ライトノベル)はまったく読みませんが...。
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さて、訳者があとがきで記すところの、マッシュアップ小説というのに初めて触れました。既存の物に新しい要素を添加して別の物にしてしまうという、音楽やコンピュータ業界で盛んに言われたワードだそうなんだけど。今月は二見文庫の「高慢と偏見とゾンビ」を読んでいます。
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原典は19世紀英国文学を代表するジェイン・オースティンの傑作
「高慢と偏見-Pride and Prejudic-」なのですが、文体などほぼ同じ形を忠実になぞったまま、セス・グレアム・スミスの手によりアンデッドとバトルを繰り広げる血飛沫ホラー・アクション小説と化しています。
...ってか、原典は18世紀末英国南部ロング・ボーンを舞台とし、ベネット家5人姉妹の婚活ロマンス・ストーリーだったわけで...。(汗) そこにどう超不自然なアンデッドが侵入してくるわけですか?
実はその頃、謎の疫病が英国全土に蔓延し、死者達は次々と甦り人々を襲っていた。彼女等は立派な戦士となるべく小林拳の鍛錬に明け暮れしているわけで。死の五芒星、鶴の構え、ニンジャ、纏足など劇中ポンポン飛び出し、まるでキルビル。(笑) そんな時ご近所に資産家のビングリーが引っ越してくるわ、その友人のダーシーは訪ねてくるわ、次女エリザベスはダーシーの高慢な態度に憤慨し始めます...とにわかに原典に回帰する。対ナポレオン戦のため町に駐留しているはずの在郷駐屯軍は、いつしかゾンビ鎮圧軍に差し替えられているし。(笑)文体をほぼ原典に忠実に再現してあるそうだから、オリジナルの「高慢と偏見」を知ってる方は大爆笑必至だそうですね。線画による挿絵のエグさも妙に笑えます。

全米で推定100万部を売り上げたこの小説。早くも映画化の話が決定したそうで、驚く事に女優のナタリー・ポートマンが映画化権を買い、どうやら製作と主演をするらしい。またこの方は「スターウォーズ」でアミダラ女王を演じた事で有名ですが、同「エピソード.1/ファントム・メナス」で女王の替え玉:侍女サーべを演じたキーラ・ナイトレイは、2005年英映画「プライドと偏見」(邦題)で主役のエリザベス・ベネットを演じていますから、その連鎖はなんとなくクスクス笑えます。(含笑) 本作には関係ありませんが綺麗な女優さんですねぇ〜。

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 さてここでアカデミー賞授賞式前夜の2月26日、2010年の最低だった映画と俳優を表彰するラジー賞こと第31回ゴールデンラズベリー賞の結果が飛び込んできました@映画.com。
最多9部門でノミネートされていたM・ナイト・シャマラン監督の「エアベンダー」が、作品賞、監督賞、脚本賞、助演男優賞(ジャクソン・ラスボーン)、インチキ3D映画賞の5冠(!)を戴冠して圧勝。ラスボーンは、同じく最多9部門でノミネートされていた「エクリプス トワイライト・サーガ」との組み合わせでの受賞となった模様。 また、「セックス・アンド・ザ・シティ2」が、最低主演女優賞、スクリーンカップル/アンサンブル賞、最低続編賞の3部門受賞だそうです。困った事に全部知んない。(笑)

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2011年01月14日

サマータイム・ブルース

昨夜は職場の新年会で、有休で防御線を張った本日は二日酔いで死にました。ウコンの力を借りた絶望的な敗戦処理、その戦後復興は目覚ましく、夕方には(こらこらっ!)一応の社会復帰を果たしたかと思われます。

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ドラッグストアに買い物がてら立ち寄った書店で、サラ・パレツキーの「サマータイム・ブルース」を見つけてしまった。初版が1985年ですから、もう四半世紀経つのだけど、今回は[新版]だったので、矢も盾もたまらず購入。強い女性。女性が決断し、それを男性が実行する...すなわち「全ての女性がシガ二ー・ウィーバー」と言う悪魔的風潮(笑)だった当時、女性探偵小説の走りとなった記念碑的作品。
2作目である「レイクサイド・ストーリー」は、キャスリン・ターナー主演で映画化されましたのは忘却の彼方。「私がウォシャウスキー」。

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今夜から寝床の供になります。どれ、愛でてやる。近う参れ。

あと気になってるノベライズは、マイケル・バー=ゾウハーの 「ベルリン・コンスピラシー」

http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/31212.html

.....ぐらいですかねぇ。まあこれはまだ先の楽しみに置いておいて...だ。うん!


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2010年11月07日

零戦読書に耽りながら

昨今放映される深夜アニメ、その原作漫画には取り分けご執心の近況でありましたが、急に活字に飢え出した。もっともどのようなジャンルから手を伸ばしていいものだか?茫々とし漠然としておるものだから、取りあえず何か模型制作の参考になるだろうか?と久しぶりに戦記作品に手を付けて、夜となく昼となく読み耽り出しました。

光人社NF文庫の「あヽ青春零戦隊」 小高登貫:著。

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南方ラバウルから本土上空まで死闘を重ねて生還を果たした強運な搭乗員の戦記ですが、他の零戦戦記と趣が違うと感じたのが、空母翔鶴を経て、セレベス島ケンダリー基地に配属されたのが昭和十八年初頭の...つまるは戦争も中盤戦に差し掛かり、先行きが暗い時期。撃墜王戦記のその大概は日華事変・太平洋戦争初期からのエース談話がほとんど。宛がわれた機体が搭乗員の間では評判が悪い零戦三二型。(三二型は好きな機体で、以前タミヤの1/48を工作したんだけど、引越しの際捨てちゃいましたなあ。)

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翼端を50cmほど切り詰めてしまったばっかりに翼端失速が顕著。機体改修に伴う燃料タンク容積の削減、換装された栄二一型の燃費の悪さから実戦配備時期が長大な距離を往復する航空作戦が中心となったガダルカナル攻防戦と重なってしまい、航続距離の減少が問題となった零戦を、不評も何処吹く風とばかり乗りこなしている事。この方、後に愛媛松山343空に転出していることから、根っからの邀撃屋:インターセプターからの視点なのでしょう。筆者(故人)の苛烈すぎた青春や危険な体験もさる事ながら、零戦に則した生活・その周辺の記述の中に、意外と模型工作、塗装のリアリティのヒントが隠されていると思ったので、それ考えれば充分お釣りが来る優書でした。

さて、この良書の中に「薄緑色の零戦」といった物珍しい記述があり、想像するとドキドキする。基本の濃緑色が強い紫外線に曝され褪色したのか?あるいは現地で薄く塗り伸ばした物が、空気抵抗を軽減する為研磨され、下地の色を隠蔽する力が薄れ、そういう色具合になったのか?はっきりしないところに妄想の羽根がひどく広がりやすい。模型的入門編であり、割と見慣れた零戦も、最近この手の現地での応急措置的、中期決算的塗装が好きで仕方が無い。手間がかかるし、あまり見かけないことから。タミヤ1/48二二型(三二型の後継機)は、そんな事を意識しながらクリアーがけして、研ぎまで進みました。艶自体、疑問視する声はあろうとは思うけれども、模型的見栄えとして...まあ勘弁。(苦笑

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2010年10月21日

文庫「のぼうの城」下巻〜英傑と愚鈍

今週に入り、いささか体調を崩した。元凶は慢性化しつつある腰痛だったのだけど、痛み止めとして処方された薬の効果が強すぎる。元より服用後、「口の中や喉が乾く」。このためか喉が痛くなり、もっか洟声。咳もしきり。治療中の歯の方もシクシク泣き出し、さながら中古の欧州車のようにさみだれ式に体調が壊れていく始末。急激に冷えだした天候もあったし、このところ身体も疲れていたんだろうな...。

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ただ感動は一頻り。先に購読した「のぼうの城」の下巻を購入し、
無我夢中で読み終えたところ。
映画化されるゆえネタ晴らしも出来ないが、太閤の威光を借り、その潔癖と美意識がため、相俟みえる敵でさえ自らが描く理想の型枠に押し付て止まない石田治部少輔三成と、三成の朋友にして 忍城攻略戦の軍監であり実働部隊の大谷刑部吉継。成田長親(のぼう様)とその家臣団、どこか坂東武者の気風の血を引く領民との対比が実に面白く描かれている。

かの地を埋め尽くす上方勢二万三千騎に対し、周囲を坂東名物:沼沢、深田に護られる以外は土塁を積み上げただけの田舎城。サンタアナ将軍に攻められたアラモの砦の様に、城方五百などどう考えても勝ち目の無い戦。天下人の威光を借り居丈高な降伏勧告を退け、「戦いまする」と返答したのぼう様。馬にも乗れず、弓刀槍も不得手、野良仕事が趣味という変な領主でありますが、満足に田植えすら出来ず、毎度お百姓に煙たがられている図体ばかりの愚鈍な男なのだ。愚者なるがゆえ、また弱き主君であるがゆえ「俺たちが助けてやらなければ...」と立ち上がる領民たちの義侠心。将器の器という言葉がありますが、強烈な個性とか権力とかリーダー・シップだけじゃない組織運営の奇妙さが感じ取られます。

また秀吉かつての中国征伐に参軍し、備中高松城水攻めという驚天動地の情景に強烈な憧れを感じてしまい「立身出世の暁にはこういう戦がしてみたい」といきり立つ石田三成。元は経理畑で土木築城の才はない方なんだけどね。(笑)主君:秀吉の持つ天才的戦略性に憧れるがゆえに、どこか憎みきれない悪役に徹しております。終生秀吉を模倣し続けた三成がまみえたこの敵の将器は、実は秀吉に比肩するほど飛び抜けて大きかったというところに、敗れても尚の爽快さ、快活とした戦国人の魅力があるんだと思います。

歴史的にも名を残す有名な武将なんですが、無名ののぼう様と比較した場合、どうなんだろう?その勇猛さや悲劇性から後生に名を残す事と、歴史的に埋没していく事と、どちらが人の生き方として幸せな事なんだろうか?

映画化としても非常に頷ける素材なんですが、最近邦画でよく見受けられるCG偏重の姿勢で撮られますと、いささか抵抗を感じますか。リメイク作品であった「日本沈没」や「隠し砦の三悪人」もこれら特殊効果ばかりで、ドラマが薄っぺら過ぎて、あんまり面白く感じなかったもので。(笑) 愚鈍の名将:のぼう様やその周辺で生き生きと描かれた人々の魅力を損なう事無く、余す事無く映像化して頂ければ大変嬉しく感じます。

映画「のぼうの城」オフィシャル・サイト



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2010年10月17日

祝!文庫化「のぼうの城」

先年の引越しで辟易したので、話題作であろうと小説のハード・カバーや版の大きい物は敢えてスルーし、文庫化してから購入する事にしている。購入する金額も高価だし、まず捨てられないから。(笑) そんなんで文庫化するまで待っている小説もあります。この小説はそんな感じもありました。
監督:犬童一心×樋口真嗣、主演:野村萬斎での待望の映画化、全国東宝系拡大ロードショーされるそうで、それに合わせての発売だったのでしょうかね?

のぼうの城」 和田 竜:著 小学館文庫. 
その文庫本をようやく購入する事が出来ました。

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何故“ようやく”と書いたかいうと、驚いた事にそれほど下馬評が高かったのか?地元の書店に並んだと同時に飛ぶように掃けてしまい、ボクが購入した時は最後の一冊だったのです。では何故人気があるのか?この小説の主役:成田長親はご当地埼玉の武将であるからなのです。

う〜ん。埼玉は...武田・上杉・後北条の関東三国志が繰り広げられた舞台。といっても上杉憲政×後北条氏の河越夜戦ぐらいしか知らないのだけど。これより後の時代、徳川家に仕えた武蔵国小室の伊奈忠次が辛うじて記憶にあるだけで、茫洋としたこの平野部は名のある武将を輩出しなかった。山内上杉が家臣であったと謂われる成田氏も、そのようなマイナーな小名、土地の土豪であったのだろう。加えて成田長親は、小説のタイトルにもあるように領民から「でくのぼう」を略して「のぼう様」と呼ばれ、親しまれる...というより侮られる人物。

このようなキャラクターが何ゆえ映画の主役にまで抜きん出たかというのは、天下統一目前の豊臣秀吉は、関東最大の勢力北条氏の小田原城を落城させんとしていた最中、その枝葉の城を片っ端から攻略していく。のぼう様は四方低湿地で囲まれた浮き城:忍(おし)城を頼りとして篭城。石田(治部少輔)三成率いる二万三千騎の軍勢に、城方五百、農民らを含めてたった二千強の雑兵で立ち向かい、これをなんと!撃退してしまったという痛快なお話だから。

以前、散歩がてら訪れたさきたまの丸墓山古墳。ここは一望の下に城下が見渡せる事から、忍城攻略戦の最中、治部少輔三成が本陣を構えた事で有名。

面白そうなので映画も観に行こうと計画中なのです。邦画はこれと実写版「宇宙戦艦ヤマト」が楽しみ。
あっ!文庫本の襷に「マイ・ベスト本!」と爆笑問題の太田光さんが祝辞を寄せてますが、成田長親の母親は扇谷(おおぎがやつ)上杉氏の旧臣、太田道灌の曾孫に当たる太田資顕(すけあき)の娘であり、同県ふじみ野(旧上福岡)市出身である太田さんは、まさか太田氏の直系の子孫なのではあるまいか!?とついつい要らぬ詮索をしてしまうのでありますが、ホントのところはどうなのでありましょうや???

■ 本日の「龍馬伝」の「いろは丸事件」、すっかり喜ばせて戴きました。紀州藩勘定奉行を演じた中尾彬さんは、かつての同局大河「竜馬がゆく」では、実は岩崎弥太郎を演じていたんですね。(笑)次回「船中八策」と物語もそろそろ佳境でございます。この後は「坂の上の雲 第二部」ですか。

さて、お気づきの方も居られるかと思いますが、本日は模型を弄らず、自身のホームページを弄っておりました。久しぶりも久しぶり。ビルダーやリソースなんてもう忘れちゃったよう。それだけブログっていうのはお気軽で簡単なのでございますですな。

本日はTOPページ(インデックス)のレイアウト改編作業。

http://www1.odn.ne.jp/mappiragomen/

次の休みにまた続きをやろうかと思います。先の小説を読んでいる以外は特別変わった話も無い事から、取り合えずこんな感じか...。


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2010年10月03日

読書の秋、到来

昨晩放映を終了した特撮番組「MM9(モンスター・マグニチュード9)」の原作文庫本を買いに、本屋に出かけたワタクシメでありましたが、つい目先の笑いに負けて 、こちらの文庫本を購入してしまいました。

アルファポリス文庫 さくら剛:著
インドなんて二度と行くか!ボケ!! ...でもまた行きたいかも」

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かつて椎名誠氏の著作に「インドでわしも考えた」という作品があり、アカンベエした神の絵だか銅像だかを前にして「インドは手ごわい国だ」と感慨を洩らすシーンがありましたが、こちらは人間の業というか生業、生活と商魂、その国家間の思考的相違、カルチャー・ショックといったものに、もう少し突っ込んだまったく新しいタイプのルポルタージュですね。
 
お笑い芸人への夢破れ無職に転落した作者さんは、勢いでインドに向け旅立ちますが、かの地は日本の常識がまるで通用しない驚天動地・摩訶不思議な世界でありました。体中の水分が無くなるほどの激しい下痢と腹痛。目的地には決して辿り着かずお土産物屋ばかりハシゴしてはガイド料ばかり請求する詐欺師紛いのリクシャ(タクシー)。高速道路を(!)屋根まで乗客を満載して走る乗り合いバス。首都目抜き通りを闊歩する野良犬ならぬノラ牛!
牛、牛、牛、時々野良山羊。そして人間がぶっちがいでほぼ同均等の生活水準で暮らしている実態。この牛の多さでは将来インドの次期首相が牛になってもおかしくないと危ぶむ作者。しかも仮にそうなったところでその後の国勢にはさほど変化がなさそうな...!
抱腹絶倒間違い無しの一冊ですが、何せこの方の悲惨な体験記なものですから、笑っちゃっていいんだろうかね?

だいたい本の前書きに「インド人全員殺す!」 、「こんな最低の国、二度と来るかボケ!!」と謳った旅行雑記がありますか?
そう恨みを綴りつつも、3年後ニートに昇格(?)した作者さんは(よせばいいのに)渡印再訪を果たしてしまいます。底辺にはこの国に対しての潜在的愛があるのでないかと思いますが、その文庫本あとがきは...?

この秋、自分探しの旅の憧れに一石を投じそうな魅惑の一冊かもしれませんよ。....ちなみにボクは嫌だな。出不精もさる事ながら、対パ保有核もアル●イダに拘束されるのも嫌だし、アームチェア・トラベラーが無難かと...。(笑)


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2010年08月23日

I Soldati Italiani

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同、伊太利堂さんより発売されました、

I Soldati Italiani 
 delle Forze Armate e della MVSN nel 1933-1945


 WWUイタリア軍軍装写真集
〈イタリア陸軍/MVSN編〉-Vol.1

現在TAMIYA NEWSで「第二次大戦イタリア軍装備解説」を連載なされているイタリア軍研究家:吉川和篤氏監修による資料書籍。今回も豊富な写真と優れた解説でそちら方面のマニアから高い評価と絶賛の嵐を受けております。

こちらも中野ブロードウェーにある「まんだらけ」
ディープ館等で委託販売されるとの事。
http://www.mandarake.co.jp/shop/
使用上の注意をよく読み、用法・用量を守って正しくお使い下さい。(笑)

こちらはボクの方には在庫はございませんので、直接SHOPの方にお問い合わせ下さい。

以上、真平堂軍事薬剤部(寝腐れ薬局)からの宣伝...宣伝活動。
ないしは世論喚起活動のプロパガンダでございました。義理は果せたでしょうか?<(_ _)>
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2010年02月19日

絹更月御本暦一杯綺言

きぬさらづきごほんごよみいっぱいきげん...
このところ本屋ばかりに貢ぎっぱなし。とほほ...。

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ええっと。新潮文庫の「おとなの時間フェア」。中山義秀著の歴史剣豪小説「新剣豪伝」(新潮文庫)を読み始めました。戦国時代から幕末期まで並み居る剣鬼が総登場。伊藤一刀斎、根岸菟角。小野忠明、富田勢源、山岡鉄舟...etcetc。第一話となる「師岡一羽の三人の弟子」。ここでの遺恨話が後述(後年)の短編に微妙に絡んでいくのが面白い。流派は人の手を経て処と時代を変え、脈々と継承されていくものなのだ。半世紀近く前に鬼籍に入られた筆者ではありますが、現代文壇で語り継がれる剣豪小説家に比肩する筆致力とお見受け致し候。白刃が行き交う刹那の中に花開いた漢の誉れ。
兵法は昔は「のぼり兵法 くだり謡曲」と云われたそうだが、各登場人物が何故小田原〜三島間に多く出没するのか?後北条氏の滅亡、家康公の江都入府以降は東海道小田原宿は急速に寂れたはず。残念ながらそれを推察する眼力はボクにはまだ備わっていない。

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ディエゴスティーニも11弾目ですか。「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」が発売されました。映画スチール等でメーサー殺獣光線車などは知っていましたが、動いている映像を観たのは初めてでした。猿人ではなくフランケンシュタインの細胞から分裂して巨大化した人造人間なのですね。凄い。人をボリボリ食っちゃうんだね。あの当時(昭和41年)はセンセーショナルな映像であった事でしょう。陸自に追われて山奥から人里に逃げ果せるガイラ。あんな猿のデカイのが裏山からドタドタと駆け下ってきたら、さぞや迷惑だねえ。また自動車なら兎も角も、耕運機に乗って悠長に逃げている避難民の姿がよく分からない。(笑) まあ子供の頃観たら、激しくトラウマになっちゃうかもしれないです。

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本日辺り、TVはバンクーバー・オリンピックでの凱歌と、名優:藤田まこと氏の訃報一色でございます。我が家は母親がようやく回復したことから、先週より先延ばしになっていた誕生日を祝い、夕食は鍋、デザートはケーキを食しました。...と、まあそんな感じの近況だ。
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2009年10月28日

「風林火山」読了

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武田の軍師:山本勘助に関しては以前「山師の勘」という稿を起こしましたが、これはNHK大河がまだ放映されていた頃の話。原作となった井上靖の時代小説はうろ憶えだった事から、もう一度ちゃんと読み直して見たいと思い購入しました。新潮文庫の¥540(税込)は決して高くはない。(笑)

ドラマの人物関係はかなり濃厚に描かれており、番組的キャラクターの肉づけを払拭しながら読む苦労はかなりのものでしたが...というのも原作品には信州真田家などほとんど登場しない。これは制作サイドが原作を膨らまし、あるいは逸脱し、池波のロングセラー「〜太平記」辺りのキャラクター・イメージを強引にドラマの中に混ぜ込んじゃった感が半ば確信犯的に大有りでして。だからドラマ・イメージのフィルター越しに原作小説を読みたくないのです。放映中の「天地人」の真田、特に“幸村の姉”と称せられる方など、確信犯呼ばわり以前にかなり露骨な所業ですね。昨今流行のイケメン俳優で覆い隠して、裏ではクソもミソも一緒な御乱行ぶりには、なまじ歴史小説好きなボクなど、もう眉を顰めております。シナリオはねえ。話の掻き回し方次第だと思います。そこに行き着く過程において、幾冊の本やwikiを読んで“額面通りそのまんま”参考にしたか?ではありません。またそういう行為をオマージュとは呼ばない。(苦笑) 

井上靖の小説は力強い筆致で、その人物像は実に簡明に描かれている事から、非常に読みやすい小説でありました。異相の軍師:勘助が架空の人物ではないか?という史実的疑惑は拭いきれないのだけど、その文学的技巧において鳥瞰的かつ躍動的なダイナミズム。それでいて心情の機敏がこうも細かく描写されていると自然感情移入せざる負えません。特に由布姫→その子:四郎勝頼を跡取りへと押したてながらも、その人選が将来的に結果、武田家に仇となしてしまった歴史の皮肉は、川中島においてこの天才的軍師の首がそっけなくコロリと落ちてしまった事象同様にココロに傷みます。

文章的には描写が少なく脳内ビジュアル的にあまり登場しない上杉謙信は、なかなか姿を現さない映画「JAWS」の巨大鮫の様に、返って恐ろしい強敵感が否応なくプレッシャーとして読者にひしひしと覆い被さってきますが、やはり当時の領分というのは山を越え谷を越えといった途方もない距離感に裏打ちされていますから、この点は妙にリアルさを憶える記述ではありましたけど。

ただ古豪族である諏訪衆の生き残りたる由布姫を信玄の側室へと、何故こうも熱心に推挙したのか?異形者の歪んだ愛情、その心の在り処が今ひとつミステリアスであるのだけど...。


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2009年10月26日

神楽月ぶんがく漂流奇譚

われは思ふ、
末世(まつせ)の邪宗、切支丹 でうすの魔法。
黒船の加比丹(かぴたん)を、紅毛の不可思議国を、
色赤きびいどろを、匂(にほひ)鋭きあんじやべいいる(カーネーション)、
南蛮の桟留縞(さんとめじま)を、はた、阿刺吉(あらき)、珍陀の酒を。

目見青きドミニカびとは陀羅尼(だらに)誦(ず)し夢にも語る、
禁制の宗門神(しゆうもんしん)を、あるはまた、血に染む聖磔(くるす)
芥子粒(けしつぶ)を林檎のごとく見すといふ欺罔(けれん)の器、
波羅葦僧(はらいそ)の空をも覗く伸び縮む奇なる眼鏡を...。(中略)



もう11月が目の前。ひどく肌寒くなりやしたでがんす。今月の新刊で割りとお気に入りだったのがコレ。「江戸時代のロビンソン―七つの漂流譚 岩尾 龍太郎 (著) 」新潮文庫。

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江戸時代:鎖国期の海難事故は大黒屋光太夫、高田屋嘉兵衛、ジョン万次郎など様々な方々の名を歴史に残しましたが、絶望の漂流の果てに、旺盛な生命力で奇跡的に生き延びた船乗りの事例は、調査によると約300はあるそうで。残念ながら運なく海の底に沈んじゃった人や船はその数倍、数十倍あるわけですよ。

筆者は国際文化学部教授をされながら、一方では国内においてダニエル・デフォー作「ロビンソン・クルーソー」の研究をされている方だそうで、奇しくも日本の魯敏遜(ろびんそん)となってしまった人物〜7人を取り上げて、そのサバイバル物語と異文化体験談を纏められておられます。

日本は古来四方を海に囲まれた海洋国家ではありますが、貨幣制度以前の石高至上の扶持米取り。要はおコメですわな。身分制度で農民を土地に縛りつけ、各地で奨励された内陸型農耕は非生産者である武士階級の生活を支えるため、列島近海を幾千幾万の千石船が沿岸沿いに周旋し、地方の生産地帯から一大消費地である都市部に、より多くの米穀をいち早く輸送しなければならなかった。

また鎖国によって外国、その異文化との交流が途絶されるにおいて、造船等テクノロジーの進歩が国内で停滞<凍結し、殊更遠洋・外洋航海に関してはあまりに低水準な航海能力、目視や先人からの伝承といった稚拙な観測技術で洋上に望まざる負えませんでしたから、世界の海洋遭難史においては極めて稀な長期的漂流の事態が発生しがちだったわけです。

ただ膨大な漂流事例があるのも関わらず、当時の封建制国家の枠組みの中で歴史的に封殺されてしまった感が濃厚で、苦難の殉難譚・冒険談の数多くが何ら現代に伝承されていないのが惜しまれます。鎖国時代、宗教・思想統制下の時代において、耶蘇圏からの復員者は、国禁ともされる海外情報流布の危険性も鑑み、国許押込や禁足...所謂終身禁固刑の処罰がそのほとんどだったと聞き及びます...。

しかし事故が日本人を世界に羽ばたかせてしまった。世界を股に掛けながらも「死ぬ時は畳の上で死にたい」とよく日本人は申しますが、果たして将来の日本人はコスモポリタンに成りきる事ができるのでしょうか?
“人間が生きる”という原点に立ち返れば、器用さから言っても、日本人は決して肉食系欧米人には負けていないんだよ。

巻末付録の江戸時代漂流年表が大変興味深い、価値ある一冊。


あるは聞く、化粧(けはひ)の料(しろ)は毒草の花よりしぼり、
腐れたる石の油に画(ゑが)くてふ麻利耶(まりや)の像よ、
はた羅甸(らてん)、波爾杜瓦爾(ほるとがる)らの横つづり青なる仮名は
美くしき、さいへ悲しき歓楽の音にかも満つる。

いざさらば、われらに賜へ、幻惑(げんわく)の伴天連(ばてれん)尊者、
百年(もゝとせ)を刹那に縮め、血の磔(はりき)背にし死すとも
惜しからじ、願ふは極秘(ごくひ)、かの奇しき紅(くれなゐ)の夢、
善主麿(ぜんすまろ)、今日を祈に身も霊(たま)も薫(くゆ)りこがるる。

〜北原白秋:邪宗門秘曲より


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2009年09月27日

治部少ヲ読ム

このところ夜な夜な何かに捕り憑かれたように模型ばかり作っていたので、ブログの運営がそっちのけでございました。どうもすいません。ちゃんと生きてます。<(_ _)>

さて、毎週楽しみに観ているNHK大河ドラマ「天地人」。小栗旬さん演じた石田治部少輔三成が関ヶ原合戦に敗北し、ついに刑死してしました。この武将は何かと線の細そうな経理畑のイメージがあるのですが、ここ最近手にした文庫本、桑田忠親氏の「石田三成」(中公文庫刊)を読むといささか印象が変わるかも。
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過去伝奇小説としては尾崎士郎氏の「篝火」や、司馬先生の「関ヶ原」などが有名ですが、現在語られる三成像が、江戸時代、徳川全盛期の御用学者の手によって故意に歪められ、捏造されているのではないか?という検証本なんですね。豪勇の武将ではないにしろ、忠節の臣であるには違いなし。また領地に群生する葦・よしずの刈り取りに運上銭を課し収益を倍化し、秀吉から無駄な加増を断った話や、唐入り(朝鮮出兵)に出兵する軍船四万艘(!)を無駄なく滞りなく兵站輸送をさせたという卓抜した頭脳といい、現代の会社企業にも稀少であろう類稀無き管理能力の持ち主ではなかったろうか?と様々な文献を引き合いに出し、実在の三成像を推理・検証する内容でございます。

明治40年、東京帝國大学の墓所発掘調査で出土した三成と思しき人骨は、「優男の骨格・頭形は木槌型・反っ歯」という資料が残されています。どことなく強情で青二才の臭みが抜けない方が三成っぽいですけどね。でもね。血液型はきっとA型に違いない。(笑)


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2009年09月12日

長月ブンガク藪蛇蕎麦

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あれっ?多襄丸(TAJOMARU)ってなんだっけ?

小栗旬さんの映画...CMスポットを観て...いや、正確にはフレーズを耳で聴いて、ついに思い出せない。トイレでも風呂場でも職場でも一所懸命思い出そうとするがついに思い出せず、結局NETで調べましたが。ああっ!そうか!芥川龍之介の小説「藪の中」の登場人物であったね。先月から大衆小説から脱却し、純文学に挑戦し(笑)偶然芥川龍之介の「羅生門・鼻」を読んでいたところなのだな。「藪の中」は「今昔物語集」の中の一説話が物語のベースとなっている。一方、黒澤映画の「羅生門」の大筋は、小説「藪の中」がベースになっている...う〜ん...混沌(?)

何故「羅生門」を読もうと思ったのか?小説の一節を借りるならば「読みどころがなくて途方に暮れていた」というのが適当である。その上高校の教科書で一度学んだ事も少なからず、まっぴらさんの Sentimentalisme に影響した。(笑)←いや、小説の一節そのままですが、王朝文学にしては雅には程遠く、頬の腫れ物を気にする下人と死者の髪の毛を梳く老婆が織り成した諍いは、人間の生存とか業とかまざまざと浮き彫りにし「随分と暗い話だなあ〜」というのが当時の感想。やっている事は形こそ変われど、現代においての老人ばかりを狙った引ったくりや俺俺電話詐欺と変わらないわけだし...。

しかしながら短編ながらその芳醇な文体は、この歳になって視覚に良い刺激を与えます。その映像化はたぶんどのような巨匠や映像作家がメガホンを取ったところで、まず小説退廃感を越える事は無理だろうね。この秋口の暮方は芥川文学にどっぷりでありましょうや。

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2009年08月01日

穂張月ブンガク嘘誕計

穂張月ブンガク嘘誕計(ほはりづきぶんがくうそばっかり)。暦の上では8月は葉月なんですが、秋の稲の収獲を目指し穂張月とも言うそうです。さて、先月から読んでいる本は、講談社文庫「私の好きな悪い癖」吉村昭著。
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著者の育った下町・日暮里での暮らしから病気の事、締め切りよりも早すぎて編集者が戸惑う原稿の話。卯年生まれは口がうまいと言われ憤慨するかと思えば浅草の小料理屋で、罪のない嘘をつく。「エッセイは、小説を書く私の素顔である」という歴史小説の第一人者が、日常から掬い上げた事柄をまとめた随筆集。(データベースより抜粋)
歴史小説や記録小説も好きなんですが、エッセイも大変味わいがあります。

近年惜しくも鬼籍に入られましたが、ここ最近小作品を収録した書籍が充実されてきたように思われます。若い頃罹患した肺結核と、長崎(出世作「戦艦武蔵」の造船場所)という土地。この方の深層心理からはやっぱり切っても切れない事象なんでしょうね。
「東京マグニチュード8.0」の話は前述しましたが、ノンフィクション小説「関東大震災」、そのライナー・ノート「『関東大震災』の証言者たち」をたまたま読んでおりました。“忘れた頃にやって来る”ものですから、いい機会かも知れない。

ドゥリットル隊の東京初空襲。空母より発艦して帝都に飛来したB-25爆撃機(飛行ルートによると、どうもドゥリットル中佐搭乗機らしい)を偶然目撃した話など興味深かったです。


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2009年07月20日

「憑神」読了

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最近まで浅田次郎氏の時代劇小説「憑神」を読んでいましたが、抱腹絶倒しながらも、最後はうっとりと涙が滲みます。ここでボケた話書いちゃいますと、映画化されたのは知らなかったなあ....。

時は幕末、処は江戸。貧乏御徒士の次男坊、別所彦四郎は、文武に秀でながら出世の道をしくじり、夜鳴き蕎麦一杯の小遣いもままならない。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった!

立身出世の霊験新たかな「三囲稲荷」の分社と思い、「三巡神社」にお参りしたところ、貧乏神、疫病神、死神と、厄介な神様に三巡と取り憑かれてしまうという...。
とことん運に見放された彦四郎ですが、鳥羽伏見の戦いに敗亡した幕軍、西より官軍が押し寄せ来る時代...正に武士の世が崩壊前夜にその武士たる生き様に見ざめます。世の移り変わりに逆行する事を承知で、死神を享受し、自らの最後を自らで締めくくろうと、大権現様所縁の鎧具足を身に付けて上野戦争に向うラストは感動しました。

当時は軍人であり施政者である武士階級は、神に変わって尊い務めを成す上で、無私無欲にして、己が身命を惜しんではならない。(最近の政治家によく聞かせたい言葉でありますが) 兎角、現代はマネー・オンリーで、他は何のためにヒトは生きているのか?よく分からない時代でありますが、「その命の尊厳」とか「輝きとは?」と、送り手が一番問いかけたかった事なんでしょうね。

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2009年07月10日

七夜月爛読養生鑑

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今月は「七夜月爛読養生鑑(ななよづきらんどくようじょうかがみ)」と名づけました。(笑)

その昔1度読んだのかも知れませんが、司馬先生の「城塞」の文庫本を新たに購入し、読み始めました。まだ上巻なので途中なんですけど、今月はこの作品世界に浸っていると思います。「城塞」...。かつてこの先生の作品の映像化で「梟の城」を「Owl's Castle」と書かれた記憶がありましたが、この「城塞」...語感的感覚は「Fortress」に程近いのかなあ...。

思えば「国盗り物語」に始まり「新史太閤記」、「関ヶ原」と続いたかの歴史作品。その締め括り「大坂ノ陣」を描いておりますが、主役はどうも人ではなく、堅牢不落にして天下の名城と謳われた大阪城。秀吉の軍事目的というより、権力的魔術性を具現化した象徴的建造物。ただ徳川家康へと世の趨勢が傾く中、亡夫が一代で築き上げた絶対的権力の催眠術の暗示に最後まで罹り続けてしまったのが、淀の方と一子秀頼ではなかったのか?
莫大な金銀を抱え込むものの栄華の脱殻となった軍事的建造物は、世の趨勢に最後まで無知で無頓着であった母子が、目の前の感情のみに支配され、立て篭もる最後の砦なのでした。そこには男性的な乾いた計算能力が存在せず、消滅しつつある前政権の権力に半ば宗教的とも思える妄信。なにやら子を守ろうとする子宮感覚とでもいいますか?あるいは女性ゆえ可憐さも見え隠れしますが、これが当時西欧にも類を見ない天下の巨城の中で展開されたというのが、この母子の悲劇だと思うのです。

一方「関ヶ原」から続く、戦国最大の巨人となってしまった徳川家康の変貌...その人間心理を掌握する巧みさ。またそれに靡く者、背く者、豊臣恩顧の諸大名達の喜悲劇とも思える群像劇。若かりし日に読んだ記憶がかなり薄らいでおりましたが、今回の読書はまた違った視点に立って改めて読み耽っております。

主役不在と思われるこの群像作品。(まだ上巻ですので真田入城前ですが)唯一、小幡勘兵衛景憲が主役ならぬ狂言回しとして登場しているのが興味深いですか。この方甲斐武田氏に仕えた後徳川氏に仕えますが、後に出奔して大坂の陣では豊臣氏に与するという風狂人。戦後許されて徳川家家臣として迎えられたので内通者なのは明らかなんですが、甲州流兵学者として、旧武田家軍法を纏めた「甲陽軍鑑」の編纂に立ち会ったと言われている人物。この人物配置の突飛さに心魅かれておる次第。

何故豊臣と関東との戦に滅亡して久しい武田家遺臣が配されたのか?

何故、彼でなければいけなかったのか?

徳川家康という人はその生涯ついに軍師を必要としなかった人物。
甲州流兵学継承者という肩書を持ってしても、小幡勘兵衛はついに必要とされなかった。
一方、対する西軍の真田幸村。この戦い以降「天下の名将」と誉れ高い人物ですが、この当時はまだ無名。大坂の陣に呼応した傭兵...一介の牢人大将に過ぎないわけです。城内の派閥にその才覚が認められないばっかりに、軍師ではなく一野戦軍司令官として小規模な手勢で、圧倒的な東軍と絶望的な戦闘を繰り広げなければならなかった...。

この軍師になり損ねた二武将、その対局した運命と彎曲した情熱を、作品内に盛り込みたかったんでしょうね。


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2009年06月21日

チャイカとイショクと遅々の日と

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今日は夏至にして父の日であります。

子供に小遣いを戴いたのは、この先非常に頼もし気なような、親の立場としてひどく情けない話のような...。(笑) せっかくでしたのでこの際、ありがたく使わせていただく事にしました。

知識の泉、本屋さんが近所にあるのは嬉しいもので、雨の中グダグダと入り浸り、傑作か?駄作か?さておいて「世界の傑作機 ポリカルポフI-16」をしばらく悩んだ後、結局購入してしまいました。I-16と謳ってありますけどI-15(チャイカ=鴎)、I-16(イショク=驢馬)とソヴィエト軍機、ポリカルポフ血統機の相互解説が満載の書籍でした。

ボクは世傑は日本軍機しか購入しないので、名前ぐらいしかよう知らぬのだけど、太っちょの機体の割にはレーサー機と見まごうばかりのひどく面白いマーキングばかりでした。あちこちの掲示板でこの本の話題が出ている事から、えらく儲かったのではなかろうか?この出版社。

空気抵抗を減少させる為に取り入れられた引き込み脚。油圧機構では操縦席でハンドルをクルクル回すチェーン巻き取り方式。この手動式は大変重く疲れるそうですけど、別の書籍では「離陸時の風圧を利用する」といった説もあり、いやはやスラブ主義的合理主義というのは随分大雑把なものだなあと感じたのだけど...。

まあボクの場合「話題に遅れまじ」とする意気込み以前にとっくに置いていかれてる気もするんですけどね...。(笑)
何処ぞで良い模型キットでも発売されているのでしょうか?

それにしてもこの湿度。なんとかならぬものか?洗濯物もパリッと乾かず、コンテンツはやる気が起らず。夏至の日ですから日没まで日は長いはずなんですが、貯め撮り録画の連ドラ「つばさ」と「鋼の錬金術師」をボンヤリ眺めているうちに一日が終わってしまった。
父の日ならぬ遅々の日、もしくは恥々の日でございます。

あっ!そうそう。放置気味だったコンテンツ、NOBELをほんのちょっとだけ更新。間が空きすぎちゃったので自分で張った話の伏線をすっかり忘れちゃった!(笑)


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2009年06月14日

脱出

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昭和20年夏、敗戦へと雪崩れおちる日本の、辺境ともいべき地に生きる人々の生き様を通し、〈昭和〉の転換点を見つめた作品集。突然のソ連参戦で宗谷海峡を封鎖された南樺太の一漁村の村人の、危険な脱出行を描いた話題作。撃沈された沖縄からの学童疎開船・対馬丸に乗船していた一中学生の転変をたどる「他人の城」。東大寺の仏像疎開作業に従事する僧侶と囚人たちをめぐる「焔髪」など5編を収録。
〜「BOOK」データベースより


このところこの方の書籍ばかり読んでいます。吉村昭著「脱出」。
戦争の当事者である兵士ではなく、銃後の人々の悲劇、生活の崩壊...それも辺境の地という、本土と地続きではない。ワン・クッションおいて齎された昭和の痛みが痛烈に描かれています。
舞台となった樺太で、サイパンで、沖縄で...。

巻末に寄せられた解説「焔髪」における、一千年の歴史的文化を継承せんが為、戦火を避け、東大寺の仏像を疎開させる話。“災厄を受け入れざる負えなかった当時の日本人、しかしその災厄を招いた元凶もまた日本人だったのである”という言葉が肺腑を抉ります。祖先が残した文化遺産を戦災による焼失から守るべく疎開させたそもそもの元凶は、その末裔たる日本人の組織的体質だったという矛盾。結果的に破損した金剛力士阿形像の憤怒の表情は、銃後で嘆いた日本人の、国に対する怒りそのものだったんでしょうね。

単に60年前の史実というだけでなく、今我々を取り巻く行政の有り方や生活環境にも置き換えられないでしょうか?必ずしもこういう悲劇は二度とないと言い切れるでしょうか?

ここに登場する、生死の極限を彷徨った少年達は、ボクの子供とほぼ同じ年端です。読了後、ひどく考えさせられました。


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2009年05月23日

早苗月積読奇譚(さなえづきつんどくきたん)

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最近購入した書籍(文庫本)。吉村昭氏の「島抜け(新潮文庫)」。
店頭では見た事が無い短編集。平成14年度に発行され、昨年で三刷目になったみたい。読んだ講釈が幕府の逆鱗に触れ、種子島に流刑にさせられた上方の講釈師瑞龍。余生に絶望する後、流人仲間と脱島を決行しますが、行く手に待ち構えるは...。吉村氏自らの作品に「文学漂流」などと見受けられますように、「漂流」といった語感に並々ならぬ想いがあられるようで、「破獄」や「破船」、「脱出」などかの方の作品は随分昔に読み耽りました。若かりし日に出会った多くの作品に、道すがらまた行き会ってしまったような感動を憶えました。表題中篇他二篇を読破中。ヒトは皆プリズナー、日頃の束縛から逃げ出したがっている。それを傍者が5月病というか、いわないか?だ。(笑

また収録短編「梅の刺青」。明治初期、日本最初の献体をした元遊女。その片腕に彫られた梅の刺青...。日本学術医療の創世記における解剖...ならぬ、一見タブー視されがちな献体史を綴った珍しい作品。同著者の「星への旅」など、病理解剖を通して立ち会う執刀医や腑分けされる死者(思念?霊?)の主観が錯綜する初期作品を彷彿とさせます。不覚にもタイトルは失念したが「若かりし日に自身から摘出された肋骨に会いに行く」短編を思い出した。そのインパクト。冷徹な描写力。それでいてグロテスクさは微塵ほども感じさせない。少女が思い描くロマンチックな自殺願望に程近い。

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もう1冊が坂口安吾著「安吾 戦国痛快短編集(PHP文庫)」。
信長」の話は以前書きました。短編集の冒頭「梟雄」斉藤道三の生涯をたどった作品などは、司馬先生の代表作「国盗り物語」よりも古い作品(昭和二十八年発表)だそうで、その先見の明には慄然と致します。信長の正室は一般的には「濃姫」と呼ばれますが、美から嫁いだから、単に「お濃」。名前が後世に正しく伝わらなかった女性だそうで、「これはどうも安吾さんが最初に名づけたのではないか?」と巻末インタビューを書く半藤一利さんの解説が興味深かったです。

なぜキスのフライやらPTAやらが台詞の中にポンポン登場するのか?「決戦川中島 上杉謙信の巻」(笑)、太閤秀吉死の床で自らの半生を回想する「狂人遺書」、伴天連に降りかかる苦難を臨場感溢れた踊るような筆致で描いた「イノチガケ」。戦国もこの御仁に掛れば、正に縦横無尽、一寸刻み五分試しの斬れ味ですね〜。(笑)

posted by まっぴら at 12:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ブック・ログ(読書棚) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする