2007年10月10日

バド・イーキンスの訃報

tge.jpg

映画「大脱走」でマックイーンのバイクスタントを務め、あの名シーン「国境越えの鉄条網ジャンプ」をしてのけて、彼を世界的アクションスターにのし上げるのに一役買った、レーサー兼スタントマン兼大親友の、バド・イーキンスさんが、この6日(土)ロサンゼルスのビバリーヒルズで亡くなったそうですね。享年77歳だったそうです。

「ブリット」のカーチェイス・シーンでも、転倒するバイカー役を演じ、路上を30m滑走する危険なスタントをこなした方でもありました。引退後はカスタム・バイク・ショップのオーナーであったとか?

近年発売されたコレクションボックスDVDの特典映像(特典DISC映像「スティーブ・マックイーン:男の真髄」)からは、かつてを懐かしむお元気な様子が映し出されておりましたが、当時を知る貴重な方が、また一人亡くなられて、残念でなりません。

謹んで心からご冥福をお祈り致します。合掌。
posted by まっぴら at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月31日

DVD「ゲッタウエイ」

ゲッタウエイ The Getaway」。
直訳すると「あっちへ行け!」という意味ですが、これでは意味合いが死んでしまいます。要は「高飛び」とか「事を上手く運ぶ」とか、「してやったり!」という意味合いを含むんだそうです。

「COOLの帝王」スティーブ・マックイーンと暴力の鬼才サム・ペキンパー監督の最強タッグ。両人すでに故人となりましたが、彼らの晩年の最高傑作と目されております。すでにTV放映などで御覧になられた方も多いのではないでしょうか?

thegetaway.jpg

世紀のドル箱スターが、この作品では銀行襲撃のプロフェッショナルを好演。無益な殺生を避けるために周到な銀行襲撃計画をめぐらすも、心無い仲間との確執が元で、計画は大きく破綻。
心のすれ違いを繰り返す最愛の女房と共に、せしめた50万ドルをまんまと抱え、群がる悪党や追っ手を蹴散らしながら、果たして無事越境し、メキシコに高飛び出来るのか?といった概要。

原作ジム・トンプソンのあれだけつまらないクソ・サスペンス小説を、手に汗握るヴァイオレンス・アクション映画に仕上げたサム・キンパーの力量と、脚色を担当したペキンパー傘下のウォルター・ヒル(「48時間」、「ストリート・オブ・ザ・ファイアー」)の、才覚はお見事の一言に尽きます。

「行動する男の美学」と謳われたマックイーン自らが、自動車をぶっ飛ばし、Colt'45やポンプ・リピーター式ショット・ガンを街中でズガズガ撃ちまくるといったスピードとアクションのど派手さ。その銃撃シーンと射殺・破壊シーンの凄まじさ。スローモーションやクローズ・アップを多用したその壮烈さに眼を奪われながらも、忘れていけないのは、

「アメリカという悩み多き社会が、ヴァイオレンス(暴力)といったものをどう捉え、認識しているのか?」

という描写が、細かいカットワークの中に、常に描かれているところ。例えばほら!

-------------------------------------------------------------------
ショット・ガンが「ドカーン!」と炸裂する。
銃声につられて、子供が顔を出す。
パトロール・カーに激しい弾着シーン。
飛び出した子供の袖を、近くにいた親が慌てて引き戻す。
-------------------------------------------------------------------

...といった、ほんのコンマ1秒ほどの、つい見逃してしまいそうな細かい描写。ここがペキンパー・タッチを模倣し、単に暴力の描写ばかり追求しがちな昨今の監督と、本家「ヴァイオレンスの鬼才」との大きな相違点でしょう。

ボク的に気に入っている役者は、ドク・マッコイ(マックイーン)と対極を成すキャラクター、悪漢《ルディ》を演じる個性派俳優アル・レッティエリでしてね。
http://us.imdb.com/name/nm0504803/
彼は見た目の強烈な個性とは裏腹に、実に繊細な俳優だったそうでして、特に招かれて撮影に望んだところ、ペキンパーは事あるごとに、
「アル!今のは良かったぞ!」、「最高の演技だ!」と絶賛するんだそうです。レッティエリは頸を傾げながらも演技していたそうですが、実は面白くなかったのが、主演にして《目立ちたがり屋》のマックイーンだったそうでして..。(笑

この映画でマックイーンが演じる《ドグ・マッコイ》。
お気づきかもしれませんが、今までになく「憤り」や「苛立ち」、「焦り」といったものが描かれています。本来のマックイーンの持つクールなイメージとは大きく異なりますね。
実はアルはマックイーンの潜在能力を引き出す為の、出汁(だし)にされてしまったんです。完全なペキンパーの戦略だったんですね。
おかげで撮影現場では別の意味での緊張が走り、アルはそれこそもうマックイーンの逆鱗に触れないように、おっかなびっくり戦々恐々と演技していたそうです。
可哀想に「ゴッド・ファーザー」で《ソロッツオ》を演じた名バイプレーヤーは、撮影数年後に心臓発作で他界してしまったそうです。(1975年没)

また「世紀のラブ・ロマンス」と噂されたマックイーンとアリ・マックグロウの色恋騒動。結局は離婚してしまいましたが...。
この当時(撮影1971年頃)、マックグロウは、パラマウント・ピクチャーズお抱えのプロデューサー、ロバート・エヴァンズの(まだ)奥様だったわけです。マックイーンとマックグロウが銀幕上で演技か?本気か?睦みあえば睦みあうほど、昔の旦那様の立場は、劇中《ルディ》と放埓な妻《フラン(サリー・ストルーザース)》との淫らなやり取りに苦しみ、首を吊る獣医《ハロルド(ジャック・ドットソン)》の姿と、大きく被ってしまうカタチになってしまうわけ。映画会社に恨みを抱き、絶えず衝突を繰り返すペキンパーは、どうも狙っていた気配が濃厚なんです。(笑)

結局、結婚の後、破局してしまう事になる2人の関係ですが、離婚のきっかけになったのは、マックグロウの流産と女優業復帰。オファーされたその作品が、サム・ペキンパー監督作品「コンボイ Convoy」でしたから、
「サム・ペキンパー」って、毒舌癖も含め、
どこまでも厭味で意地悪な監督だったんですねー。(笑

音楽はクインシー・ジョーンズが担当しましたが、当初ペキンパー作品お抱えのジェリー・フィールディングが担当する予定でした。これは新妻アリのJAZZ好きが嵩じて、このフィールディング降板にはマックイーンの意向が大きく働いた事によるものだそうです。サウンド・トラックは存在し、ボクも聴いた事がありますが、音質が低くてあまりいい出来映えの物ではありませんでした。

シドニー・ポワチエ、バーブラ・ストライサンド、ポール・ニューマンらと設立した新会社FAP〈ファースト・アーチスツ・プロダクション〉第一回公開作品。プロテスタント文化圏の感覚的には「逃げ切る事は決して贖罪には繋がらず」、特に州法の定めるところの一部米国国内。勧善懲悪を好むラテン系気質に配慮した「スペイン版」など、ラスト・シーンに大幅な変更が加えられ、「犯罪者の逃亡を良しとせず、マッコイ夫婦が射殺される」.verが存在する.....らしいんですが、VHS・PAL等ビデオやDVDなどマーケットには出回っている可能性が乏しくて、(アメリカに住む知人には探して貰ったんですが)、今のところその存在は個人レベルでは確認出来ずもっか不明...。

日本国内リバイバル時、「この夫婦はこれより××日後、メキシコの何某で逮捕された」という字幕テロップが出た.verが公開されたという噂...ではなく話があり、実際ボクの友人は「劇場でこれを観た!」と頑なに言い張っておりましたが、真相はcross the border。
posted by まっぴら at 22:00| Comment(0) | TrackBack(1) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月29日

「ハンター」獲物は人間!

ちょいとDVDを観直していました。マックイーン主演の「ハンター」。
いやぁ〜っ!顔のむくみはないものの、やはり化粧が濃いですなあ。
この映画が撮られた直後に、悪性中皮腫(メソテリオーマ/胸膜の癌)で50歳の若さで亡くなってしまいましたね。(合掌)
趣味のレーシングが高じて、そのレーシング・スーツに含まれた耐火石綿繊維が病気の原因ではないかと、最近囁かれております。

よもや公開当時は「元気がない」、「活力がない」、「こういう不健康なマックイーンは観たくない」などと悪評散々だったですが、まあ実生活上、彼のように跳んだり跳ねたりせずとも、間に合いそうもない最終電車を目指して「はあはあぜいぜい」と駅のホームや階段を走ったり、痰が切れず息が切れて目が回ったりするような年齢に差し掛かると、不思議と心に留まり出す映画でございました。

thehunter.jpg

この映画で描かれた「賞金稼ぎ」制度。保釈金を払って仮釈放された犯人が他の州に逃亡した場合、保釈保証人、または保釈金を貸し付けた保険会社は、「代理人」を雇って捕まえることが出来るとか。この「代理人」が即ち「バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)」。彼等は警察やFBIのように逮捕状も捜査令状などの法的手続きを踏むことなく、必要な武器や手段を使い逃亡犯を逮捕する事が許される。西部開拓時代のこの悪法は、事もあろうに法治国家たる現代のアメリカに、まだ脈々と生きているのであります。

先の「トム・ホーン」が「映画スター・マックイーンの遺言状」とするなら、この映画のライトさは「マックイーンからファンに向けての会葬お礼状」みたいな印象を受けます。それまで自身が演じてきた孤独な「追跡者&逃亡者」の存在を打ち消して、そのヒーロー像への自虐的諧謔。レンタカーの運転がからっきし下手クソだったり(ダイナマイトでトランザムを粉々に吹っ飛ばすシーン、大好きです 笑)、ラマーズ分娩法の講習であたふたするなど、老眼鏡が手放せなくなった初老(等身大)の「現代を生きる賞金稼ぎ」。自らの出世作となった西部劇TVシリーズ「拳銃無宿」。自身の原点に立ち返り、その時代錯誤感を含みつつ、明らかに「ジョッシュ・ランダルの血脈」であるラルフ“パパ”ソーソンをトンマ・カッチョに演じています。

事実、凶悪犯の大男「ビリー・ジョー・フェイス」を追って...なんてシーケンスがありますが、「拳銃無宿」観てるとクスクスです。「ビリー・ジョー」って「拳銃無宿」に登場した悪漢の名前なんです。(笑)
「100フィートの警棒(スタン・ガン)」片手に、彼と大立ち回りになりますが、投げ出されメリケン粉まみれになる。鼻の下にビッシリ粉がつきますが、彼は実生活「コカ」などドラッグを複数常用していた経緯があるので、これを半ばお遊び的に「自虐的に曝け出してしまった」というのは、単なる想像に過ぎないだろうか? 

生まれ来る時代を間違えたこの男。
唯一の趣味が「ティン・トイ(骨董玩具)」の収集。
恋人が尋ねる。「何故古い物ばかりこだわるの?」

「新しい物にはロクな物がないからだ...。」

“シカゴの走行列車のパンタグラフにぶら下がる”といった見た目の派手なアクション・シーンに目が行きがちなのは仕方がありませんが、むしろこの辺りがこの映画の「核」の様な気がします。エンディングに産気づいた恋人を病院に運び、生まれてきた赤ん坊を一張羅のナイロン・セージに包み、不器用にあやすシーン。

「古きに固執してきた男でも、新しい物(命)を認められるじゃないか!」

「拳銃無宿」で「賞金稼ぎ」を演じ、奇しくもスターダムにのし上がった大スターが、中皮腫でこの世を去る前年に、前世紀の遺物となった「時代遅れの賞金稼ぎ」をわざわざ演じ、マックイーン物語の「輪廻」の輪を見事に完結させた辺りに「遺作を自ら演出した」に憎いほどのアザトサを感じるのでありました。いやはや。実に「華麗なる遺言状」だったと思います。

音楽は「栄光のル・マン」のミシェル・ルグラン。最近ようやくフランス・ユニバーサルからカップリングでCD化されると噂で聞くのだけど...。
posted by まっぴら at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月09日

なぞむす?

http://www.sanspo.com/geino/top/gt200706/gt2007060705.html

奇怪なる情報が飛び込んでまいりやした。
いやね。確かにあなたは似ているんですよ...。
てかマジ“クリソツ”なんです。

ところがね。
彼には「チャド」以外「息子」はいないはず!なんですよ。

あなた一体誰なの...?謎の息子。
posted by まっぴら at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月23日

「指」

alfredhitchcock.jpg

一見ボクのところのコンテンツやカテゴリとは、何ら関係ないような感じもしますが、このたびユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンからDVD廉価版(\1,500)で、6月14日に単体発売されるそうです。

ヒッチコック劇場 第四集 2」DVD

...で何をワクワクしているのかというと、この中の一編に例の「」が収録されているんですよ。

「指」...?何のことでしょう?そう。原題名は「Man From the South」。直訳すると「南から来た男」。他の資料からは「リオから来た男」というタイトルで放映されたという説もある...。

これはスティーブ・マックイーンがまだ駆け出しの頃、TV番組「ヒッチコック劇場(放映日 1960 3/13 )」にゲスト出演したんですね。彼はギャンブラーを演じるんですが、「JIPPO」というOILライターの着火を賭け事に、なんと!己の「指」を賭けるお話なんです。点かなければその場でチョン切られちゃうんです...。

後年Q・タランティーノ作品で「フォー・ルームス」っていうオムニバス・コメディ映画がありましたが、その収録された四話の中の最後のお話「ペントハウス/ハリウッドから来た男」。ベルボーイのテッド(ティム・ロス)を裁断人と招きいれ、喜劇俳優チェスター・ラッシュ(Q・タランティーノ)、マネージャーのレオ(ブルース・ウィリス)、付き人のノーマン(ポール・カルデロン)、アンジェラ(ジェニファー・ビールス)達が「エンコ摘め」をめぐって繰り広げるドタバタ喜劇の元ネタになったそうですね。

話だけは知っているんですけど、流石にまだ観た事はありません。何でもマックイーンのフィルモグラフィーからは、「ヒッチコック劇場」ではもう一編「Human Interest Story(1959 5/24 )」というのがある(らしい)んですが、こちらはまったく詳細は不明...もっとも当の本人も「すでに忘れてしまった」とかいう談話が残されていますけどね。

発売を楽しみにしています。変更がなければおそらく他の7編に及ぶ収録作品の中でのゲスト・スター〜ヴィンセント・プライスやジェームズ・ドナルド、 チャールズ・ブロンソン、 ロジャー・ムーアなど、豪華な俳優人が勇姿が観られるかも知れません。
posted by まっぴら at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月19日

宮部昭夫さん逝く

朝刊で突然の訃報に触れ、愕然とした。老優の訃報はワールドカップの記事で沸く紙面の片隅に、それは小さくあまりにこじんまりとした物だった。
偶然、昨日の日記で「戦う翼」DVDの事を取り上げたばっかりだったのに...。近年具合が良ろしからぬとは聞き及んで、ある程度覚悟こそしておりましたが、これほどお別れが唐突だったとは...!
咄嗟にマックイーン映画の幾つかの吹き替え台詞が思い出され、目頭が猛烈に熱くなった。

カードですられた方がマシさ。
(「拳銃無宿」〜女の復讐より)

スティーブ・マックイーンの声の吹き替えで知られる
俳優の宮部昭夫さんが、6/17に肝臓ガンのため、都内の病院で亡くなってしまいました。享年75歳。


1931年2月26日北海道函館市生まれ。’54年東京学芸大学卒業後、俳優座、劇団四季などで舞台俳優として活躍。その後映画やテレビに出演。
マックイーン=宮部昭夫さんのコンビネーションの魅力に、魅了されたファンの方はきっと居られるでありましょう。
マックイーンの他、カーク・ダグラス、ロバート・ランシングなどの吹き替えも担当されましたが、ダグラスもこれまた本人を思わせるような絶妙なマッチングでありました。

出演作品
【映画】
幕末太陽伝(1957)
筑豊のこどもたち(1960)
花と怒涛(1964)
早撃ちジョー 砂丘の対決(1966)
大菩薩峠(1966)
日本任侠伝・花の渡世人(1967)
拳銃は俺のパスポート(1967)
みんな〜やってるか!(1995)

【TV】
幸福試験(1964)
樅の木は残った(1970)
必殺仕掛人(1972)
勝海舟(1974)
不毛地帯(1979)

【声優】
スティーブ・マックイーン
カーク・ダグラス
ロバート・ランシング

中国に来ている水兵とは親しくしない方がいいぜ。
アンタみたいな人は特に...。

(「砲艦サンパブロ」より)

這いつくばって命乞いをしろ!
殺す値打ちもなくなった...。
(「ネバダスミス」より)

ちくしょう!俺はくたばらねえぞ!
(「パピヨン」より)

いつか何万という人達が焼け死ぬことになるだろう。
俺達は煙をくぐり、死体を運び続ける...。
誰かがビルの建て方を...聞きに来るまで...。

(「タワーリング・インフェルノ」より〜)


宮部さん、お疲れ様でした。宮部さん、ありがとう。宮部さん、さようなら。
謹んで心からご冥福をお祈り致します。合掌。
posted by まっぴら at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月18日

戦う翼 The War Lover

warlover.jpg

DVD「戦う翼 The War Lover」がついに単体発売されるとかで。これはスティーブ・マックイーンが「大脱走」でブレイクする以前に撮影された異色の戦争映画でして、先の「突撃隊」と並び、なぜか出世街道驀進中のアクターがアメリカ・ニューシネマの波以前に“汚れ役”を演じきり、独自のアンチ・ヒーロー像を確立してしまった、小粒ながらなかなかの傑作であります。監督はフィリップ・リー・コック。原作はジョージ・ハーシーの「戦争を愛する者」。

「戦う翼 The War Lover」
発売元/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日/8月4日
価 格/¥1,480 (お得でっせ!)

これについてはワタシはもう既に持っていて、DVD「コロンビア・トライスター ウォー・ムービーズ・コレクション」vol.1「激闘の戦線編」(5枚組み)の一編に収録されていたのです。今更ながら¥14.800(税別)返せーっ!(滝泣)

舞台は英国本土に本拠を置くアメリカ第8空軍爆撃隊基地。
この映画でのスティーブ・マックイーンこと“バズ・リクソン大尉”は、B-17爆撃機“THE BODY=イカすカラダ”号を駆って独軍基地を爆撃することに一種性的快感に似た高揚を求める、危険でキレかかったアンチ・ヒーローを演じています。不遇な少年時代を経て軍隊に転がり込んだ経緯を持つ彼は、幾多の困難な任務や死線を掻い潜ってきた余り、もはや〈爆撃〉と言う破壊行為でしか、悦楽や愛、自己同一性を感じられない戦争愛好者(The War Lover)になってしまっています。
戦いの官能しか愛せない彼は“鬼”なのか?“虜”なのか?

大尉の度重なる命令を逸脱した行為を押さえに掛る、冷静で温厚な副操縦手のボーランド中尉(ロバート・ワグナー)とイギリス娘ダフニー(シャーリー・アン・フィールド)との恋愛関係。リクソンは嫉妬し横恋慕。泥酔した勢いで強引に奪おうとする。反目し合う機長リクソンと副操縦手ボーランド。更に2人の男は仲間の戦死を皮切りに次第に確執を深めていくプロセスが見事に描かれています。
考証も的確で、まだ衣装としてスルメの様に渇ききっていないシープスキン・フライト・ジャケットと、セットでも置物でもない生きたB-17戦略爆撃機。ブリーフィングから離陸シーン。渡洋爆撃に至る過程が綿密な程に再現されており、時折当時の実写フィルムまで挿入しながらの物語後半、爆撃機1.000機という未曾有の大編隊でナチスの軍需工場を完膚なきまでに叩き潰す“ライプチッヒ大空襲”までグイグイとつい引きこまれてしまいます。

フラック・アレイ(対空砲火横丁)の槍襖を突き進み、敵迎撃戦闘機群の絶え間ない猛攻を受けズタズタになった瀕死のB-17“THE BODY”。豊満な肉体を彷彿とさせるその機体は、まるで酩酊しベッドで性を貪りつくしたかの如く、ふらふらと大西洋の海面へと高度を落としていく。風穴だらけとなり故障して投下できない爆弾を抱えこんだまま、果たして“彼女”はドーヴァー海峡に聳え立つ白い崖を無事飛び越えることが出来るのだろうか?自ら脱出を拒み、血塗れで操縦桿を握り締めたリクソンは言い放つ。「カモン!さあ、頭を上げるんだ!」

ちょっと前ですと、某アパレル・メーカーのシープスキン製品(数十万円!)のノヴェルティでVIDEO(米国でも廃盤)を手に入れるしか手段がありませんでしたが、ホントにいい時代になりましたね〜。(溜息)
posted by まっぴら at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月18日

「シンシナティ・キッド」

cincinnatikid.jpg


最近、思い出したように取り出しては、繰り返す繰り返し観ているDVDが、昨年購入した「STEVE McQUEEN ESSENTIAL COLLECTION スティーブ・マックィーン エッセンシャル・コレクションボックス(6枚組)」の中の「シンシナティ・キッド」。
卓上で繰り広げられる“静かなる格闘技”ポーカー・ゲームを軸として“若き敏腕賭博師がベテラン・チャンピオンの挑戦する”というなかなか勇壮なテーマなのですが、そもそもこの前々年、ロバート・ロッセン監督、主演ポール・ニューマン「ハスラー」という映画の大ヒットで、“若き才能を持つ新鋭がタイトル保持者に挑戦する”という作品主題は、この当時の観客を沸かせる一つの流行スタイルだったんですね。

マックイーンをアサインしたのは、「ワイルド・バンチ」などで後に“バイオレンス映画の鬼才”と謳われて、この時「シンシナティ・キッド」の監督であったサム・ペキンパー。「ダンディー少佐(64)」を製作者ジェリー・ブレスラーと喧嘩してクビになった直後の事だったんです。(笑)
彼はこの「シンシナティ・キッド」を“モノクロ・フィルム作品として完成させよう”と撮影に望んだそうですが、撮影開始早々、製作者のマーティン・ランソホフと娯楽性の部分で衝突して、3日目にして降ろされたと聞きます。(注 辞めてしまう?諸説ある)

それで代わりに起用されたのが、当時カナダのCBC・TV出身の新鋭監督であったノーマン・ジュイソン。一応、彼の名誉の為に言っておくと、作品のムードは明らかに彼の優れた演出力によって成立し、「役者の持つ演技から、別の素養を引き出すに長けた稀有の力量を持っている名監督」(この後年「夜の大捜査線」でアカデミー賞に輝く)なのですけど、演技指導の部分においてはマックイーンの方が一歩長けていたそうでして。「とにかく“言う事を聞かない”俳優」だったそうな。
演技派を自認するマックイーンが事前にうち立ててきた持ち前の“演技プラン”に、脇から迂闊に嘴を入れようものなら、にわかに機嫌が悪くなり、私用で持ち込んだバイクに跨り、撮影所からプイと姿を消してしまう。撮影そのものが中断してしまう事もしばし。(「大脱走」時代からの定石手段) このためノーマン・ジュイソンの持ち味が、銀幕上の彼に反映される事はなかったみたい。

「華麗なる賭け(68)」においてもタッグを組んだご両人。スーツをパリっと着こなして大富豪の洒落た紳士を演じ、それまでムードを一遍“新しい一面、開花す”と周囲を驚かせたが、これも実はマックイーン演出。ノーマン評の「“役者の持つ演技から、別の素養を引き出すに長けた”稀有の力量を持っている名監督」という触れ込みはどうやらこの作品からノーマン演出に負ぶさり一人歩きを始めたようで、後年「ロッキー」のイメージを払拭せんが為に「新しい素質を引き出して貰いたい」と話を持ち込んだそそっかしいスタ公なんぞは、止めときゃいいのに「フィスト(77)」で興行的に惨敗を喫する事となる。(笑)

ノーマンは「マックイーンは、私が演技者に求めるナイーブな素質を、実に豊かに持っている男だ。」とコメントし、自身の映画を立てながらも、他誌のインタヴューにあっては「これまで仕事をしていて、一番面白くなかった男優=スティーブ・マックイーン」とイケシャーシャーとのたまったりする。この二人、事実上「華麗なる賭け」以降“袂を分かった”というよりは“ビジネス的お付き合い=クールにサヨナラ”と二度と逢いまみえる機会はなかったはず。

しかしながら特典DISC映像「スティーブ・マックイーン:男の真髄」を観ておりますと、ニール・アダムス(最初の妻)、チャド(長男)、バーバラ・ミンティ(三度目の妻)、長年の妹分であったチューズディー・ウェルド、ドン・ゴードン、バド・イーキンス、リチャード・アッテンボロウなど、マックイーン公私共々そうそうたる取り巻きの中に、何故かしら“老爺”となったノーマンの姿もちゃっかり居るわけですな。(笑)イケシャーシャーと...。それも如何にも「生前の友人」、もしくは「良き理解者」ヅラを引っさげて...。「かぁーっ!この爺、何をほざくか!」と、思わず画面に灰皿を投げつけたい衝動に駆られたわけでございます。親しくもないのに、故人との懐旧談に花を咲かせるもんじゃない。

てかこの場を借りて「くたばれ!N・J!」と声高らかに叫びたいのでありました。(笑)

小生の様に、無知モー昧的にマックイーンに“原理主義”を持ち込んだとするならば、とりわけこの作品のノーマン・ジュイソン監督などは“ナンバー10(テン)”、“はなもちならない監督”の筆頭株に挙げられる。この際“変節漢”呼ばわりしても構わない。まっぴらはこの爺が兎に角大嫌いなのであります。

さて私憤はともかく、この「シンシナティ・キッド」この男の頭脳と気力・運の限りを尽くした一世一代の大勝負、その栄光と挫折。そして勝負の世界に生きる男に想いを寄せる女の愛の哀しさを同時に描く1965年の歴史的ハードボイルド作品でありました。

続きを読む
posted by まっぴら at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月07日

25年...。

vhils.jpg

映画俳優スティーブ・マックイーンが亡くなって、あれから今日でちょうど25年経つんですねぇ〜。(1980 11/7) 実に“四半世紀”。 まっぴらはその頃高校生だったのだけど、月日の経つのは誠に早いものです。(しみじみ)
posted by まっぴら at 20:21| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月22日

「華麗なる週末」を観た週末

thereivers.jpg


華麗なる週末(The Reivers)」のDVDを買ってきました。いやぁ〜。昔TV放映で観たっきりでねぇ〜。今回のDVD発売は非常に嬉しかったです。“スティーブ・マックイーン”というと、端から只の「アクション・スター」だと頭から決めてかかっている見識者の多い中、彼の芸の幅の広さというか?“コメディー役者”としての素質を充分堪能できる作品なのでした。前作「ブリット」の“研ぎ澄まされた都市型敏腕刑事”から、向こう見ずで粗野、陽気でコミカル“素朴な南部男”へと、ガラリと役柄や雰囲気を大きく変えてしまったのでした。
この作品が創られた1969年という年は、マックイーンがスターからプロデューサー業へと徐々に移行していく時期で、文字通り“脂の乗り切っている時期”です。何せ翌々年(1971年)が「栄光のル・マン」ですから。

華麗なる週末(The Reivers)」これはアメリカを代表する文豪ウィリアム・フォークナーの名作「自動車泥棒」の映画化でして、マックイーンは脚本をいたく気に入って出演する事になったんだそうです。
この牧歌的で叙情豊かな古き良きアメリカ中西部の一風景を、コミカルさを交えつつも、ほろ苦い感傷をたたえた演出で見事に描ききった監督は、マックイーンとは旧知の親友であったマーク・ライデル。この方は「11人のカウボーイ」、「シンデレラ・リバティー」、「ローズ」、「黄昏」を世に送り出した名監督なんですけど、マックイーンの最初の奥さん、二ール・アダムスとの運命的な出逢いを取り持った事でも割と有名。ジャズ・ピアニスト兼作曲家を経て...なんと俳優になり(驚!)、名門演劇学校アクターズ・スタジオにも籍を置いたという武芸百般のヒトなのですな。侮り難し...。


あっ!原題の「The Reivers」(レイバーズ)。劇中“賊徒”と訳されていますが、元は古いスコットランド語で“泥棒”という意味なんだそうです。


ネタバレ注意!(続きを読む)
posted by まっぴら at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月21日

「華麗なる週末」を待つ週末

本日は「DVDボックス:キング・オブ・クール」の発売日。先の「突撃隊」、「ネバダ・スミス」、「ハンター」、「栄光のル・マン」、「華麗なる週末」の5作品が収録されています。既に単体発売で以前購入した物がほとんどなので、同時発売の単体「華麗なる週末」DVDだけを購入しようと予約を取り付けておりました。本当は今日取りに行こうかと思いましたが、帰宅時間が遅くなってしまったので、明日取りに行くつもりです。今から楽しみぃ〜。

ところが年末、20世紀FOXからまたしても...今度は「〜プレミアム〜」と銘打ってBOXが発売されるそうですな...。「デッド」と正面衝突でかち合うので、しかと力尽き、我泣き濡れてび様と戯るぅ〜。わぁ〜んっ!(泣)
posted by まっぴら at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月16日

「突撃隊」

その昔、まっぴら旧日記にはちょこっとUPした事がありましたが、「〜倶楽部録」の方で改めて取り上げてみる気になりました。スティーブ・マックイーン主演のアクション戦争映画「突撃隊(Hell is for Heroes)」であります。マックイーン演じる兵士“リーズ”は酒の上でのトラブルで兵卒に降格された元下士官の役で、全編通して無口でニヒル、無愛想。戦闘になると“45口径30連弾倉を3つも縛り付けたM3グリース・ガン機関銃”や“ブッチャー・ナイフ(肉斬り包丁)”を片手に、抜群の戦闘能力を発揮する、荒んだダーク・ヒーローを演じています。
監督は鬼才ドナルド・シーゲル。(ドン・シーゲル)原作はロバート・ピロッシュの「地獄は英雄たちのもの」。1962年、名映画編集者ドナルド・シーゲルとの知遇を得て、脚本を読んだマックイーンは出演を快諾。“私の出演した映画の中でもっとも好きな作品だ!”とコメントが残されているだけに、彼流のねばっこい演技プランに裏打ちされた壮絶にして鬼気迫る力演が光ります。戦争映画のそのほとんどは「チーム・ワークで成り立った」作品が多い中、撮影期間中“リーズ”役に没頭するあまり、他の出演者と一切のコミニュケーションを断ってしまい、ハリー・ガーディノやフェス・パーカーから苦情が殺到したというマックイーンの“演技派の執念”を覗かせるエピソードがあるほどです。
「俺たちに明日はない」から始まったアメリカン・ニュー・シネマの波。その製作以前にして“汚れたヒーロー像”は、この「突撃隊 Hell is for Heroes」の“リーズ”、そして同じ年の「戦う翼 The War Lover」の爆撃に快感をおぼえる機長“バズ・リクソン大尉”と、すでマックイーンの手によって生み落とされていたのでした。

hellisforheros.jpg
ネタバレ注意!(続きを読む)
posted by まっぴら at 11:11| Comment(0) | TrackBack(1) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月09日

And you believe that a .45-60 that's got a trajectory like a rainbow...

tomhorn.jpg


トム・ホーン McQEEN is TOM HORN」
この男とすれ違って生き残ったヤツは居ない

【STORY】
インディアン酋長ジェロニモを捕虜にして一躍勇名を馳せた男、トム・ホーン(スティーブ・マックイーン)がワイオミングに招かれてやってきた。ジョン・コーブル(リチャード・ファンズワース)を筆頭にかの地の大牧場主達に共同で雇われた彼は、期待通りに次々と牛泥棒達を血祭りに上げていく。ところが、残虐とも思えるその仕事ぶりに恐れを抱き始めた大牧場主達は、司法執行官ジョー・ベルにその対策を持ちかけた。兼ねてよりトムの名声に嫉妬し、地位を脅かされていたジョーは、少年殺しの罪を彼に被せる。ついに彼は逮捕され....。


そら、昔は“物語のあまりの重苦しさ”ゆえに「かのヒトにしては随分精彩を欠いた、不健康な映画やなぁ〜。」と敬遠したのだけど、この年齢になって妙に心に止まり出したマックイーン映画は、彼の最後の西部劇と謳われた「トム・ホーン」なのでした。
手元に研究社出版の「アメリカ・ウエスタン辞典 The KENKYUSHA Dictionary of the American Old West」大島良行著がありました。引用になりますが(Gun誌に昔連載されておられた記憶がある)トム・ホーンなる実在したガンマンについての略歴を読むと、ほんの数行...。
Horn Tom(1860〜1903)酒好きのほら吹きガンマン。Geronimoの逮捕に協力して一躍有名になり、Rough Ridersに参加してキューバに遠征した。“13歳(映画では15歳)の少年を待ち伏せして殺害したか?”と聞かれたが、酒をおごってくれていた保安官助手を失望させまいとしてそれを認め、絞首刑になった
とあります。

それからどーした?(続きを読む)
posted by まっぴら at 09:37| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月07日

セントルイス銀行強盗 THE GREAT ST.LOUIS BANK ROBBERY

tgslbr.jpg

PD CLASSIC Inc.というメーカーから、「セントルイス銀行強盗 THE GREAT ST.LOUIS BANK ROBBERY」なるDVDが発売されたというのは随分前の話。(発売日:3月29日)これはスティーブ・マックイーン主演の映画で、彼のフィルモグラフィの中ではかなり初期の部類に入ります。TV「拳銃無宿」以前...正確には1958年の「マックイーン絶対の危機」の翌年にあたる1959年。日本では未公開...。
これを機会に「是非観てみたい」と思い、そこかしこのSHOPに足を運んでいたのですが、早くも“生産終了”と話を聞き、がっくりしていました。この間、何気に(別件で)足を運んだSHOPには、この「セントルイス銀行強盗」のDVDが山積み状態(再販?)だったので、狂喜してしっかりGETしてまいりました。価格もお手ごろで、なんと¥380

ざっと観飛ばしてみましたが、実に若いですねぇ〜。驚いた事に顔にしわが無い!(そりゃ当たり前だw) 彼が演じる“ジョージ・ファウラー”は、人生の目標を見失った一介の青年で、ひょんな事からプロのギャングに混じってセントルイスの銀行強盗に加担する事になった運転手の役なのですね。盗人猛々しくも「運転はするが盗みはしない」と豪語しておりましたが、綿密に予行演習を繰り返していた強奪計画が次第に破綻し始め、警官隊に包囲された銀行内で人質たる客に「鬼だ!悪魔だ!」と罵られ、「オレはそこまで悪くない!」と拳銃を捨て泣き崩れるという、昔でいったら如何にもジェームズ“ジミー”ディーンが演じそうな「不良にもなりきれず、ナイーブでもろく傷つきやすい青年像」を演じていたのには驚いたですね。

古い映画にしては比較的コンディションが良く、まだ“映画の良心”も確かに息づいています。話によると、これは実話を基にリチャード・へフロンが脚本を起こしたそうでして、“ギャングは全滅する”という定石を破った犯罪映画はこれが最初だとか?
posted by まっぴら at 21:09| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月10日

「NEVER SO FEW 戦雲」

neversofew.jpg


【STORY】
時は第二次世界大戦たけなわ、ビルマ北部のカチン高原のジャングルを根城に、日本軍を相手に勇猛果敢に戦っていたゲリラ部隊があた。アメリカ人トム・C・レーノルズ大尉(フランク・シナトラ)とイギリス人ダニー・デ・モーティマー大尉(リチャード・ジョンソン)に率いられた先住民カチン族。その唯一の補給は空から輸送機で投下する物資のみだが、部隊はインド・カルカッタの司令部と常に密接な連携を取り合っていた。ある日、トムとダニーは来るべき作戦の打ち合わせの為カルカッタに飛び、夜羽を伸ばそうとカフェに出向いたところ、美貌の女性カーラ・ヴェサリ(ジーナ・ロロブリジーダ)に出会う。トムは一目でカーラに魅かれ始めた。翌朝司令部に出頭する2人に、上司フレッド・パークソン大佐は「日本軍の強力な飛行基地がある北ビルマのウバチを攻撃」する任務を与えるのであった。


1959年という年はハリウッド映画界はフランク・シナトラ率いる...俗にシナトラ・クラン(シナトラ軍団)が巷を席巻していた年だそうでして、1956年から60年までの間、彼はドル箱スターベスト10に連続して入っていたそうです。要は“幅を利かせていた”わけですね。その第一作がアクション・メロドラマの「NEVER SO FEW 戦雲」だったわけです。(彼らはその後60年に「オーシャンと11人の仲間」、62年「荒野の3軍曹」、63年「テキサスの4人」、64年に「7人の愚連隊」と好き勝手映画を撮り捲っておりました。)
彼は“陰のプロデューサー”として、トム・T・チャメルズ原作の「NEVER SO FEW」を下敷きに「OK牧場の決闘」、「ガンヒルの決闘」、「ゴーストタウンの決闘」など所謂「決闘3部作」を世に送り出した名匠ジョン・スタージェスがメガホンをとり、共演のジーナ・ロロブリジーダ(代表作「ソロモンとシバの女王」)をわざわざイタリアから招いたそうです。ところが彼が演ずるトム・レーノルズ大尉直属の“運転手”の役に当初サミー・デーヴィス・Jrをキャスティングしていましたが、直前に喧嘩してクランクインまで仲直りが出来ず“ビル・リンガ”役を捜していたところ、スタージェスがマックイーンを彼を推薦したんだそうです。当時マックイーンはTV「拳銃無宿」のスケジュールで身動きが取れない状況だったそうですが、主演映画のあまりの泣かず飛ばずぶりに、失意のうちにCBSTVの門を叩いただけあってか?「大スクリーンで派手なアクションを演じたい」と、再放送している間の休日を利用して「戦雲」の“ビル・リンガ”役に望んだんだそうですね。驚くべき事にクレジット配列はシナトラ、ロロブリジーダ、ピーター・ローフォードの次の4番目(新人としては異例)でして、正に“もうけ役だったわけです。この“ビル・リンガ”の好演が、翌年の「荒野の七人」の“ヴィン”のキャラクターに繋がる役でして、シナトラはおろかユル・ブリンナーさえも喰ってしまった彼は、一躍「スティーブ・マックイーン」の名を世界的なものにしてしまうのでした。

この作品。J・スタージェスの持つ独特の“風景作家”としての片鱗を窺い知る事が出来ます。確かに輸送機(鳥瞰的視野)から見るアジアの景色は美しく印象深い。この辺りの冴えは引退作である「鷲は舞い降りた」まで衰えを見せない。...が、肝心の映画自体はまったく盛り上がりに欠け、実に粗雑でお粗末な出来栄えだと思いました。カチン・レンジャーを率いるトム・C・レーノルズ大尉は仲間を殺された借りを返さんとばかり、重慶政府(無法)の中国軍捕虜群を、司令部の命令を聞かず独断で処刑する行があるのですが、常に仲間内中心主義というか?その“将校とは思えぬ”手前味噌的な思考に何ら感情移入や共感が出来ません。案の定「軍法会議」モノなのですが、これをラストに持ってくる辺り映画的には大変バランスが悪く、結果「晴れて自由の身」と「カーラとの愛」というテーマが戦線の遙か後方。密室劇の中で姑息に幕を閉じてしまった気がします。
“戦争メロドラマ”と一概に幅を広げすぎて、一体どちらの盛り上がりにウエイトを置くのだか?収拾が付かなくなった感じがしました。
マックイーンは劇中“運転手”だけに、ジープや鹵獲した日軍ランド“荷台が全木製”ローバーを運転したり、トミーガンだのP-08を好き放題ぶっ放して確かに格好はいいんですけどね。(何故“P-08”なのか?考えていましたが、日本兵が「南部式」ステージ・プロップ・ガンの代替措置として制式採用しているんですね。全体的に“中国国民党”と考証が間違えられている感があります)

この映画の日本軍の描かれ方はこの時代を反映してか?ひたすら国辱的でして。(笑)装備に何故か“旭日旗”の張物が多い。飛行場の物資資材には“モーター”だの“ガソリン五ガロン”だのカタカナ表記がやたらと多くて、傍目にも非常にわかりやすいグンタイでしたw。ゲリラに夜間襲撃される日軍飛行機がこれまた凄くて、見た目“斑迷彩の二式戦”(影武者はセバスキーだろうか?)のようですが、黄色く塗られたカウリングがメッサーと誤認しそうで非常に笑かしてくれますね。離着陸シーンはありませんが、クルマから投げつけるガソリン五ガロン缶攻撃で、やたら景気よく燃え上がる辺りは妙にリアルな感じもしますが...。

そうそう。駆け出し時代のチャールズ・ブロンソンが“ダンフォース軍曹”の端役で出演しておりましたが、役柄は通信兵に着き従う“ウインドトーカーズ”ことナバホ族の暗号通信兵(驚)の役でしたっけ。J・ウー監督の映画作品「ウインドトーカーズ」ではこの役をアダム・ビーチが熱演していましたが、なにかい?ウーさん...。こないだの「ウインドトーカーズ」はひょっとして「突撃隊」と「戦雲」のオマージュだったのかい???ほとんどイイトコ盗りの感じがしますが。
posted by まっぴら at 11:02| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月09日

スティーブ・マックィーン エッセンシャル・コレクションボックス

遅まきながら「STEVE McQUEEN ESSENTIAL COLLECTION スティーブ・マックィーン エッセンシャル・コレクションボックス(6枚組)」【限定生産品】をようやく購入してまいりました。拙者感涙。
このコレクションボックスには、「トム・ホーン」、「ゲッタ ウェイ デジタル・リマスター版」、「ブリット スペシャル・エディション」、「シンシナティ・キッド」、「戦雲」と初期から中期を経て晩期に至るまでの代表作、計5作品が収録されています。今回初のDVD化は「トム・ホーン」、「シンシナティ・キッド」、「戦雲」でして、まだワタクシが未見なのはJ・スタージェス監督、主演F・シナトラの“戦争映画”ならぬ“戦争を背景とした恋愛映画”「Never So Few 戦雲(1959)」なのです。出世作「荒野の七人」以前にJ・スタージェス監督にTVスター時代見出され、タッグを組んだ作品で、彼の演じる“ビル・リンガ上等兵曹”はシナトラ一座のサミー・デーヴィス・Jrが演じる予定だったそうですが、この当時サミー・デーヴィス・Jrはシナトラとかなり折り合いが悪かったらしく降板。急遽スティーブ・マックイーンにお鉢が回ってきたという曰くつきの作品なのだそうです。どうってことない“運転手”役の脇役だったわけですが、「拳銃無宿」で培った“動きの素早いガン・ファイト”で当時の観客を魅了し、当のシナトラを完全に喰ってしまったらしいそうです。(シナトラは“これは君の映画だな。”と、駆け出しのマックイーンに花を持たせた逸話がありますが、内心ハラワタが煮えくり返る思いで皮肉の一つも言ってやりたかったんでしょうね。) この後2人の共演は企画はあったもののついに実現しませんでしたが、後にハリウッド映画人を震撼させた“チャールズ・マンソン”の殺人リストに2人して名前が載るという、ありがた迷惑なお付き合いがあったそうです。
“チャールズ”でふと思い出しましたが、チャールズ・ブロンソンも“ダンフォース軍曹”役でちょいと出演しています。長い下積み時代を経てようやく役が付き始めた頃の作品なのですね。

シンシナティ・キッドはTV放映時に観ましたが、比較的カットや編集などが多い“贅肉を削ぎおとした”ヴァージョンでした。特にラストシーンは映画ストーリーブックなどに書かれている物と明らかに違う事から、放映時間枠に納めるために無理矢理切り取られた可能性があります。劇場公開時(1965)は如何なるモノだったのでしょうか?

しかしながら昔は「リリースしていない作品が是非観てみたい」というのが夢でしたが、反面「夢が叶ってしまう」というのは寂しいものですね。しばらくはコレの話題に持ちきりかと...。
posted by まっぴら at 19:17| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月03日

獲らぬ狸の〜...。

macdvdbox.jpg

おおっ!なんと清々しいクールな笑顔のパッケージに心臓が思わずズキューン!
7月1日発売の「STEVE McQUEEN ESSENTIAL COLLECTION スティーブ・マックィーン エッセンシャル・コレクションボックス(6枚組)」【限定生産品】が「店頭入荷しましたよ」とお店から連絡が入ったそうだが、ワタシは余裕ブッチで予約していたのをすっかり忘れていて、今日は朝っぱらからタカチと小学校の草むしり清掃作業に出かけて居ったのですよ。購入予算に関しては、まるで葛飾亀有の両さんのように、まだ出て貰ってもいない“賞与”をついつい当て込んでいたので、「今月中旬辺りまで待ってちょんまげ!」と連絡しておきましたが、久々に冷や汗かいた一幕でありました。いやはやみっともなや!オヤジ殿。(恥
posted by まっぴら at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月01日

THE LAST AMERICAN HERO

maq01.jpg

かの御仁は「指の先までアクションスター」だった。故に彼のアクションは言うに及ばず、室内に入ってくるシーンがあるだけで未だにワタシは嬉しくて堪らない。「何を弄り出すか?」 画面に釘付けになり食い入るように見つめる。

かつて野性味溢れるギャング役で名を馳せたJ・キャグニーは物を喰わせると野性的に豪快に喰う“演技”の上手い俳優だった。リー・マーヴィンは酒をさぞ美味そうに呑む“演技”の上手い俳優だった。我等が御大は何が上手いかというと“物を弄り出す”とそれが演技と見破らせない俳優だった。ワタシは彼の映画に憧れ、台詞(吹き替え)を一言一句間違えなく憶えたり、ガン・アクションを含むリアルな擬闘や他愛無い挙動の一つ一つまでひたすら模倣・真似ばかりしたりしていた“挙動不審なキモヲタ少年”だった。

ここで気が付いた事がある。
例えばわかりやすいところでは、彼をスターダムにのし上げたかの出世作たる「大脱走」。彼はベースボールとモーターサイクルをこよなく愛する米国人のデフォルメたるヤンキー・パイロット「V・ヒルツ」を好演する。彼が部屋に入ってきて脱走計画の立案者「BIG X」や腹心と会話をするシークエンスがあるのだが、会話の脈略に合わせて、ティーポットを片手に、マグをストーブの上から取ったり乗せたり、隣接した3段ベッドに左手をかけたり、指を立てて疑問を指摘したりと“撮影中決して片方の手が遊んでいない”ことにふと気が付く。この動作は一見自然な振舞いに受け取られがちでつい何のことなく観飛ばしてしまいそうなシーンだが、実際この挙動を模倣して実生活の中に取り込もうとすると物凄く不自然な挙動なのだ。
「もしや演技ぃ?」とこの時初めて気が付いて、彼の作品を片っ端から観てみると、ストーリの展開上何もそんな事をする必然がないのに、周囲の関心をヨソに無心にグリース・ガンの分解・調整に勤しむ「突撃隊」。愛用の10ガロン・ハットを手を変え品を変えと無意味に弄り回す「荒野の七人」。スイス国境の手前で乗ったバイクを揺すり燃料の残量を確認する「大脱走」。手際よく無駄なく機関室のバルブや装置を操作する「砲艦サンパブロ」、殴られた相手より殴った自らの手の痛みまで派手なアクションで表現した「セントルイス銀行強盗」。全周365度を監視しながらも、決して連れの女房にショットガンの銃口を向けない「ゲッタウエイ」。全て架空の“演技”なのだ。(台詞が与えられる機会が少なかった初期作品にはとにかくこういった動作に根ざした演技が多い。)実に手の振り・指の先が微細な玩物=フェチズムを奏でながら。嗜みを追求し銀幕上の分身に投影させながら、自然な素振りの中に見事に溶け込ませてしまい、、その積み重ねの中に始めて成立した不思議なアクションスターなのだ。

事実これ等演技指導は一切存在せず、不遇な時代にあらゆる職歴を転々とした経験をいかしつつ、演技者の「体現」に根ざした厳しい演技指導で知られるリー・ストラスバーグ・アクターズ・スタジオ時代に培った彼自らの演技プランの賜物。台詞の行間と行間の空白を埋めつつ“如何に自分が銀幕上で引き立つか?”という工夫以外の何者でもない。後年彼自らを縛り続けたアクションスターの金看板は案外「直球勝負」的な印象を与えがちだが、とんでもない!少なくとも私だけが知っている!彼は演技においてはトリックスター「変化球投手」なのだ。(だから「民衆の敵」のエンドで「私の演技をローレンス・オリビエとアレック・ギネスに奉げる」などと大きな事をいけしゃあしゃあとのたまえるのだ) いつでも「俺自慢の変化球(演技)、見破れるものなら見破ってみな!」と彼特有の大胆不敵な笑顔が画面の裏から見え隠れする。
「マックィーン エッセンシャル・コレクション・ボックス」DVDが7/1に発売との事。そんな事を頭の片隅にでもおいて今もう一度、或いは何度でも彼の残した作品を、彼の渾身の演技を是非楽しんで観てやってください。

かの御仁は「指の先までアクションスター」だった。故に彼のアクションは言うに及ばず、室内に入ってくるシーンがあるだけで未だにワタシは嬉しくて堪らない。かの御大死してもう四半世紀。未だ我が“卒哭”は明けず。
posted by まっぴら at 08:33| Comment(1) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月23日

腰に輝く栄光の“45〜70” 「拳銃無宿 お尋ね者生死問わず」

randall.jpg

12/23と今日の事なのですが、マックイーンの主演したTV番組「拳銃無宿」のDVDがT〜Vと発売されました。昨日入荷したと連絡が入ったので晩に取りに行って来たのだけど、今回購入したのはその「DVD-BOX T“宮部昭夫篇”」。(税込¥25.200) DISKが5枚封入されており、宮部氏がマックイーンの声の吹き替えをあてた31話にも及ぶストーリーが入っている。(調べてみるとこのTV番組は全94話) 他2BOXの概要はDVD-BOX U“宮部昭夫・大辻伺郎篇”とDVD-BOX V“寺田農篇”。流石に一度には一括購入出来ませんでしたわい...。

 マックイーンが好きな人には堪らない魅力が満載されたDVDで、彼が後に映画で演じることとなるキャラクターの演技の源流が全て凝縮しているわけなのですが、わからん人には何のことやらチンプンカンプンでしょう。ですので小生の至らぬ解説をホンの触りだけ...。

(感動の余り、今は亡き東京CMC社製の金属製モデルガン“M92 ランダル”とつい記念撮影をしてしまいました。)


この番組制作の背景は1958年3月にアメリカCBSTVが放映したロバート・カルプ主演の「トラックダウン」というウェスタン・ドラマの1編「THE BOUNTY HUNTER」で“賞金稼ぎ”を演じたのが若き日の売り出し中のスティーブ・マックイーン。彼の出演が思いのほか好評だったためで、番組プロデューサーであるヴィンセント・M・フェネリーが賞金稼ぎジョッシュ・ランダル・シリーズ化の企画を温めていた。当時マックイーンは「ニューヨークの顔役」、「マックイーン絶対の危機(ピンチ)」などに主演して一部高い評価は得たものの興行成績は赤字続きで、役者としては喰うに困ってCBSTVの門を叩いたと言われている。(資料により様々な解釈が成されている) しかし、「TVに拘束されて映画出演が出来なくなる」とその主演には二の足を踏んでいたと伝えられているが、実際は“馬が嫌いで扱うことが出来なかった”というのがどうもその真相だったらしい。そう。自動車競技で有名なインディアナ・ポリス出身で海兵隊で戦車の操縦・整備などを学んだがおかげで、趣味のモーターサイクルには明るいが、ここで西部劇俳優としては致命的な弱点を露呈した。(「トラックダウン」出演以前の「拳銃街道」のゲスト出演においては“馬に乗らない”という絶対条件で撮影に望んだと伝えられている。「拳銃無宿」撮影初期は、その当時まだ無名で後に「ララミー牧場」でブレイクする“ロバート・フラー”が乗馬の吹替を担当していた。この乗馬コンプレックスから脱するべく、自ら“練習用”として手に入れた荒馬“リンゴー”との私生活での思い出が、最晩年の作品となった西部劇映画「トム・ホーン」劇中の“自分の愛馬”の台詞に反映されていると推察している) 栄光への第一歩となるその第一話「賞金は貰った」は58年9/6にオンエア。以後その放映は61年3/29まで3シーズン続いたという。

日本でのTV放映は1959年12/12。フジテレビから「拳銃無宿」のタイトルで放映され、その吹き替えに宮部昭夫さんが起用され、以後彼のマックイーン吹き替えの定番となる記念すべき第一回作品となったそうである。その後、1967年2/19。日本テレビに場所を移し「ガンファイター」のタイトルで放映され、その日本語吹き替え版を若き日の寺田農さんが担当した。大辻伺郎氏の担当された7本は資料がなく詳細はもっか不明だそうだが、何らかの理由でフジテレビ放映時に収録された物であるらしい。(マックイーンのコメディ素質が伺える珍作=第27話「盗賊エルガド」などが未だ記憶に残っている)


この作品は「アダルト・ウエスタン」などとカテゴラれるも幅広い年齢層に支持され、日米問わず多くの子供達がジョッシュの素早いガンファイトと特異な風貌を持つ“ランダル銃”の魅力を観たさにTVの前に釘付けとなった。事実、舌を巻いたのは“台詞と台詞の行間の空白を、一種フェチズムとも思える物との戯れ、さりげない動き(アクション)で間を補ってしまう”その演技の変化球の巧みさ・見事さは、正に天性の役者資質のようでして、この頃からその本領を余す事なく発揮しまくっている。(ただでさえ“台詞が少ない”からそうでもしないと、画面上で他の役者以上に目立てないのだ) 本作の放映を観て“彼のアクションスターたる素質と可能性”を見出したのが映画監督のJ・スタージェスで、早くも1959年F・シナトラ主演「戦雲」にサミー・ディビス・Jrの代役としてマックイーンを起用。この戦争映画の台詞も満足にない端役で何とシナトラ一座を食ってしまい、この後出世作たる「荒野の七人」の“ヴィン”役。更には傑作と誉れ高い「大脱走」へと繋がっていきマックイーン人気は世界的な確固たるモノへとなっていくのである。
 1980年、スティーブ・マックイーンは「ハンター」の撮影後、肺ガンでこの世を去ってしまった。享年50歳。彼の最後に演じた“ラルフ・パパ・ソーソン”の職業は、現代にあっても逃亡犯を追い続けた“老いた賞金稼ぎ”の役だった。

この作品本来モノラル作品であるのはご記憶に在ろうかと思うのだが、90年代ヨーロッパ地上波マーケットへのセールス用としてフル・カラーライズ処理が施された。今日のハイ・クオリティなDVD品質を得て色鮮やかに蘇った本作品だが、俺的には「拳銃無宿」。しいては白黒作品の持つシャープな緊張感が殺がれてしまい、ちと拍子抜けした感がある。てか白黒スタンダートでもきっと買っただろうけどね。本作のゲストスターは今となっては豪華スターの登竜門のようで、同じくTVスター出身のジェームス・コバーン(クレジットされていないが、第32話「命がけの旅」でインディアンのチョイ役を演じていないだろうか?やたら骨相がそっくりなコマンチがいるが...?これは案外ありえるかもしれない。笑)やウォーレン・オーツ。「宇宙大作戦=スタートレック」のドクター・マッコイことデフォレスト・ケリー。更にはJ・フォード作品で有名なジョン・キャラダイン(「KILLBILL」で何故か斬られず“衝かれ死にしたBILL”ことデヴィット・キャラダインの父親)が出演していたりするので驚かされる。(「第17捕虜収容所」のロバート・ストラウスや「トラトラトラ」のジョージ・マクレディはびっくりしたわい!) また第33話「無実の男」でジョッシュに拮抗するナイスガイ“ルーク・ペリー”を演じるジェームス・ベスト。TMTダイナマイトを運ぶ幌馬車の御者車長役で見事な鞭さばきを見せるが、風貌も相まって何やら「インディ・ジョーンズ」のキャラクターの祖とでもなったか?とつい勘ぐってしまう。他にもB・デクスターやマーティン・ランドー、リー・ヴァン・クリーフなど一杯出ているそうですよ。まだ全部は確認していないけど。しばらくはこの話で夢中かと...。

発売日2004年12月23日 発売元IMAGICA 販売元SPOディストリヴューション 定価(税込)25,200円 
【2004 12/23】日記再録〜
posted by まっぴら at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月28日

ロデオ・マン「ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦」

juniorbonner.jpg

 小遣いを前借して予約した物件「ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦」のDVDを引き取りに出向きました。バイオレンス・アクション映画の鬼才サム・ペキンパー監督と、世紀最大のドル箱スター スティーブ・マックイーンがガッチリ組んだ作品であるのですが、これが珍しくまったくの“非武装”映画となっています。これはロデオに生きるボナー一家の物語で、彼はかつてのロデオチャンピオンであった愚父“エース・ボナー”(ロバート・プレストン)に憧れ、全米のロデオ開催巡業地をさすらい歩くロデオ・スター、次男坊“Jr・ボナー”を演じ、彼の純粋な心情や生き様を巡って、両親の愛の葛藤や長男との確執の中に、失われたアメリカ西部男の魂と新しい時代を迎えるアメリカの断面を叙情豊かに描ききった、最もやさしくかつ最もノスタルジックな現代西部劇映画なのであります。

 彼の故郷となるアリゾナ州プレスコットは84年間の伝統を誇る“開拓記念日ロデオ大会”を控え、俄かに湧いていた。ここに全米各地からロデオ大会の各種競技の賞金目当てに多くのカウボーイが集まっており、彼もそんな中の一人だった。だがここで再び合間見える彼の最大の宿敵は、猛牛“サンシャイン”号。彼はそれ以前の大会でサンシャイン号を乗りこなす事に失敗し、手痛いダメージを受けその記憶に苛まされていたのだった...。

 劇中マックイーンのストイックな演技も一押しでしたが、一攫千金の夢ばかりに現を抜かし、まったくうだつの上がらない父“エース”と母“エルビラ”(アイダ・ルピノ)の2人の存在がとにかく素晴らしかった。そんな父親に反発し不動産業で手堅く稼ぐ長男“カーリー”と、ロデオ一家にとんと情感の薄い憎憎しげなその妻“ルース”ことメーリー・マーフィー。←これが一番の演技者かも。(笑) また父親と対極を成すであろう街の実力者=サンシャイン号の持主“バック・ボーン”を演じるベン・ジョンソン(彼は元々J・フォード一座出身で、J・ウエインのスタントマンを勤めていたと言う輝かしい経歴を持っている)、酒場の“デル”ことダブ・テーラーなど1級の演技者がガッチリと脇を占めており、一味も二味もいい味を出しています。ただこの作品。不幸な事に、同時期(1972年)ジェームズ・コバーンの「ザ・ホンカーズ」、クリフ・ロバートソンの「J・W・コープ」、リチャード・ウィドマークの「伝説が死す時」などいくつかのロデオ映画が製作されており、結果興行成績は芳しいものとはいえなかったそうです。



 驚かされたのはオープニング・タイトル。実はLD版も所有していますが、ロッド・ハートが唄っていた主題歌“アリゾナ・モーニング”が、このDVDではまったく割愛されており、代わりにアレックス・タイラーの“ボーンド・トウ・ビー・バック・アゲイン”が差し替えられて収録されていました。また曲の間に流れる映像(巡業地を渡り歩く移動風景)も画面内にそれぞれ数分割構成されており、スタッフ・クレジットが配置されていました。DVD版とLD版の謎のヴァージョン違い。いったいどちらがオリジナルなのだろうか?(コレに関しては「ディレクターズ・カット版が存在した」話自体、そもそも聞いた事が無いのだが...?)
【2004 08/28】日記再録〜
posted by まっぴら at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マックイーン映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする